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ブロッコリーの茎をカルパッチョに!?〝じゃないほう〟の創造的なアップサイクルがアツい

2026.03.10

リサイクルからアップサイクルへ。捨てられたり使われていなかった資源を活用して、元の製品よりもさらに美味しく、使いやすく、素敵な商品に仕上げる流れが止まらない。これら創造的再利用の3つの注目事例を紹介しよう。

ブロッコリーの茎を美味しく食べる

農林水産省「令和4年産野菜の作付面積、収穫量及び出荷量の動向」から概算すると、国内の野菜の収穫量は約1,284万2千t。出荷量は約1,113万7千tで、その差は約170万t。これは収穫全体の約13%である。少なく見積もっても、収穫量全体の約13%が収穫されても食卓に上らない。

美味しく食べられるのに、出荷されない野菜を美味しく食べようという取り組みが始まった。一般社団法人アップサイクル(大阪市、代表理事森原洋氏)は、参画しているアイファーム(浜松市、代表取締役池谷伸二氏)と共同で、廃棄処分されていたブロッコリーの茎を使ったオリジナルメニューを開発。商品化すると同時に、2月末まで東京・表参道にて「じゃないほうのブロッコリーレストラン」を期間限定でオープンした。

ブロッコリーは出荷量が増加傾向にあることから、2026年度から特定野菜から指定野菜に分類が変更となった注目野菜。指定野菜とは全国的に流通して消費量が多くなることが見込まれる野菜で、約50年前にジャガイモが指定野菜となったのが最後だった。ブロッコリーは弁当の付け合わせや野菜ジュースなどに利用され、特にカット済みのブロッコリーは利便性が高く、需要が増加している。

アイファーム営業部河合良樹さんによると、「出荷量は1990年から2022年までの間で焼く2倍に延びており、一人当たりの消費量も3倍と増加しています。今、私どもでは年間約3500tのブロッコリーを生産していますが、廃棄される茎の部分は800tにも上ります」。

「大切に育てて、味も栄養もあるにもかかわらず、捨てられてしまっている茎を美味しく食べてもらおうという取り組みは、野菜のすべてを使うという意味でも、これからの農業の姿であると思います」とアップサイクルに期待している。

まずは消費者に茎の美味しさを知ってもらうために、期間限定のレストランで6つのブロッコリーメニューを提案。さらに店頭では「茎アヒージョ」などの販売も行っている。

ブロッコリーの茎のカルパッチョ。

有田焼400年の歴史を救う、新しい陶器の誕生

東洋セラミックス(佐賀県、代表取締役久野友靖氏) は、これまで有田焼の製作工程で廃棄されていた成分とパルプを組み合わせて作った新しい有田焼のシリーズ「NEO CLAY×TSUMUGI」をアップサイクルと共同で開発した。2月25日からECサイトなどで発売していく。

有田焼の陶土(磁器土)を製造する過程では、「珪(けい)」という粘性が無く成形ができないために陶土として使用できない土が、年間約300~400tの量で廃棄(産廃対象)され、この珪の廃棄コストが年間約1000万円と大きな負担となっていた。

一方、窯業界では良質な陶土の不足が深刻化しており、有田焼だけでなく、国内すべての窯元の課題となっている。窯業では「一土、二窯、三細工」と言われる通り、土が品質に与える影響は大きく、良質な土を探すと同時に、これまで廃棄処分されていた「珪」を、陶土として見直す取り組みが始まった。

しかし、従来の「珪」だけでは粘性が足りず成形ができない。そこで同社では粘性を上げるために「珪」を細かく粉砕し、特殊な土を混ぜることで成形可能な陶土とした。さらに顔料の一部にはアップサイクルが推進しているプロジェクト「TSUMUGI」で製造された紙糸になる手前の状態であるパルプを利用している。2つのアップサイクル素材を使った、全く商品に仕上がった。

今から約400年前、日本で初めて磁器を焼いた有田焼は、滑らかな白地に美しい絵が特徴である。古伊万里や柿右衛門などを思い浮かべる人も多いが、アップサイクル商品は釉薬を塗らない、ざらっとした質感に素朴な文様が美しい新商品となっている。

新発売の「NEO CLAY」は、絵柄が麻乃葉模様・若葉模様・手描墨絵唐草模様の3種で、それぞれ洋皿、ボウル、ワイングラスなど5品を取り揃えた。手描墨絵唐草模様は有田焼らしいが、他の商品は有田焼きとは全く異なる風合いに仕上がった。新時代の有田焼にふさわしい、アップサイクル商品となっている。

バイクの部品を家具に共創

3つ目の商品は空間を美しく彩るファニチャーである。船場(東京都港区、代表取締役社長小田切潤氏)は、ヤマハ発動機(静岡県、代表取締役社社長設楽元文氏)と共創スペース「YAMAHA MOTOR Regenerative Lab(リジェラボ)」で、プロジェクトの第2弾となるバイク部品を使ったファニチャーを企画・デザイン・制作した。

船場とヤマハ発動機のモノづくりの技術を共創する取り組みは、今回で2回目。第1弾では、ヤマハ発動機がプール事業から撤退した際に発生したプール廃材を利用して、ヤマハ発動機の企業姿勢やレガシーを随所に感じられる空間を具現化した。この取り組みは「日本空間デザイン賞2025」企業プロモーション空間部門の最高賞において金賞やヤングタレント賞を受賞している。

今回、プロジェクト第2弾となるテーマは「バイク」で、ヤマハ発動機のモーターサイクル事業で実際に利用していた部品を使ったテーブルや照明器具を商品化した。ギアチェーンを使った照明器具は、8mm厚のアルミ⼀体成型で 作られた土台には、本物の4ストロークエンジンの機構を搭載している。

3つの事例とも、元の商品よりもさらに高い質と魅力を打ち出しているのが特徴的。アップサイクルの流れが止まらない。

文/柿川鮎子

Author
明治大学政経学部卒業後、経済系新聞社で自動車、ISOなどの担当記者に。退社後5年間、動物病院に勤務した経験から、飼い主さんの気持ちに寄り添ったペット記事を執筆中。 得意なテーマは 1)生産性向上などのマネジメント関連と、 2)犬猫やエキゾチックを含 めた飼育動物全般、の2つ。 作家として小説「犬にまたたび猫に骨」(講談社刊)、「極楽お不妊物語」(河出書房新社)を発刊。ノンフィクションでは小学館刊「全国から飼い 主が駆けつける!犬の名医さん100人データブック」、文春新書「動物病院119番」、ほか多数。趣味は野鳥観察、現在、2羽のオカメインコを溺愛中。

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