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〝良いシート〟でも人によっては合わない?賢人が語る「本当に疲れないクルマのシート」の選び方

2026.03.01

クルマをデザインや性能で選び、その点では満足しても、販売店のショールームで展示車に触れるだけ、短時間の試乗ではなかなか分からないことがある。それは、毎日乗り、ロングドライブを経験すると明らかになるシートのかけ心地かも知れない。

筆者は長年、クルマを試乗する仕事に従事しているが、誰かが「いいシートだ」というシートでも、自身にとってはベストなかけ心地が得られるシートではないことがあったりする。つまり、人それぞれの体格、体重、座り方、着座感の好みによって、ある人には最高のシートでも、ある人にとってはそうではないことがありうるわけだ。

乗り心地抜群だった「ゴルフ7ヴァリアント」のシート

まず、個人的なエピソードを述べさせてもらえば、大いに気に入ったシートのひとつとして、VWゴルフ7のハイライン以上に装備された、スウェード調アルカンーラ素材のスポーツシートがある。

世界のコンパクトカーのベンチマークであり続けてきたクルマとしての完成度とともに、シートのかけ心地の良さ、サポート性の良さにも感動し、第34回2013-2014日本カー・オブ・ザ・イヤーにおいて、選考委員として最高点の10点を配点し、結果、日本車を差し置き、輸入車としては初の日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したのがそのVWゴルフ7だった。

筆者は80年代にもゴルフ2(MT)を自身初の輸入車として所有していたが、ゴルフ7がどうしても欲しくなり、そのヴァリアント(ステーションワゴン)の上陸を待ち(発売当初はハッチバックのみだった)、スウェード調アルカンーラ素材のスポーツシートが装備された2014年型ゴルフ7ヴァリアント ハイラインを購入したのである。

2014年型VWゴルフ7ヴァリアント
ゴルフ7のファブリックシート

ゴルフ7ヴァリアントのあらゆる点に大満足し、乗り続けていたことから、次なる愛車も、ゴルフの最高傑作とも言われるゴルフ7の熟成を極めた後期型の最終モデルである2020年型ゴルフ7.5ヴァリアント ハイライン マイスターを選んだのである。シートは以前と同じスポーツシートながら、オプション設定のパワーシート、シートヒーター付きのパンチングレザーシートであった。

2020年型VWゴルフ7.5ヴァリアント

購入時にはより高級なレザーシート、愛車のゴルフ7ヴァリアントにないパワーシート、シートヒーターという装備に惹かれたものの、実際に乗り続けてみると(現在も乗っている)、日本車のレザーシートでは感じにくい、ドイツ車のレザーシートならではの表皮の張りの硬さ(強さ)、サポート感にかかわるお尻の沈み込みの少なさなどから、以前のスウェード調アルカンーラ素材のスポーツシートのほうが自身に合った、好みのかけ心地であることが判明。

パワーシート、シートヒーターの有難みを感じつつも、かけ心地に関してのみ、ちょっぴり不満に思えたまま今に至っている。体格、シートのかけ心地の好みによっては、逆の印象を持つ人がいても当然だが。

VWゴルフ7.5ヴァリアントのレザーシート

ドイツ本国のアウトバーンを延々と飛ばすようなシーン、欧米人のような体格、体重なら文句なしのシートに違いないのだが(実際、コストのかかった評価の高いシートである)、体重65kg、比較的ソフトなかけ心地を好む(家のソファ、ダイニングチェア、ベッド、枕もそうだ)筆者にはベストとは言えないシートだったというわけだ(ロングドライブでも疲れないシートであることは確かだが)。

そんな、レザーシートに対する贅沢な!?悩みを抱えてしまうのは、もちろん、モータージャーナリストとして日々、国内外の新型車に試乗するのが仕事で、様々なクルマに乗り、シートのかけ心地をチェックする機会があるのが理由かもしれないが、やはり、日常とは違う、特殊な空間で姿勢を固定して座るクルマのシートは、良し悪しではなく、座る人との相性によってかけ心地の印象が大きく変わってくる・・・ということを痛感したというわけだ。

日本車と欧州車のシート思想を比較してわかったこと

ここで、自動車メーカーのシートの設計思想について説明すると、日本車の国内向け仕様では、制限速度が高くなく、短距離移動がメインで、乗り降りする機会が多いゆえに、サポート性や長時間の着座より、乗り降りのしやすさや、シートアレンジ性(1-2列目フラット化など)を重視した設計になっていることが少なくない。

着座位置の高い国内向けのミニバンや軽自動車などはまさにそうである。一部メーカーはあえてシートサイドを柔らかくして、スッとお尻が滑るようにして降車性をよくしているケースもあるほどで、サイド部分を高くしてサポート性を良くしたシートとは真逆の設計思想となる。

