ドコモの3Gが3月いっぱいで停波になる。すでにKDDIやソフトバンクも3Gのサービスを終了させており、ドコモが最後。日本から、3Gが完全になくなる。一方で、2月時点でまだ50万程度の3Gケータイやスマホを使うユーザーが残っているといい、買い替えを促進する動きも加速している。
そんな乗り換え先の候補に名乗り出たのが、韓国のスタートアップ、ALTだ。同社は韓国市場で特定のセグメントに向けた端末をリリースしており、シニア向けや子ども向けを得意としている。そのALTが日本進出第一弾として投入した端末が、「MIVE(マイブ)ケースマ」である。
同モデルは、テンキーを備えているが、一般的な4Gケータイとは異なり、グーグルのサービスを利用できるAndroidをそのまま採用している。タッチパネルも備え、キー操作に加えてタッチでの操作も可能。スマホとケータイのいいとこ取りをした、異色のモデルと言える。日本進出第一弾として発売するケースマの実力とは。その使用感をレビューしていく。
想像以上に大きいがキーの押し心地はいい、タッチとの使い分けも
本体にテンキーを搭載しており、縦横比がいわゆるガラケーに近いため、刷り込みもあってスリムな端末と思われがちだが、実際のケースマのボディはやや大ぶりだ。それもそのはず、ディスプレイは4.3インチで、横幅もそれに合わせて作られている。片手で操作することは十分可能だが、ケータイのようにぎゅっと握って使うのは難しい。
ただ、片手持ちしても、親指はしっかり10キーに届く。カーソルや決定キーなど、上部のボタンを操作する際には持ち方を変える必要があるものの、操作感が悪いというわけではない。ケータイ的な見た目だが、そのサイズ感ゆえに、慣れが必要な点は購入前に覚えておきたいポイントと言えそうだ。
韓国でシニア層の心をしっかりつかんでいる端末ということもあり、キーの押し心地はなかなかいい。クリック感がしっかりあり、かと言って硬すぎるといったこともない。テンキー搭載型の端末はかなり久しぶりに使ったが、昔取った杵柄ということもあり、すぐになじむことができた。
とは言え、日本語入力は読みを打ったあとで漢字に変換する方式が主流のため、テンキー入力だとどうしても効率は下がる。例えば、「お」と打とうとすると、フリック入力なら「あ」を下方向に1回フリックするだけだが、テンキーだと「あ」のボタンを5回押して、「あ」「い」「う」「え」「お」と順に表示させていかなければならない。
物理キーの確かな押し心地はある半面、文字入力の効率はあまりよくないということには改めて気づかされた。もっとも、ケースマはタッチパネルでの入力にも対応しており、入力欄をタッチすると、まずフリック入力に対応したソフトウェアキーボードが表示される。テンキー入力がまどろっこしいと思った、これを使うのも手だ。
筆者個人の感想だが、平仮名を入力するのは連打するだけでいいのでテンキーでも入力しやすいが、アルファベットや記号はどこにどれが割り当てられているのかを覚えなければならず、探すのにも時間がかかる。このような時に、タッチパネルを使ってサクッと入力できるのはありがたい。テンキーとソフトウェアキーボードをシームレスに行き来できるのは、従来型のケータイにない同期ならではの魅力だと感じた。
ケータイとして使えるよう、電話やSMSなどのアプリは一通りキーだけで操作できるよう、カスタマイズがしっかりされている。電話をしたいとなったら本体を開き、画面ロックを解除したあと、電話ボタンを押せばいい。ここから電話帳を呼び出せるので、検索をして、もう一度発信ボタンを押せば通話ができる。
こうした操作体系がしっかり作り込まれているので、電話としての使い勝手はいい。SMSも同様だ。ただし、スマホとしてのアプリを使うと、やや話は変わってくる。例えば標準搭載されているものだと、Gmailはメール本文をスクロールさせるまでに、何度かカーソルを移動させなければならず、スムーズに見るのが難しい。
Googleマップなどのアプリも同様で、基本的にスクロールはタッチパネルでの操作を前提にしている。あくまでケータイとしてテンキーで操作できるのは、電話やメールなどの基本機能だけというわけだ。スマホとして使いたいときはタッチ、電話として使いたいときはキーというふうに使い分ければ済む話だが、独特な操作体系になるため、慣れが必要だ。
ケータイだと思わず、あくまでテンキーがついたスマホと考えておいた方が、操作に戸惑わないはずだ。もっとも、Androidを搭載し、グーグルのサービスが使えることで、それを上回るメリットもある。電話として使うとき便利だと思ったのが、電話帳をグーグルのアカウントで同期できること。通常のケータイでは、これができない。
ケータイから乗り換える人は変換などの作業が必要になる一方で、スマホと併用する場合に、その利点が大きくなる。データ通信はスマホに任せて、予備的に電話として使いたいときに重宝する機能と言えるだろう。また、アプリを自由に入れられるのも、Androidの利点。LINEをはじめとしたメッセンジャーアプリにも対応しているため、コミュニケーションの幅が広がる。
YouTube視聴の利便性は想定外、SOSボタンなども便利
ディスプレイが4.3インチあるため、6インチ台が一般的になっているスマホと比べると小さいが、YouTubeなどの動画視聴も十分できる。ケータイとは違い、きちんと加速度センサーも搭載しており、横に倒すと動画が画面いっぱいに広がる。こうした操作方法は、実にスマホ的と言えるだろう。
実際にケースマでYouTubeを見てみて便利だと感じたのが、横にしたまま机やテーブルに立てかけられること。側面がフラットで、かつヒンジで少し内側に曲がるため、安定して置くことが可能だ。一般的なスマホだと、横に倒して置きっぱなしにするのは難しく、できたとしても安定感がない。ケースなしでもこれができるのは便利だ。
側面にはSOSボタンが搭載されている。長押しすると、緊急連絡先に電話できるというものだ。このボタンには、短押しにさまざまアプリを割り当てることが可能。LINEのように、Google Playからダウンロードしたサードパーティのアプリも設定できる。電話とメッセージと、プラスαとしてよく使うアプリをサッと呼び出せるのは便利。メッセンジャー以外だと、PayPayなどの決済系アプリを設定してもいいだろう。
仕様面で残念なのは、FeliCaはもちろん、NFCも搭載していないこと。そのため、クレジットカードのタッチ決済も利用できない。マイナンバーカードを読み取ってマイナポータルにアクセスするといった使い方にも対応していない。日本でもNFCの用途が広がっているだけに、次機種での対応には期待したいところだ。
バッテリーの容量は2100mAhで、一般的なスマホと比べると少ないが、電話やSMSを待ち受けているだけだと、思ったよりも減り方は緩やかだ。この機種には、「DuraSpeed」というアプリのバックグラウンド動作を制限する機能が標準で搭載されているからだ。これを切っておかないと、LINEの通知も届かないことがある。ケータイとして使えるように、制限をかけているというわけだ。
ケータイとスマホのいいとこ取りをしているケースマだが、そのぶん、ケータイよりは使うのが難しくなっており、スマホと比べると機能は低い。どちらから乗り換えるとしても、一定の慣れは必要になる。とは言え、ケータイでもっといろいろなことをしたい人や、スマホだと使いすぎてしまうという人には便利な端末だ。新ジャンルの商品として、日本に定着するかに注目したい。
文/石野純也







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