高齢の親からスマホの使い方を聞かれ、うまく答えられずに戸惑ったことはないだろうか。簡単なことでも言葉で説明するのは難しい。ましてや電話で聞かれた場合、相手が何に困っているのか、どの画面のことを言っているのか分からない。
どうすれば、もう少しスムーズに答えられるのか。
シニア向けスマホ教室で講師を務め、高齢者からスマホについて質問されたときの応対集「スマホの教え方、教えます」を制作しているNPO法人デジタルライフサポーターズネット理事長の友次進さんに聞いてみた。
まずは“すれ違い”を知る
「スマホ操作を口頭で説明するのは、非常に難しいんです」
スマホの世界にはカタカナ用語が多く、「ギガ」「アプリ」「インストール」といった抽象的な概念が当たり前のように使われる。
「操作できることと、言葉で説明できることは別物です。説明がうまくいかないのは、どちらかの能力の問題ではなく“構造”の問題なんです」
さらに、見落としがちなのが“気持ち”だという。
「多くのシニア層は、スマホを便利な道具というより“厄介で怖いもの”と感じています。個人情報が流出するのではないか、犯罪に巻き込まれるのではないか、と不安を抱えながら使っている方も多くいらっしゃいます」
使い方を聞かれた際に、つい口にしてしまいがちな「触れば分かるよ」という言葉が相手に通じにくい理由も、そこにある。
「『触ればわかるよ』というのは、高齢者にとっては、飛んでいる飛行機のコックピットで言われているのと同じようなことです。コックピットで『触ればわかるよ』なんて言われても、こわくて触れないですよね。操作を説明する際には、まず相手は不安を感じていると知ってほしいですね」
「スクショ」を教えると、やりとりが変わる
では、家族としてできる具体策はあるのだろうか。
「おすすめは、スクリーンショットの撮り方を最初に教えることです」
シニア世代から特に多いのが、「スマホに変な画面が出た」という相談だ。
アプリの権限許可や更新通知など、本人は不安でも、説明する側はその画面を見ていないことが多く、アドバイスのしようがない。
「聞かれた側が状況を把握できないことが、すれ違いの原因になります。困ったら“スクショを撮って送ってね”と伝えるだけで、その後のやりとりはかなりスムーズになります」
スクショの方法を知らないシニアはまだ少なくない。だが、一度覚えれば、質問は“感覚的な不安”から“具体的な相談”へと変わる。
それだけで、教える側の負担はぐっと軽くなるという。
とはいえ、家族が毎回付き添い、根気よく教え続けるのは簡単ではない。
「高齢になると、新しいことを覚えるのは簡単ではありません。一度でできなくても、その都度同じ回答をしましょう。『前に言ったよね?』といった言葉は禁句です。『三歩進んで二歩下がる』くらいでいいんです」
“教える”に頼りすぎず、本人が自分で進める環境をつくる。そのひとつの形として、友次さんは『4ステップでできる!70歳からスマホ上手になれる本』を出版した。
この本は、「一気にスマホを使いこなす」ことを目指すものではない。
すでにスマホを使っているシニアが、不安になったときに立ち止まり、自分のペースで“できた”を増やしていく。そのための伴走役として作られている。
地図アプリでいつもの散歩が小旅行になる、AIに頼めば一週間の献立がパッと完成する。そんなふうに、スマホを通してできることを増やし、暮らしをちょっと便利に、ちょっと楽しくする具体的な工夫が、やさしい言葉で整理されている。
家族としては、いきなり手渡すよりも、「こんな本があるみたいだよ」と一緒にページを開いてみるのがおすすめだ。
目次を見ながら「これならできそう」「これは知りたいかも」と本人が感じられれば、それは“教えられた”のではなく、“自分で選んだ”一歩になる。
「スマホとの距離を縮めるのは、特別なスキルではありません。 “できた!”という自信を積み重ねると、やってみようという気持ちが芽生えると思います」
まずはスクリーンショットという一歩から。親子のスマホのすれ違いは、気合いではなく“仕組み”で減らしていける。
『4ステップでできる! 70歳からスマホ上手になれる本』
著者/友次 進 1,760円(税込)
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構成/DIME編集部







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