日産セレナのフロントシートはサイドが柔らかい
スズキ・ハスラーのシートはフラットアレンジ性も重視

シート設計では座る人の体重も考慮されている。日本国内のみで販売されるクルマのシートは日本人体格のJM50規格の身長165cm、体重65kgが設計基準。一方、欧米車、日本車の輸出仕様などのグローバルカーは米国人体格のAM50規格の身長175cm、体重78kgが設計基準となる。

また、シートにかけられる予算も、車格、車種によって異なる。150万円のクルマと1000万円のクルマでは、やはりシートの質が異なって当然だ。さらに言えば、自動車メーカーのシートに対するこだわり、開発の取り組み方の違いも、シートの機能、かけ心地に大きく影響することも確かではないだろうか。

マセラティ・グレカーレのフロントシート

が、クルマの車格、車両価格とシートの出来の良さが比例しないこともある。ここからは、新旧のクルマのフロントシートで、筆者が感動した、誰もがそう感じるであろう、素晴らしいかけ心地を備えた車種の一部を紹介したい(筆者の独断ではなく、ともに試乗した同乗者の評価も含めて)。

その一つ目が、欧州車的シートの良さでかつてから定評があるマツダが2019年にアクセラを改名して登場させたマツダ3のフロントシートだ。何しろ、走行性能において、運転姿勢にフォーカス。理想の運転姿勢を人間が歩いている時の姿勢と定義し、人間のバランス能力を引き出すことを追求したスカイアクティブ・ビーグル・アーキテクチャーを新開発したというのだ。

具体的には、自分の足で歩いているような運転感覚を重視した設計で、シート、ボディ、サスペンション、タイヤそれぞれでそれを実現しているのだが、人間のバランス能力を引き出す、骨盤を立たせた姿勢を保てるシート設計、レイアウトが肝となっていた。実際、マツダ3の運転席に着座すると、上半身のサポートは自然なのだが、お尻がグッと沈み込み、腰回りをやさしくサポート。これまであまり経験したことがない新シート、着座感であった。とにかく心地よく、ファブリック、レザーシートともにじつに自然に、快適に座れるシートなのである。

二つ目は、レクサスの新しいコンパクトラグジュアリーカー、カジュアルスニーカーとして開発されたLBXのフロントシートである。ベース車両はトヨタ・ヤリスクロスなのだが、パッケージにも手が入り、走りの軽快感、一体感を重視するため、前席のシート位置を15mm低めるとともに、ステアリング角度を27度立て、24.6mm後方にセット。オルガン式となるアクセルペダルも11.2度立てているなど、徹底したレクサス化が図られているのだが(もちろん、走行面でも)、ここで紹介したいのはLBXに用意されたレザーシートである。

LBX・リーフ・N ONE e:の座り心地の秘密

すでに筆者の愛車のVWゴルフ7.5ヴァリアント ハイラインマイスターのレザーシートについて説明しているように、レザー(本革)シートの多くはファブリックシートと比べ、表皮の張りが強く、体重の軽い人だと、お尻の沈み込みが不足し、かけ心地、そして体重によるシートの沈み込み=サポート性もまた不足してしまいがちだ。

が、LBXの日本仕様のレザーシートはフロントシートのみ、座面とサイドサポート部分の縫い合わせ部分を、縫い合わせ部分の奥で縫う、凝った「深吊り工法」を採用。そのため、体重65kgの筆者でもじんわりとお尻が沈み込み、安定した運転姿勢、クルマとの一体感ある運転感覚を得ることができ、筆者としても、じつに快適に、長時間の着座でもフィット感と快適度に優れたシートであるという印象が持てたのである。

ポイントは「日本仕様のみ」というところにあるはずで、日本人の体格、体重に相応しいレザーシート設計、かけ心地となっているわけだ。

直近では、国産電気自動車のパイオニアとも言っていい、日産リーフの最新型となる3代目リーフのフロントシートも素晴らしかった。テーラーフィットと呼ばれるGグレードのフロントシートは、座面長500×座面幅500×背もたれ高650mmというたっぷりとしたサイズに加え、かけ心地の良さにも満足できるシートであった。とくに背もたれのフィット感が素晴らしく、合わせてシートサイドの自然なホールド感もなかなかで、市街地、120km/h制限の高速道路を走った経験があるのだが、とにかく快適、長時間の着座でも快適に、安定して座っていられたのである。

