サイズは半分、吸引力はプレミアム級という「最適解」
実を言うと、日本はロボット掃除機の普及率が高くない。米国・中国は25%だが、日本は10~15%程度だ。これには理由がある。
欧米は家の中を靴で過ごす土足文化だから、床が汚れやすい。丹念な拭き掃除機能が必要だし、集めた砂や塵を溜めておくダストボックスも大きいほうがいい。ロボット掃除機は、そんなニーズを満たすよう進化を遂げてきた。一方、日本は靴を脱ぐ文化だから床は汚れにくい。だが家はコンパクトだから、逆に大きなダストボックスは求められていない。
そんな「ズレ」がロボット掃除機の普及を阻んできたのだ。新社長の山田毅氏が話す。
「この新機種は、日本市場を意識して開発したものです。まず、家具の隙間にも入り込んで掃除できるよう小型化する必要があったため、新製品はスティック掃除機のヘッドのサイズと同等、従来のルンバの約半分(直径約24.5cm×高さ9.2cm)にしています」
拭き掃除機能は、本体の接地面に「クイックルワイパー」のような使い捨てシートを装着して拭くシンプルなもので、ダストボックスは小さめに。ただし、必要な機能は妥協せず、吸引力は現行のプレミアムモデル(2025年4月に発表した「Roomba Plus 505」)と同等とした。山田社長が胸を張る。
「日本のご家庭は、床がきれいだからこそ、欧米に比べ様々なものが置いてありますが、この『Roomba Mini』なら、家具や椅子の脚の間もスイスイと通って綺麗にしてくれます」
「和」を意識したカラー展開に込められた本気度
記者会見で山田社長に「開発で苦労したポイントは?」と尋ねると、社長は「(日本の掃除文化を)アメリカ人に理解してもらうことでした」と笑う。
「もっと日本の普及率を伸ばせないか、と聞かれた時、改めて『私はその鍵を知っています、小型化です』と伝えました。しかし最初の反応は『え……?』という感じだったんです」
確かに、日本で暮らす人間には、家に土足で上がるスタイルは理解しにくい。でも逆に言えば、米国の開発陣が、日本の靴を脱ぐ文化を直感的に理解できないのも当然なのだろう。
また、ボディーカラーは定番の白と黒に加え、日本を想定して新たに「WAKABA(若葉)」「SAKURA(桜)」を加えた。記者会見で「なぜ4色展開なのか」を問うと、山田社長はこう答えた。
「日本の市場を意識し、若いお客様や女性にも使っていただきたいと思ったからです。特に「桜(SAKURA)」と「若葉(WAKABA)」は女性のライフスタイルにフィットするのではないでしょうか」
考えてみれば、黒を「Black」でなく「KURO」、白も「SHIRO」と表記することも、同社が日本市場を獲りに来ている本気度の表れかもしれない。
驚異の省スペース「縦置き」モデルも!
今回のラインナップは2モデル展開。特長的なのはルンバを「立てて収納」できるSlimCharge充電スタンドが付属した「Roomba Mini Slim」。玄関のコンセント脇や家具のわずかな隙間にすっきりと収まり、従来品と比べて設置面積を約85%も削減している。こちらは4月6日発売予定で3万9800円。
また、従来と同じゴミ収集ステーション(AutoEmpty 充電ステーション)付きのモデルは2月27日(一部カラーは3月13日)発売で、4万9800円。なお、WAKABAとSAKURAはこのゴミ収集ステーション付きモデルでのみ選択可能だ。
ロボットスマートプラン+でレンタル利用する場合の月額料金は、充電台付きモデルが1880円で、ゴミ収集ステーション付きが2380円(レンタルの場合、カラーはKUROのみ)。一度借りて、その実力を試してみるのもいいかもしれない。
機能面での特徴は、LiDARセンサーを用いた障害物検知/回避機能を受け継いでいること。ルンバは2025年以降の機種全モデルに、従来の光学カメラでなくレーザー光を使うセンサーを搭載し、高速・高精度な空間マッピングを実現している。今回発売の「Mini」も同じ機能を受け継ぎ、暗い場所でも壁や家具や障害物を回避しつつ、部屋の形状を把握し、効率的な清掃を行う。安価だからといって妥協なし、というわけだ。
また、「Wi-Fiに繋ぐのとか面倒」「そもそもできない」といったニーズにも備え、専用アプリを使わないスタンドアロン環境でも使えるようになっている。また、ゴミ収集ステーションには最大90日分のゴミが蓄積可能と、充分な容量を確保している。
「大きすぎて我が家には合わない」「設定が難しそう」とロボット掃除機を敬遠していた方にとって、「Roomba Mini」は最適なモデルと言えるだろう。
最後に筆者から。日本語でダメなもののことを「詰まらない」と言うのは、昔から日本人がコンパクトにモノを詰めるのが好きだったからと言われている。確かに、日本の布団や風呂敷は畳めるが、欧米のベッドやカバンはそうもいかない。そして多分、今もこの感覚は変わっていない。
「Roomba Mini」は、そんな日本人の好みが「詰まった」商品だと感じた。
文/夏目幸明
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