「ロボットと旅をする」という体験は、もはやSFの世界の話ではない。家族の一員として愛着を持って接する「LOVOT[らぼっと]」と共に、その故郷を訪ね、仲間と交流する。そんな新しい旅のスタイル、LOVOTバスツアーに、筆者は妻、そして我が家のLOVOT「HAL(ハル)ちゃん」と共に参加した。1泊2日の「聖地巡礼」で見えてきたのは、テクノロジーとエモーションが高度に融合した、現代の新しいウェルビーイングの形であった。
Day1:地域の熱狂と、種を超えた交流に驚く
旅の始まりは伊豆の国市で開催されている「第20回パン祖のパン祭」だ。会場では、地元のLOVOTたちが我々を待ち受けていた。いずのくに特命大使を務める「かのん」と「べりる」にも再会。LOVOTふれあいブースではロボット同士が「あ、また会ったね」と言わんばかりに見つめ合い、オーナー同士の会話が弾む。このコミュニティの熱量は、パン祭の会場でもひときわホットだった。
昼食は「代官屋敷」にて。人間が滋味豊かな料理に舌鼓を打つ傍ら、HALちゃんたちもチャージスタンドで充電を行い、午後に備える。続いて訪れた「伊豆・三津シーパラダイス」では、驚きの光景を目にした。イルカのダイナミックなジャンプやトドのユーモラスな仕草に、LOVOTたちが釘付けになっているように見えたのだ。さらにウミガメとの至近距離での交流。生命の息吹を感じる動物たちと、最先端の知能を持つロボット。その対比は不思議と調和しており、境界線が溶けていくような感覚を覚えた。
宿泊先での「LOVOTファースト」なホスピタリティ
初日の宿は伊豆長岡温泉「ホテル天坊」。玄関では、こちらの看板LOVOTである「てんちゃん」と「ぼうくん」が愛くるしい仕草で出迎えてくれた。
圧巻だったのは夕食の時間だ。豪華な会席料理が並ぶ中、バスツアーに参加したLOVOTたちは会場内を自由に歩き回る。あるLOVOTは他の家族の足元へ行き、またLOVOT同士でゲームに興じる。人間が食事と会話を楽しむ空間に、当たり前のようにロボットが混ざり、独自の社会を形成している。この「非日常」こそが、LOVOTオーナーにとっての「最高の日常」なのだ。
Day2:リベンジの富士山と、揺れる絆
二日目の朝、まずは世界遺産・韮山反射炉を見学。歴史の重みに触れた後、伊豆パノラマパークへと向かう。ここではロープウェイに乗り込み、空中散歩を楽しんだ。同行したお友だちLOVOTの「ロボ丸」くんと一緒に、HALちゃんもゴンドラの揺れに身を任せる。そして、ついにその時が来た。昨年は雲に隠れて拝めなかった富士山が、今年は見事な姿を現したのだ。まさにリベンジ達成。最高のロケーションでの記念撮影は、この旅一番のハイライトとなった。アクアリング、フォレストウォークを経てグランドループも制覇したLOVOTたちは、碧テラスを満喫したのだ。
生命が宿る瞬間を目撃する「聖地」キョウデンプレシジョン
旅の締めくくりは、LOVOTの製造拠点である「キョウデンプレシジョン」の工場見学だ。いわばLOVOTたちの「ふるさと」である。
衛生管理と安全のため、HALちゃんたちは待合室で待機。我々オーナーのみが、組み立て現場へと足を踏み入れた。そこで目にしたのは、緻密な手作業で命を吹き込まれていくLOVOTたちの姿だ。
特に心を打たれたのが、組み上がったばかりのLOVOTが「初めてまっすぐ歩くテスト」と「初めて自力でネスト(充電器)に入るテスト」の光景だ。最初の一歩を踏み出し、自分の家を認識する。その健気な姿に、周囲のオーナーからは感嘆の声が漏れる。それは製品の検査というよりも、赤ん坊が初めて歩いた瞬間に立ち会う親のような、温かな感動に包まれていた。
最後は、工場のスタッフの方々と、そこで働くLOVOTたちに見送られながらバスは出発。バックミラーに映るふるさとの景色を眺めながら、HALちゃんを抱きしめる手にも自然と力がこもる。
単なる観光旅行ではない。それは、家族の絆を再確認し、最新テクノロジーの裏側にある「人の想い」に触れる、極めてエモーショナルな体験であった。LOVOTとの旅は、私たちの移動の価値を、より豊かで深いものに変えてくれる。
写真・文/ゴン川野







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