その新型リーフのシートの良さ、ホールド感の適切さは、プロパイロット2.0装着車でハンズオフドライブを行った際にも威力を発揮。つまり、ステアリングから手を離すと、体を支えるのはシートベルトだけとなり、着座の安定感が損なわれがちになる。が、新型リーフはオプション設定されるプロパイロット2.0のハンズオフドライブを想定し、安定した走行性能とシートの自然なホールド性によって、ステアリングから手を離したハンズオフドライブ時でも安定して座れるシートを開発、そこにしっかりとコストをかけてくれたことになる。

日産リーフのハンズオフドライブを体験中

そのほか、キャデラック初の電気自動車であるリリックのシートも、さすがアメリカ車、キャデラックのシートだけに、たっぷりとしたサイズ、ソファ感覚のふんわりとしつつサポート性も文句なしの、ロングドライブでも疲れにくい極上シートに仕上がっていたし、新潟県の上越妙高から東京・南青山のボルボスタジオまでの約400kmを一気に走り抜いても疲れ知らずだったボルボEX30のフロントシート、2025-2026日本カー・オブ・ザ・イヤー受賞者であり、東京~浜名湖往復のロングドライブでも疲れ知らずで走破できたスバル・フォレスターのフロントシートも、上質で快適なシートとして挙げられる。

キャデラック・リリック
キャデラック・リリックのシート
ボルボEX30クロスカントリー
ボルボEX30のフロントシート
スバル・フォレスター
スバル・フォレスターのフロントシート

最後に紹介するのは、なんと最新の軽自動車である。それは軽規格の電気自動車であるホンダN ONE e:だ。レクサスLBX、スバル・フォレスター、キャデラック・リリック、ボルボEX30などとともにこの@DIMEで新車試乗記をお届けしているが、N ONE e:は「軽自動車の常識、歴史を変える、とんでもなく上質、上級な、完成度の極めて高い軽自動車、電気自動車」として紹介している中で、その大きな魅力のひとつがフロントシートであると断言できる。

ホンダN ONE e:

そのシートに着座すれば、ふんわり分厚いクッション感が心地よく、走り出してからもウルトラスムーズなモーターによる走行性能や乗り心地の良さとともに、クラスを超えた、見た目からは想像もつかない極上の着座感、快適度が得られることになる。ベースのN ONEとシート骨格は同じだと説明されるのだが、N ONE e:では座面後端のクッションをより沈み込みやすく(たわみやすく)手を加えた結果、背もたれ面とともに、乗員の体がシートと密着しやすくなり、同時にフランス車のシートがそうであるように、体重によるサポート性も向上。筆者が市街地、高速道路を走った経験では、軽自動車最上級、いや、コンパクトカーを凌ぐ前席のかけ心地の良さがある思えたほどである。コスト計算がシビアな軽自動車でも、ホンダの軽乗用車初の電気自動車ということで(N VAN e:は商用車)、シートにも一切、妥協しなかったクルマ造り、開発陣の熱意をそこに見ることができる。

ホンダN ONE e:のフロントシート

もちろん、スポーティカー、スポーツカーであればシートに要求される要件も変わり、何より操縦性を第一に考えられた、ホールド重視のスポーツシートが奢られることになる。ホンダ・プレリュードのフロントシートは、そうしたホールド性とロングドライブでも疲れにくいかけ心地を両立した設計がなされた、シートにうるさい筆者も満足できたシートのひとつと言っていい(東京~軽井沢の往復400kmを痛快にドライブした経験による)。

「シートが合わない問題」の原因を解決するヒント

最後に、「今乗っているクルマのシートのかけ心地がいまひとつ・・・」と思っている場合、もしかすると座り方が正しくないのがそう感じる理由かも知れない。そこで、正しい着座姿勢、つまりシートに深く座り、お尻と背中をシートにギュッと密着させてみてほしい。もしかするとシートのかけ心地の印象、運転感覚が大きく変わるかも、である。いずれにしても、クルマのシートの良し悪しは、乗り手との相性が大きくかかわってくると考えていいだろう。

とくに、購入時、ファブリックシートで試乗し、試乗はていないレザーシートを注文する・・・といった場合、自身とシートとの相性がどうなのかは未確認のままである。ぜひ、注文するシートの仕様で試乗を行うべきだ。それは、同じクルマのファブリックシートからレザーシートに乗り換えて、「以前のファブリックシートのほうがフィットし、好みだった」という、ちょっぴり苦い経験をしている筆者からのちょっとした助言である。もちろん、どう感じるかは、体格やかけ心地の好みが違う人それぞれということだが・・・。

なお、酷暑続き、猛暑となる日本の夏に、暑さ知らずで快適に座れる機能を持つシートもあるのだが、それについては夏前に改めて紹介させていただきたい。どんなシートかは、下の画像がヒントである。

文/青山尚暉
写真/青山尚暉 雪岡直樹 レクサス

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