2005年、裏社会を軸に〝男の生き様〟を描いた稀有なゲームが発売された。「本当にいいの?」と戸惑いながら、多くの人が手に取ったあの時から20年。アンタッチャブルな世界をエンタメに変え続けてきたクリエイターや関係者などに話を聞いた。そこで見えたのは、ファンに仁義を切ったを真摯なモノづくりの姿勢だった。
日本の裏社会という限られた空間がテーマでありながら今や世界中で愛されるコンテンツへと成長した『龍が如く』。その人気の秘密を探るため、開発トップの「龍が如くスタジオ」代表・横山さんに直撃。20年の歴史を振り返った。
なお、現在発売中のDIME4月号では人気ゲームシリーズ「龍が如く」を大特集している。こちらも必見だ!
Amazonで購入 楽天ブックスで購入 7netで購入1作1作に全力を注いだ結果、積み重なった20年なんです

セガ 執行役員
第1事業部 事業部長/プロデューサー
龍が如くスタジオ代表
横山昌義さん
1999年、セガ入社。『龍が如く』シリーズ初期作からシナリオ・演出を担当。プロデューサーを経て、「龍が如くスタジオ」の代表に就任。最新作『龍が如く 極3 / 龍が如く3外伝 Dark Ties』では制作総指揮を務めている。
倫理的に懸念された今までにないゲーム
大人向けエンタテインメント作品として2005年に発売されたゲーム『龍が如く』。1年に1本レベルの短いスパンで新作を投入し、グローバル展開やグッズの販売、イベントの実施など、露出する場を着実に広げ、今では世界中に多くのファンを抱えている。
現在、ナンバリングタイトルは9作品、そのほかにスピンオフやリメイクなどの関連作品も多数展開。シリーズ累計販売本数は2770万本/DLを突破した。
今やセガを代表するIPにまで進化を遂げた『龍が如く』だが、初期作が発売される頃、ゲームジャンルは子供をメインターゲットにしたSFやファンタジーなどが主流の時代。裏社会を舞台にした本作の歴史は、平坦ではなかったようだ。
「プロジェクトを始動する前にプロットやテスト映像とかを作ってイメージを固めていった時期があったのですが、どんどん進めるうちに社内から『倫理的に出さない方がいいんじゃないか』『こんなものを作るためにゲーム会社に入ったわけじゃありません』みたいな声があがってきて。いたたまれない思いでした。どうにか発売しても、最初は全然、売れなくて。デジタル販売もない時代で、初回は10万本ぐらいだったかな。開発費もすごくかかっていて、これは大失敗、もう採算もとれないと。しかも、『2』の発売も決めてしまっていたので『1』の発売前には次のシナリオを書きはじめていました。間に合わないんで。『これは出せないかもな』って思いながら」

失敗に見えた初期作の発売。しかし、今までにない大人向け作品ということで、市場の反応も今までにない動きを見せる。
「しばらくするとホストとかキャバ嬢など夜の街で働く人の間で流行りはじめているっていう噂が入ってきまして。あの頃は、家電量販店のゲームコーナーで売るのが一般的で、以前、新宿にあった『さくらやホビー館』がゲームの単独売り上げ全国1位の時代。それなのに『龍が如く』は、『ドン・キホーテ新宿歌舞伎町店』でトップの売り上げを出しました。夜の仕事終わりに買ってくれているんだなと。ある時、購入層をチェックするため家電量販店の店先近くで一日張ってみたんです。すると、梯子が積まれたワンボックスカーからツナギ服を着た5、6人の男性が降りてきて、『龍が如く』だけを買って帰っていく。よしよし!と思いました」
新規市場の開拓を実際に目にした瞬間だ。こうして日本のユーザーに届けることができた『龍が如く』。しばらくは国内完結型の市場だったが、ローカライズなどに本腰を入れた『0』の予想以上の反響に、グローバル展開にも力を入れることに。
「初期作から海外版を出していましたが、本腰を入れていなくて。翻訳ルールを設けていなかったら、『おやっさん』っていうワードも『father』『oyassan』とかバラバラ。そこで、物語の時間軸でいう最初の作品『0』をしっかりローカライズしようと決めました。そうしたら予想以上の反響がありまして。海外に受ける作品を作ろうという意識はないですが、ローカライズはしっかりやろうと。今は、国内より海外のほうが売上比率は高いです」
それまで欧米チャートにほとんどランクインすることがなかった『龍が如く』。海外向け『0』は、イギリスの週間チャート8位にランクインした。海外はどんなファン層なのか。
「ジャパンカルチャーが好きな人たちですね。だって、訪日外国人を追うテレビ東京の番組『YOUは何しに日本へ?』で2回、取材受けていますから。『龍が如く』で見た神室町(歌舞伎町)に行くために来日したっていう人がいるみたいで」
手探りしながら作った初期作品

批判的な声を受けながらも何とか発売にこぎつけた『1』。約1年後の『2』発売直前の頃には売り上げも好調。「ヒットした途端、みんな手のひら返し。周囲の評価がガラリと変わりました」(横山さん)
『0』から本格的に海外展開

それまでの海外版は翻訳がバラバラ。中には、字幕も付けず本編を翻訳した小冊子を付属するケースも。『0』でしっかりローカライズを行なったところ、海外から高い評価を得る。







DIME MAGAZINE












