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「iモード問い合わせ」のドキドキとは?平成を彩った日本のモバイルカルチャーを振り返る

2026.02.21

2026年3月31日をもって、NTTドコモの3Gサービス「FOMA」が終了するが、同時に国内の携帯電話サービスの飛躍的な進化を牽引した「iモード」も終了する。平成を彩った日本のモバイル・カルチャーはどんなものだったのだろうか。

iモードとは? 改めて振り返る

NTTドコモが提供する「iモード」は、携帯電話でメールやインターネットが利用できるサービスのことだ。1999年2月にサービスが開始され、2010年には4900万契約を突破するほど、大ヒットを記録した。

iモード開始前の携帯電話は、一部でメールが利用できたものの、ブラウザによるコンテンツサービスなどを含めた統合的なサービスはなく、世界的にもこれほど成功した携帯電話サービスの例はないとされる。

iPhone登場の10年も前に、iモードは「掌の上でネット」を楽しめた

今やインターネット言えば、誰もがスマートフォンで当たり前のように利用しているが、そのきっかけとなったのは2008年に国内で発売されたiPhoneと言われる。

しかし、その10年近く前の1999年にiモードのサービスは開始しており、メールだけでなく、ニュースや天気予報、銀行、証券、ゲームなど、多彩なサービスを掌の上で、誰もが簡単に利用できていた。

iモードに接続すると最初に表示されるトップページ

3和音から16和音、そして本物の音源へ「着メロ」と「着うた」の進化

iモードの時代、人気を集めたのが着信メロディ、いわゆる「着メロ」だ。

当初の着信音はベルのような音ばかりだったが、電子音や擬似的なメロディを収録した機種が登場。ユーザー自身がオリジナルの音階を打ち込める(入力できる)機種が登場したことで、さまざまな楽曲の入力方法を収録した雑誌が発行されるようになり、人気を集めた。着メロのブームはその後、本来の楽曲やその一部を再生できる「着うた」へと引き継がれていった。

「iモード問い合わせ」のドキドキとは?

iモードはコンテンツサービスのほかに、メールを利用することができた。携帯電話で利用できるメールサービスはデジタルホン(現在のソフトバンク)が「スカイウォーカー」という名称で、ひと足早く提供していたが、iモードメールは通信のしくみが違い、送信から着信までに少しタイムラグが生じることがあった。そのため、ユーザーは新着メールの有無をiモードセンターに確認するため、「iモード問い合わせ」などの操作をする必要があった。

携帯電話カスタムの原点。壁紙の楽しさ

携帯電話が広く普及し、誰もが持つようになると、自分だけのケータイを演出したくなるもの。iモードで最初にヒットしたサービスのひとつが待受の壁紙で、おなじみの人気キャラクターの壁紙などが数多くダウンロードされた。iモード端末に設定できる壁紙は機種ごとにディスプレイサイズが違ったが、それぞれの端末に合わせたサイズの壁紙が配信され、ダウンロードした有料の壁紙は他の端末に転送できないようにする著作権保護のしくみも採用されていた。

「ギャル文字」「絵文字」のルーツがここに。「iモードメール」

現在のスマートフォンでは、LINEやメッセンジャーなどで「絵文字」が広く使われ、平成には「ギャル文字」と呼ばれる少し変わった表現も登場した。こうした少しビジュアルを交えたメールやコミュニケーションは、iモードメールで利用できた絵文字がきっかけと言われる。

絵文字そのものはiモード以前から存在し、パソコンなどのチャットツールでも利用されていたが、より多くの人が絵文字の楽しさを知ったのは、iモードメールや各携帯電話会社のメールサービスだった。当初は各社の絵文字に互換性がなかったが、2006年にNTTドコモ、au、ボーダフォンが絵文字変換サービスの提供を開始し、より広く絵文字を交えたコミュニケーションが行なわれるようになった。

メールの文字や背景に色や動きがつけられる「デコメール」。ダウンロードしたデコメ素材を使って楽しいメールが作れた

TikTokは「前略プロフィール」「魔法のiらんど」の動画版? SNSやブログの前身が誕生

iモード時代には後のスマートフォン時代に人気を得るサービスが数多く存在した。たとえば、スマートフォンではブログやSNSなどを通じて、個人が情報を発信するサービスが広く普及しているが、「前略プロフィール」は無料のプロフィール作成サービスで、現在のSNSのプロフィールページなどに通じる。

iモードの人気コンテンツとして広く利用された「魔法のiらんど」も無料のホームページ作成サービスだったが、個人による小説の投稿や閲覧ができる「ケータイ小説」が人気を集め、紙の単行本が発行されるタイトルもあった。

