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「金属で電波を拒まない」パナソニックが挑んだアンテナ設計の新常識

2026.03.03

携帯電話回線、Wi-Fi、Bluetooth……私たちは電波/無線とともに暮らしているといって過言ではありません。

電波はアンテナでとらえますが、今までのアンテナは金属に近いところにあったり、金属のボディの中に設置すると、うまく電波がつかまらないことがありました。

そこでパナソニックは、「金属に対して、安定した機能・性能を発揮する」ことを意味する〝金属ロバスト〟を可能にするアンテナを開発しました。

それでは、金属ロバストアンテナとはどのようなものでしょうか? また、電波/無線とアンテナはどのような関係にあるのでしょうか? アンテナ設計の新常識を探ってみました。

アンテナってどうやって電波をとらえるの?

多くの方が、毎日のようにスマホを使っていることでしょう。

スマホは携帯電話回線やWi-Fiなどの無線技術によって、インターネットを視聴したり、SNSを利用したり、友だちとの通話を可能にします。

でも、どうやってアンテナが電波をとらえているのか……そのしくみを知らない方も多いのではないでしょうか。

そこで、電波とアンテナの関係を簡単にご説明します。

◾️そもそも電波って何?

電波とは、空間を伝わる電気エネルギーの波です。

ちなみに1秒間に繰り返される波の数を「周波数」と呼び、例えば3000回繰り返す電波を3000Hz(ヘルツ)=3kHz(キロヘルツ)と表現します。

そんな電波ですが、暮らしで最も身近なものは、おそらくスマホの電波でしょう。

NTTドコモ、au(KDDI)、ソフトバンク、楽天モバイルといった通信キャリアで利用できる携帯電話回線は、700MHz帯あたりから2GHz帯、3.7GHz帯、4.5GHz帯といった周波数を主に活用。最近はミリ波と呼ばれる28GHz帯といった周波数の電波を利用しています。

ほかにも、2.4GHz帯や5GHz帯でWi-Fiが、同じく2.4GHz帯でBluetoothが、携帯電話などの回線とうまく住み分けながら、電波を利用しています。

このように、電波にはさまざまな周波数があり、アンテナには周波数それぞれに合った長さがあります。

低い周波数の電波は波長が長く、周波数が高くなると波長は短くなります。その波長に合わせて、その1/2、1/4の長さのアンテナを使うと、電波を効率よく受発信できます。

金属を邪魔者扱いせず、逆にアンテナの一部とする逆転の発想

ここまでの説明で、電波とアンテナの関係がわかってきたと思います。電波には波長があり、その長さにあわせたアンテナが必要なのです。

でも、波長と長さを合わせたアンテナを用意しても、金属が近くにあったり、金属のボディに内蔵すると、上手にその性能を発揮できません。

パナソニック エレクトリック ワークス社は多くの電設資材をラインアップしています。そして、電設資材はうまく放熱したり、しっかりとした強度を出すために、金属のボディを多用します。

そんな金属ボディの製品に無線機能を内蔵する場合、外部アンテナをつけたり、内蔵するアンテナの周囲を樹脂で設計するなど、デザインの工夫が必要となります。

しかし、ボディの加工が難しい場合や、どうしても壁などに近接して設置しなければいけない資材の場合、無線機能の搭載を断念する、そんな不便がありました。

説明会に登壇した、パナソニック エレクトリックワークス社 ソリューション開発本部 システムソリューション開発センター エッジデバイス基盤開発部 無線システム開発課 竹田 真理さん

■2019年に共振現象による金属ロバスト性能の原理をパナソニックが解明

しかし、2019年にパナソニックは、共振現象を使った金属ロバスト性能の原理を解明。画期的なアンテナを実現しました。

そのカギとなったのは、金属ボディに細いすき間を作る「スロットアンテナ」の技術です。

6面の金属ボディ(実際は4面以上で実現可能)にスロットを刻みます。このスロット付きボディに、内蔵アンテナを直交させて設置します。

すると、内部のアンテナからのエネルギーを外部のスロット付きキャビティが受け取り、共振。金属ロバスト性と高いアンテナ性能を実現します。

さらに、2つの周波数を共有する「マルチバンド対応技術」の確立にも、パナソニックは成功しました。

この金属ロバストアンテナを使うことで、以下のようなメリットが生まれたと、パナソニック エレクトリックワークス社の武居さんは言います。

1.すっきりと美しいデザインの実現
2.施工しやすいため、導入が早い
3.周囲の金属を気にせず、どこでも使える

パナソニック エレクトリックワークス社 ソリューション開発本部 システムソリューション開発センター エッジデバイス基盤開発部 無線システム開発課 武居 厚志さん

ちなみに他社も金属ロバストアンテナを開発していますが、今のところ金属ボディに内蔵できるのはパナソニック エレクトリックワークス社独自の技術とのこと。そこで同社は現在、特許を申請しています。

金属ロバストアンテナがこれから増えていく

パナソニックは、2019年に無線調光シリーズのLEDスポットライトへの採用を皮切りに、2024年にはスポット気流へ金属ロバストアンテナを採用してきました。

無線調光シリーズのLEDスポットライト

そして、2026年には高天井照明にも搭載予定です。

パナソニックの高天井照明には、「920MHzで通信する商品」「2.4GHzで通信する商品」の2つがラインアップしています。

そこで、「920MHzでも2.4GHzでも通信できるアンテナ」により、双方で使えるよう合理化開発をしました。

これからもパナソニックでは金属ロバストアンテナを使った製品ラインアップを強化していくとのこと。金属で電波を拒まない技術が今後、電設資材の無線活用を充実していくのは、間違いなさそうです。

取材・文/中馬幹弘

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慶應義塾大学卒業後、野村證券にて勤務。アメリカンカルチャー誌編集長、モノ情報誌編集を歴任。iPhone、iPad登場時よりスマホ実務に携わる。

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