世界100ヵ以上の国と地域で40000を超える店舗を展開するファストフード界の王者・マクドナルド。マクドナルドといえば、その国・地域に合わせたオリジナルメニューを提供していることでも有名です。今回はインドネシアのマクド事情をお届けします。
ハンバーガーが主役にならない国インドネシア
インドネシアでは、McD(マックディー)という愛称で親しまれているマクドナルド。
主にファミリー層、若いカップル、学生を中心に利用されています。マクドナルドは言わずと知れた世界的なハンバーガーチェーン店ですが、インドネシアの人気NO1メニューは「PaNas (フライドチキンとご飯、飲み物付き)」です。筆者の主観では90%を超える確率でPanasを注文しています。
PaNasはPaket (パケット、セット商品のこと) Nasi(ナシ、ご飯のこと)の略です。

朝マックはマフィン、パンケーキなど日本でお馴染みのメニューに並んでお粥があります。
インドネシアのお粥は茹でた鶏肉とフライドエシャロット、ゆで卵や空炒りした豆などが載っている、朝食の定番メニューです。
「屋台のお粥屋さんが賑わっている」それがインドネシアの早朝の光景です。自宅でも食べられるお粥に需要があるのか、そんな疑問が脳裏をかすめます。
お米の1人当たりの年間消費量が約100kgというインドネシアではパンより米。友人たちに言わせると「米を食べなければ食事じゃない」とのこと。
「麺はともかく、パンはおやつでしょ?」という人の多いインドネシアでは、マクドナルドでもお米を使ったメニューが豊富にあるのです。
また、インドネシア人の「辛くなければ食べ物じゃない」という趣向に合わせたスパイシーメニューが多いのも特徴です。
『唐辛子の辛さとご飯のほんのりした甘みのハーモニー』
これがインドネシア人が『美味しい』と感じる食の原点であり、マクドナルドがスパイシーなメニューとご飯を提供する理由ではないかと思います。
人気メニューはフライドチキンご飯セットと朝マックのお粥
フライドチキンはインドネシア語でアヤムゴレンと言います。
牛肉、豚肉は信仰する宗教により制限がありますが、誰でも食べることのできる鶏肉を使った料理、特にアヤムゴレンは路上の屋台から中級レストランまで定番のメニューとなっています。
マクドナルドで展開しているアヤムゴレンは、コリアンソースなどのシーズンメニューのほかに、定番の衣がサクサクのクリスピーアヤムゴレンとオーソドックスなアヤムゴレンがあります。
私は、PaNas special(オーソドックスなアヤムゴレン・スパイシー味とスクランブルエッグ、ご飯)を選んでみました。
注文してから20分、「ほんまにファーストフード店か?」と疑問でいっぱいになる私の手元にセットのトレイが届きました。
こちらがPaNas special です。

バリ料理の辛さに慣れているので、ファーストフードのスパイシー味なんて大したことないと舐めてました。
衣も辛けりゃ、お肉にもスパイシーな味付け。辛さの刺激を休めるご飯が少なすぎます。
辛すぎて涙を浮かべながらも、ペロリと完食いたしました。

この日改めて「アヤムゴレンとご飯って最強!」と確信しました。
「日本の唐揚げ定食と一緒でしょ?」と思われるかも知れませんが、全然違うんです!!
まず鶏肉そのものが身が締まっていて美味しいのです。そして旨さの秘訣は、一度味のついたスープでお肉を煮てから高温で揚げる、という調理法かと思われます。
カリッとしててジューシー。
特に皮がカリカリでたまらん食感です。これがパラっとしたご飯によく合います。インドネシア人が愛して止まない理由がわかる気がします。
さて、日を改めまして朝マックのお粥を実食するべく再びマクドナルドにやって来ました。
朝マックにはお粥以外に『Nasi Uduk(ナシ・ウドゥック)』という主にジャカルタで人気のあるジャワ料理もあります。
ココナッツミルクとスパイスで炊き上げたご飯に、フライドエシャロット、アヤムゴレンなどが載っているやはりお米メニューでございます。この味が苦手な私のチョイスはお粥一択です。
お味は鶏だしの効いた一般的なローカル粥でございます。