「パケ死」という恐怖

iモードはNTTドコモがデジタルmova向けに開発したパケット通信サービス「DoPa」を採用し、データ通信を提供していた。音声通話の時間単位の課金と違い、送受信したデータ通信量によって課金されるしくみだっため、どれだけ使ったのかが感覚的につかめず、想定以上の使い過ぎによって、課金がかさんでしまうこともあった。

俗に「パケ死」と呼ばれ、2004年にFOMAのパケット通信料定額サービス「パケ・ホーダイ」が登場するまで、ユーザーを苦しめた。

iモードもメールも使い放題の「パケ・ホーダイ(パケット定額サービス)」は定額制で、パケット通信量もお得になるサービス。2008年12月31日で新規受付を終了した。

ビジネスとインフラを変えた「ガラパゴス」の功罪

iモードはメールやコンテンツサービス、おサイフケータイなどを提供し、携帯電話サービスのビジネスを大きく変える存在だった。NTTドコモだけでなく、auの「EZweb」、ソフトバンクの「Yahoo!ケータイ」(J-フォン時代は「J-スカイ」、ボーダフォン時代は「Vodafone live!」)といったライバル各社の対抗サービスが存在したことも大きい。

iモードは海外展開を試みたが、プリペイド携帯電話が多い海外では、ビジネスモデルが大きく違い、残念ながら失敗に終わった。とは言うものの、その後のスマートフォンで展開されたアップルやGoogleのビジネスモデルは、iモードの成功に倣ったものとも言われている。

Apple Payやニュース配信の原型「おサイフケータイ」と「iチャネル」

スマートフォンの決済サービスとしては、PayPayなどのコード決済の普及が急速に進んでいるが、携帯電話を利用した決済サービスの先駆けと言えば、非接触チップ(FeliCa)による「おサイフケータイ」に他ならない。

一般的なクレジットカードなどと違い、端末上で残高や決済額などをすぐに確認できるなどのメリットがある。iモードで提供された「iチャネル」や「my daiz」などの情報配信サービスも今日のスマートフォンで提供される位置情報やアプリによる通知(情報配信)に引き継がれている。

「iチャネル」の画面イメージ。ドコモが配信するニュースや天気、芸能・スポーツ、占い、音楽、雑誌などの最新情報を取得できた。2026年3月31日でサービスは終了

クローズドなエコシステムが作った安心感

iモードはNTTドコモの「iモードセンター」を利用して、各コンテンツプロバイダーの公式サイトにつなぐしくみを採用していた。iモードでコンテンツを配信する企業はNTTドコモと契約することで、このしくみを利用でき、端末のiモードボタンを押したときに表示される[i Menu]に表示することができた。

「iモードセンター」はクローズドなしくみだったが、パケット通信量による課金を管理したり、セキュリティを担保しながら、サービスを提供することができた。

iモードはなぜiPhoneに主役の座を譲ったのか? iモードの裏側

世界に先駆け、メールやコンテンツサービスを提供したNTTドコモのiモード。回線契約だけでなく、端末、コンテンツ、決済などを垂直統合型ビジネスモデルとして提供したことで、2000年代のモバイル業界ではもっとも成功したとも言われた。

しかし、2008年に国内に投入された「iPhone」をきっかけに、そのビジネスモデルは崩れ、いよいよ2026年3月に3Gサービスの「FOMA」と共に、サービスの終焉を迎える。

日本に初上陸した「iPhone 3G」

メディアでは「iモードはガラパゴス(日本独自のサービス)だから負けた」といった評価をされることも少なくないが、現在のiPhoneやAndroidスマートフォンで展開されているモバイルサービスを軸にしたビジネスは、iモードで展開されてきた垂直統合型のビジネスモデルをグローバルなビジネスに転化し、アプリやコンテンツ、課金などのしくみを取り入れたことで、成功を収めている。

裏を返せば、モバイル業界において、iモードという垂直統合型のビジネスモデルの成功がなければ、現在のスマートフォンを中心にしたビジネスの隆盛は生まれなかったかもしれないわけだ。

取材・文/法林岳之 構成/中馬幹弘

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