韓国のモバイルデバイスメーカー「ALT(アルト)」が日本市場への参入を発表。1つ目の製品として、「MIVE ケースマ AT-M140J(以下ケースマ)」を2月19日に発売する。
注目なのは、一般的なスマホではなく、フィーチャーフォン型のデバイスを取り扱うという点。ALTは韓国でもシニア、キッズといったユーザーをターゲットとしたデバイスを展開しており、日本市場参入のニッチなマーケットを狙って勝負するという。
韓国「ALT」がこのタイミングで日本市場に参入するわけ
ALTは韓国にて、大手3キャリアに端末を展開するメーカーだ。ライセンスを取得して正式にポケモンスマートフォン、シナモロールスマートフォンといったキャラクター端末も展開しており、特にキッズ、シニアといった世代に向けたデバイスを手広く手掛けている。
では、なぜこのタイミングで日本市場への参入を決めたのか。登壇したALTのCEOであるイ・サンス氏や、ALT JAPAN COOのキム・ヒチョル氏も「スマホ市場はレッドオーシャン」と話す中で、新規参入の狙いや勝算について語られた内容を見ていこう。
■日本市場参入の狙いとタイミング
ALTは、大手メーカーがひしめく一般的なスマートフォン市場(レッドオーシャン)での真っ向勝負を避け、他社が手を出さないニッチな「セグメント市場」での成功を狙うという。
つまり、韓国市場で成功しているキッズ、シニア世代に向けた端末の訴求をめざしていく。既存のプレイヤーが参入していない、または撤退しつつある特定の顧客層に特化した製品を提供することで、確実なシェア獲得を目指す。
■背景には3G停波による乗り換え需要もあり
このタイミングで一見〝ガラケー〟のスマホを展開する背景には、2026年3月に控えるNTTドコモの3G停波がある。ドコモが3Gを停波すると、大手3キャリアはすべて停波したこととなるため、3G回線にのみ対応したケータイを使用しているユーザーが、一気に機種変更を行う可能性がある。
従来型のケータイからスマートフォンへの移行を迫られているユーザーは、数百万規模で残っているという。ALTはこの層をターゲットに、ガラケーの操作感を維持しつつLINEなどが使える端末を投入する好機と判断したようだ。
ちなみに、キム氏は「本当はもう少し早いタイミングで市場参入したかった」とも話している。確かに3G停波が3月であることを考えると、プロモーション等も含め、もう少し猶予が欲しかったところだろう。
また、現役でケータイを使う保守的なユーザーの多くは、大手キャリアで回線契約を行っている傾向が強いだろう。ALTとしても、現時点では大手キャリアでの販売はハードルが高く、まずはSIMフリー市場とMVNOからスタートする戦略をとるが、将来的には大手キャリアとの協業や、おサイフケータイの対応にも意欲的とのことだ。
■日本市場で生き残る勝算はあるのか
ALTのビジネス戦略、および日本市場での勝算については、「小規模ならではの強み」や「韓国での実績」があるという。
今回発売されるケースマと同型の製品は、すでに韓国で累計100万台を出荷している。ターゲットであるシニア層だけでなく、デジタルデトックスやレトロブームもあり、若者世代にも一定の指示を受けているとのことだ。
また、大手メーカーが1年サイクルで新製品を続々と展開するのに対し、ALTは3年以上のライフサイクルで製品を展開する。これにより部品調達や在庫管理のリスクを抑え、小規模な数量でも利益が出る「筋肉質」な経営体制を構築できるという。
ケースマは、大手メーカーが競うハイエンドモデルとは違い、「電話とLINEができればいい」「物理ボタンが欲しい」という根強い需要に応える受け皿となり得る。まずはイオンモバイルやHISモバイルといったMVNO、ビックカメラ、ヨドバシカメラといった量販店に販路を置き、徐々に拡大していく計画となっている。
ガラケーみたいなスマホ「ケースマ」ってどんな端末?