鶏のだしを使うのは中国粥の影響と思われますが、中国粥と違ってインドネシアのは水分が「蒸発したのか?」というくらい少なめです。
空炒り豆の代わりに揚げワンタンの皮が入っており、柔らかいご飯の中のカリカリクリスピーな食感が癖になる美味しさ。
先述したように「朝ご飯=お粥」がデフォルトですので、さぞかしみんなお粥を食べているかと思いきや、朝マックの光景も夜と変わらず、アヤムゴレンセットを頼んでいる人が大多数。恐るべし、インドネシア人のアヤムゴレンとご飯への愛。
インドネシア(バリ島)におけるマクドナルドの立ち位置考察
さて気になるマクドナルドメニューの価格です。
朝マックのお粥とブラックコーヒーのセット:Rp18,000(約167円)
アヤムゴレンセットの最低価格:Rp39,000(約362円)
一方ローカル価格は、屋台のお粥はトッピングや量にもよりますが50円~100円。
街中にあるアヤムゴレンのチェーン店では、同じ内容のセットの価格がRp10,000(約90円)
ローカル食の約2倍の価格ですね。
次にビッグマック単品の日本との価格と比較してみましょう。
日本:480円
インドネシア:Rp43,500 (約404円)
さほど大きな違いはありませんね。ですが、バリ州の平均月収は3万5000円で、日常的に利用する屋台での1食の価格が日本円で150円前後ですので、『安い』とは言い難い価格帯だと思います。
とはいえ、高級レストランに比べれば安価で手が届く価格帯であるため、ローカル価格ではないものの高級でもないマクドナルドは、『ちょっと高級感のある飲食店』という立ち位置ではないかと思われます。
インドネシアには「Nongkrong(ノンクロン)」という、特に目的もなく友人、親戚が集まりお茶を飲みながらおしゃべりを楽しむ習慣があります。
マクドナルドはそれほど高価ではないうえに、清潔で冷房、wifi付きとファシリティが充実しており、1品しか頼んでいなくても長時間の滞在ができる最適なノンクロンスポットと言えます。
日本では掃除の行き届いていない外食店の方が珍しい存在ですが、インドネシアはジャカルタ中心部を除き「飲食エリアはそこそこキレイでもトイレが地獄絵図」みたいな店舗との遭遇率は高いです。
その点マクドナルドは、「店内やトイレの清掃が行き届いている」「調理場が衛生的」など清潔感があり、小さな子どものいるファミリー層にとって安心感が高く、そこにお金を払う価値を見出しているのではないかと思います。
総合的にみて、マクドナルドは「『ちょっと高級感』を満たしてくれ、ローカライズされたメニューが豊富なノンクロンスポット」としてインドネシアで愛されているのではないかと思います。
1番人気のアヤムゴレンの他には、みんな大好きミーゴレン(焼きそば)の味に限りなく近いスパゲッティや、旧正月を祝う期間限定品の『Prosperity Burger プロスペリティ・バーガー』などがあり、インドネシアの人の胃袋を掴んでいます。
※写真:McdBali10 「見た目も焼きそばみたいなスパゲッティ。”Pedas Manis”は”甘辛”という意味で甘いソイソースに唐辛子をミックスしたインドネシア人の大好きな味付けのソース。
インドネシアに来られたら、ローカルご飯とマクドナルドのお米メニューの食べ比べもいいかもしれません。
ぜひ、お試しください。
文/くにさだ美彩子(歌手・舞踊家・ライター)
暮らしの中のバリ芸能を学ぶためバリ島に移住。現地芸能家と寺院での芸能奉納を中心に活動しながら自身の作品作りに励む。コロナ禍のバリ島を題材にした小説『あなたにつながる物語』がKindleから発売中。世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ」会員(https://www.kaigaikakibito.com/)
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