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最高視聴率35.2%!伝説のTVドラマ「どてらい男」のリメイクプロジェクトが始動、動画生成AIと独自のAI Agentシステムで失われた映像が復活

2026.03.11

最高視聴率35.2%を記録した昭和の名作ドラマ『どてらい男』(関西テレビ)。今でもビジネスマンのバイブルとして語り継がれる本作であるが、実は1973〜1977年に放送された全181話の内、第2、4〜6、130~180話の55話分の映像が残っていない。今、生成AIを活用して失われた記録を復活させるプロジェクトが動き出そうとしている。この”どてらいプロジェクト”の裏側に迫りたい。

失われた映像を捜索、そして生成AIで復活へ

2025年10月、関西テレビ、Google Cloud、博報堂は3社共同で、生成AIを活用した『どてらい男』の映像復元プロジェクトについて発表した。

『どてらい男』は関西テレビにて1973〜1977年にかけて放送された連続ドラマで、昭和初期の大阪を舞台に地方出身の一人の男が丁稚奉公から商人へとのし上がっていく姿を描いた立身出世ストーリーとなっている。3年半で全181話が放送されたものの、現存するのは126話分のみ。当時のドラマ制作現場ではテープが大変貴重だったので、放送後に上書きをしていくのが一般的だった。その結果、多くの話数の映像が欠落してたのだ。

当時の『どてらい男』のキービジュアル

関西テレビでは長年、失われた映像を探しているものの、依然、発見には至っていない。

こうした背景を受け、冒頭で紹介した生成AIを活用した映像復元プロジェクトが始まった。生成AIで過去のドラマを復活させる取り組みは、日本の放送局では史上初。本プロジェクトに携わる博報堂の篠田裕之さんに話を聞いた。

「ドラマ『半沢直樹』のブームをきっかけに、多くの視聴者から同じビジネスをテーマにした名作ドラマ『どてらい男』をもう一度見てみたいと望む声が上がりました。関西テレビではこうした声を受けて、2014年から『どてらい男』の失われた映像の大捜索プロジェクトが始まりました。一部、映像が見つかったものの完全発見には至っていません。

そこで昨年から大捜索プロジェクトに続き、博報堂とGoogle Cloudが協力した大復元プロジェクトが発足しました」

博報堂の篠田裕之さん

博報堂は以前からGoogleと共同で生成AIを活用したクライアントの課題解決に多数の実績がある。特に、クリエイティブな分野のAI活用においてはリーディングカンパニーと言っていい。

「このプロジェクトを初めて聞いた時、とてもワクワクしたのを覚えています。当時のフィルム事情から失われてしまった映像を最新技術を使って甦らせるというのは前例がありません。

技術的な面で言えば、生成AIを使って完全新作オリジナルドラマを作るよりも過去の作品を復活させる方が遥かに難しいんです。というのも、まず、今回の『どてらい男』のように連続ドラマの途中だけ欠けている場合、実在するキャストの一貫性を保たなければなりません。さらにはキャストの演技も細部まで違和感なくAIに再現をさせることも重要です。視聴者が少しでも違和感を感じてしまうと、ドラマへの没入感は一気に失ってしまいます。

現在は、残された映像、脚本、当時のスチール写真などを用いて失われた第2、4〜6話を含む1〜13話のダイジェスト(総集編)映像がすでに完成しています。今後はそのクオリティをさらに追求していくことが私たちの課題です」

『どてらい男』公式サイト/https://www.ktv.jp/doterai/
※『どてらい男』AIリメイクの動画は上記リンクから視聴ください

AIによって作られた『どてらい男』のダイジェスト動画より
AIによって作られた『どてらい男』のダイジェスト動画より
AIによって作られた『どてらい男』のダイジェスト動画より

さらに、こうした技術的なハードルだけでなく過去の名作を復活させる上で非常に難しいハードルがある。それが”権利”だ。

「ドラマでは役者だけでなく監督や脚本家といったスタッフ陣など数百人規模が権利を保有しています。AIで現代に甦らせるためにはこれらの権利関係をクリアにする必要があるんです。

実は『どてらい男』の映像復元プロジェクトが進められるのは、関西テレビが550名以上にもおよぶ出演者への許諾作業を、音事協など実演家団体と数年にわたり交渉し、理解を得ているからです。関西テレビはもちろんのこと出演者や製作陣に、今でも作品愛があったからこそ実現できたとても貴重なプロジェクトだということです」

このプロジェクトが目指しているのは”アーカイブの復活”ではなく”世代を超えて新たなファンを作ること”だと篠田さんは言う。

「そのために関西テレビと話し、当時の映像の完全再現はやめて『現代的な再解釈』をしようと決めました。『どてらい男』は今でも昔の熱狂的なファンがいますが、若い世代は知らない方が多いと思います。また当時の映像はスタジオセットで撮影されているので定点のカメラアングルが多いんです。現代のように俯瞰やローアングル、ズームアップなどを用いた多彩なカメラワークではありません。

一方で、”生成AIで昔の名作をリメイクをしたプロジェクト”というテクノロジー文脈に興味を持つのは若い世代です。このジレンマを解消するために、リメイクするにあたり『どてらい男』をそのままAIで再現するのではなく、演出、カメラワーク、カラーグレーディングなど現代の視聴者でも楽しめる、かつ当時の良さを損なわないようなリメイクを試みています。

狙い通り生成AIを活用した『どてらい男』の映像復元プロジェクトにより、オリジナル映像の視聴数も伸びています。最新テクノロジーを活用することで名作を現代に継承することができ本当に嬉しい限りです」

生成AIの進化はまさに日進月歩。今日までの最先端が明日には時代遅れになることもしばしば。

「『どてらい男』のAIリメイクは現在進行系です。というのも今の生成AIの進化スピードでは最先端の寿命は2〜3ヶ月程度。より良いものを作るために、私たちは常に今までの常識を捨てて新たな挑戦をしていかなければなりません。動画生成AIの活用に関しても、独自のAI Agentシステムを構築し、映像の構成チェックやキャラクターの演技プロンプトを生成するなどのチャレンジをしています。関西テレビや出演者、そして『どてらい男』のファンの熱量に応えるためには私たちもそれぐらい本気でやらないといけない。『どてらい男』の主人公・山下猛造が困難に立ち向かい不可能を可能にして進んでいったように、私たちも誰も挑戦しなかった領域にチャレンジをしていきたいですね」

「どてらい」は紀州弁で「とんでもない」「凄い」「やばい」と言った意味を表す言葉だ。『どてらい男』の”どてらいプロジェクト”の今後の展開を楽しみにしたい。

篠田裕之さん
データ・テクノロジーを活用したマーケティング戦略立案、メディア・コンテンツ開発、ソリューション開発に従事。データを用いたTV番組企画立案・制作、レシピデータ分析に基づいた食品開発、GPS位置情報データを用いた観光マーケティングなどの事例多数。日常の悩みを様々なテクノロジーで解決していく実験をweb連載記事などにて発表。データ/テクノロジー活用に関する登壇、メディア出演、執筆寄稿多数。

取材・文/DIME編集部
撮影/木村圭司

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