「ガラケーみたいだけど、ちゃんとスマホ」をコンセプトとするケースマは、従来のケータイの形状と物理キーの操作性を維持しつつ、LINEやYouTubeなどのAndroidアプリが使えるスマホだ。つまり、外側はガラケー、内側はスマホという、一風変わった端末となっている。
■物理ボタンの安定した操作性とローカライズ
フィーチャーフォンの形状が一定の指示を受けている大きな要因は、物理ボタンによる確実な入力体験だろう。ただし、文字入力には販売国への入念なローカライズが必要となる。
ケースマでは、テンキーでの文字入力を快適にするため、オムロン ソフトウェアの日本語入力システム「Wnn(ウンヌ)」または「iWnn」を搭載する。これにより、ガラケーのような予測変換と「打つ喜び(クリック感)」を実現し、画面を見ずに打つブラインドタッチも可能となる。スマホでのフリック入力に慣れている筆者からすると、文字入力にはかえって時間がかかるが、確実さはやはり大きな魅力だ。
加えて、物理キーだけでなく、4.3インチの画面にてタッチ操作もできる。文字はキーで打ち、動画視聴やアプリ操作は画面タッチで行うといった使い分けができるというわけだ。
物理ボタン、タッチ操作を掛け合わせた操作体験は魅力だが、多くの場合物理ボタンで行える操作は「選択」のみ。つまりスクロールして画面を動かすためには、物理ボタンではなく画面をタッチする必要がある。これはAndroidの仕様によるためのものだが、「物理ボタンですべての操作が行えるわけではない」という点には注意が必要だろう。
■シニア・キッズに向けた安心機能
シニアやキッズに向けたデバイスとして、本体側面には「SOSボタン」が搭載されている。SOSボタンを長押しすると、事前に登録していた緊急連絡先へと、位置情報とSMSが送信される仕組みとなる。
SOSを短くクリックした場合は、任意のアプリを起動するショートカットになる。GoogleアシスタントやQR決済アプリを設定しておくと便利だ。
見守り機能として、端末の開閉や利用が一定時間ない場合、家族に安否確認メッセージを自動送信する機能も搭載される。音声読み上げ機能は、着信時に「田中さんから電話です」のように発信者名を音声で案内する機能となる。
■主要スペックと販路
先に触れたとおり、ケースマはドコモの3G停波などに伴う乗り換え需要なども想定したエントリーモデルのスマホとなる。搭載OSは軽量版のAndroid 14 Go Edition、SoCはMediaTek Helio G36で、メモリは3GB、ストレージは32GB。
本体サイズは約127.8×65.3×16.2mm、質量は約195g。従来のガラケーをイメージしていると、やや大きく、重く感じるだろうが、これはタッチ操作対応のディスプレイを搭載するためだろう。
ディスプレイは約4.3インチ。外側には時計やタイマーなどの表示ができる、1.83インチのサブディスプレイを搭載する。アウトカメラは800万画素、インカメラは500万画素となる。バッテリーは2100mAhで、USB-Cにて充電する。
本体はIPX4/IP5Xの防塵防滴性能に準拠しており、イヤホンジャック、ストラップホールも備える。通信は5Gに非対応で、4G LTE対応だ。
大手キャリア(MNO)での直接販売はないが、MVNOとしてイオンモバイル、HISモバイル、J:COM MOBILE、LIBMO、日本通信にて取り扱い、ビックカメラ、ヨドバシカメラとしてもSIMフリーモデルが展開される。価格は3万4800円。
■ALTは日本市場の隙間をどこまで埋められるのか
スマートフォンの高機能化競争が続く中で、あえて「ガラケー型」で日本市場に切り込んだALT。その戦略は、レッドオーシャンでの真っ向勝負を避け、3G停波で置き去りにされそうなユーザーを救うという極めて合理的なものだ。
「ケースマ」の魅力は、物理キーのクリック感という「懐かしさ」と、LINEなどのアプリが使える「実用性」の融合にある。特にオムロンの技術を採用し、日本特有の入力習慣にまで配慮した点は、単なる懐古趣味ではなく、実用的なツールとしての本気度を感じさせる。
販路は現状MVNOや量販店に限られるが、シニア層だけでなく、デジタルデトックスを求める層など、潜在的なニーズは意外に広いかもしれない。「ハイスペックはいらないが、物理ボタンは欲しい」という切実な声に応えるこの端末が、日本のスマホ市場の隙間をどう埋めていくのか注目したい。
取材・文/佐藤文彦
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