2026年2月28日、アメリカはイスラエルと共同でイランに対して「エピック・フューリー(壮絶な怒り)」と名付けた作戦を実行(イスラエル側の作戦名は「ライオンズ・ロアー<獅子の雄叫び>」)。その攻撃によりイランの最高指導者・ハメネイ師が死亡した。
両国の対立は長きに渡っており、今回のような軍事行動も、親欧米派政権樹立を狙ってイギリスのMI6と画策した1953年の「エイジャックス作戦」に始まると言われている。
一方、イラン側も直ちに反撃を開始。タンカー攻撃によるホルムズ海峡の事実上の封鎖によって原油価格が上昇するなど、早くも経済的な影響が生じている。
というわけで、今回のアメリカとイスラエルのイラン攻撃が金融市場に与える影響に関する考察リポートが三井住友DSアセットマネジメント チーフマーケットストラテジスト・市川雅浩氏から届いたので概要をお伝えする。
米国とイスラエルの攻撃を受けイランが報復、イランでは、最高指導者ハメネイ師が死亡との報道も
米国とイスラエルは2月28日、イランへの攻撃を実施したと発表した。トランプ米大統領は自身のSNSに投稿した動画で、「(イランが)核兵器を持つことは決して許されない」と述べ、イラン国民に「政府を掌握せよ」と現体制の転覆を呼びかけた。
イスラエルのネタニヤフ首相も、「イスラエルと米国はイランのテロリスト政権による存亡に関わる脅威を取り除くため作戦を開始した」との声明をSNSで発表した。
イラン革命防衛隊(同国指導部の親衛隊の性格を持つ軍事組織)は同日、報復措置としてイスラエルと中東各地の米軍基地に対して、ミサイルと無人機による反撃を行ったと発表した。
なお、イラン国営メディアは3月1日、米国とイスラエルの攻撃により、最高指導者ハメネイ師が死亡したと伝えた。ハメネイ師は30年以上にわたりイランを統治し、強力な反米勢力として中東地域に軍事的影響力を拡大してきた人物だ。

■米国はイランに核開発放棄を迫るもイランは譲歩せず、米国・イスラエルは体制転覆を狙う動きに
米国とイランの核協議を巡るこれまでの経緯は図表1のとおりで、直近では2026年2月に高官による核協議が3回にわたって行なわれ、米国はイランに対しウラン濃縮活動を含む核開発の放棄を迫っていた。

イランとしては、米国の要求に応じれば、事実上の核保有国とされるイスラエルとの勢力バランスが崩れ、体制の存続が脅かされるため、安全保障の観点から譲歩は難しい状況にある。
こうしたなかでの米国によるイランへの攻撃は、協議による解決に見切りをつけた格好となり、米国がイラン指導部の政権転覆につながるまで戦闘を続ける可能性が高まったように思われる。
なお、イスラエルとイランは2025年6月に停戦で合意していましたが、その後も双方の間で緊張が続き、イスラエルの今回の攻撃には、イランの核開発の阻止や体制転換の狙いがあると推測される。
■この先原油相場に注目、各国とも紛争長期化は避けたい意向とみられるが収束の見極めが必要
最後に金融市場への影響について考えたい。2025年6月に米・イスラエルとイランが交戦した、いわゆる「12日間戦争」において、金融市場では図表2のような反応がみられた。

今回は、米国とイスラエルが体制転換を狙って攻撃を続ける構えであることや、イラン側も激しい報復攻撃を行なうとしていることを踏まえると、12日間戦争を上回る規模での衝突拡大が懸念される。
複数の報道によると、イランはエネルギー輸送の要衝であるホルムズ海峡の航行を禁止した模様で、目先は原油相場に焦点が集まる。
原油価格の急騰や、戦闘の長期化は、金融市場にとって懸念材料だが、米国、イスラエル、イランとも、衝突の拡大・長期化は避けたい意向があると推測できる。
ここからは、イランの新たな統治体制や、米国やイスラエルとの停戦合意を巡る動きをにらみ、紛争の収束を見極めることになると思われる。
構成/清水眞希







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