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ドコモが今年3月に3G停波、その裏側で何が起きているのか?

2026.02.22

2026年3月31日をもって、NTTドコモは「FOMA」のサービス名で親しまれてきた3Gサービスを終了する。

3Gは「3rd Generation」の略で、第3世代の携帯電話方式を表わしており、すでにauが2022年3月31日、ソフトバンクも令和6年能登半島地震の影響で延長したものの、2024年7月31日をもって、サービスの提供を終了している。楽天モバイルは当初から4Gでのサービスを提供していたため、3Gサービスの終了とは無関係だ。

今回のNTTドコモの3Gサービス終了に伴い、国内ではすべての3Gサービスが終了することになる。

ドコモは2026年3月に、なぜ3Gを停波するのか?

NTTドコモはなぜ3Gを停波し、サービスを終了するのか。簡単に言ってしまうと、携帯電話の通信方式の『世代交代』になる。

無線通信技術はこれまで数十年にわたり、飛躍的な進化を遂げてきた。その進化の内容で共通しているのは、電波という限られた資源をいかに有効活用するかにある。

今や国内で2億以上の契約数がある携帯電話サービスだが、1990年代前半のネットワークはまだ発展途上で、1995年時点で固定電話が6028万のところ、移動電話は433万の契約しかなかった。

【参考】携帯電話の普及と高度化|総務省

しかし、1995年以降は契約数が急激に増加。そのため、より多くの周波数の帯域、道路でいうところの道幅が必要になり、新しい周波数帯域を各携帯電話会社に割り当ててきた。

それと同時に、より周波数効率の高い新しい世代の通信方式を導入することで、拡大する需要に応えてきた。そのひとつが「3G」であり、その3Gが役目を終えるため、停波するわけだ。

そもそも「1G」「2G」「3G」「4G」「5G」って何? 携帯電話回線の基礎知識

では、3Gがどういう位置付けなのかを理解するため、携帯電話の通信方式の基礎知識を振り返ってみよう。

■1980年代。外出先で電話ができる感動。アナログ音声だけの「1G」

国内における携帯電話サービスは、1979年に開始した世界初の自動車電話サービスまでさかのぼる。当時は日本電信電話公社(現在のNTT)が東京でサービスを開始し、その後、大阪や名古屋にもエリアが拡大した。

自動車電話にバッテリーを組み合わせることで、可搬性を実現したのが1985年に登場した「ショルダーホン」で、1987年には体積500cc、重量900gにまとめられた初のハンディタイプ「TZ-802型」も登場した。

「ショルダーホン」(100型)
「TZ-802型」

当時の携帯電話は音声通話のみがサービスとして提供されていたが、通信方式は「アナログ」だったため、市販の無線機などで音声通話の内容が傍受可能だった。

【参考】
携帯電話の登場・普及とコミュニケーションの変化 – 白書|総務省
主要展示物のご紹介|携帯電話 – NTTドコモ歴史展示スクエア

■1990年代。デジタル化でメールが誕生。文字が送れる「2G」

アナログ方式に続き、1993年にはデジタル化した「PDC」(Personal Digital Cellular)方式のデジタル携帯電話のサービスがスタートした。

「PDC」方式はアナログ方式に比べ、周波数の利用効率に優れ、通話内容の傍受が困難といった特長を持つ。NTTドコモでは「デジタルmova」という名称でサービスが開始され、当時のIDOやDDIセルラー、デジタルホン、ツーカーなども「PDC」方式を採用した。

「デジタルムーバ N」

国内では広く普及した「PDC」方式だったが、欧州各国では第2世代の携帯電話の方式として、「GSM」(Global System for Mobile communications)が採用された。その結果、日本と韓国以外のほとんどの国と地域では「GSM」方式が普及した。

一方、国内では1997年3月にNTTドコモがパケット通信方式を採用した「DoPa」(ドゥーパ:Docomo Packet)のサービスを開始する。

それまでの携帯電話サービスのデータ通信は、音声通話と同じように回線をつなぎっぱなしで通信をする回線交換方式だったため、接続した時間単位で課金されていた。これに対し、「DoPa」はやり取りするデータを携帯電話回線にパケット(小包)に分割して送受信し、伝送したデータ通信量によって課金するしくみだった。

このDoPaによるパケット通信を採用したのがNTTドコモの「iモード」だ。iモードは携帯電話にブラウザーやメールの機能を搭載し、インターネットに接続して、ニュースや天気予報、着信メロディなどのコンテンツを利用できるサービスの先駆けになる。

■2000年代。共通規格でネットが加速。写メや着うた、動画視聴ができる「3G」

日本における第2世代の携帯電話サービスは、iモードなどによって、世界的にも注目を集めるモバイルインターネットを実現したが、グローバル市場では「GSM」方式を採用する国と地域がほとんどで、また、「GSM」陣営でも国と地域によって、利用する周波数帯域が異なり、相互に利用できない状況だった。

こうした状況に対し、世界中で共通の携帯電話の方式を策定し、同じ周波数帯域で利用できることを目指したのが「第3世代携帯電話」、つまり、「3G」(3rd Generation)だ。

そして、2000年代中頃にはケータイのサービスが最盛期を迎える。メールに写真や動画を添付したり、音楽をダウンロードして音楽プレーヤーとして活用したり、ワンセグ放送を楽しめる端末なども登場した。

■2010年代。スマートフォン黄金時代はYouTubeなどの動画配信が当たり前になった「4G」

2010年代に入ると、3Gに続く通信サービスの提供がスタートする。3Gの次なので、「4G」になるはずだったが、実際には「LTE」(Long Term Evolution)という方式が採用された。

3Gの進化版という位置付けで、「3.9G」と呼ばれることもあったが、ITU(国際電気通信連合)が「4G」の規格として呼称することを認めたため、現在は「4G LTE」「4G」「LTE」などの名称が混在することになった。

LTEが3Gまでの規格と異なるのは、パケット通信によるデータ通信のみがサポートされている点にある。

音声通話についてはVoIP(Voice over Internet Protocol)のしくみを利用し、LTEサービス上に実装されることから、「VoLTE」(Voice Over LTE)と呼ばれる。

ただし、サービス開始当初は3Gサービスの音声通話を併用していたり、ネットワーク側でも3Gサービスを経由するしくみが存在したため、今回の3G停波においても初期の4G LTE端末が影響を受ける事態となっている。

国内におけるLTEサービスは、2010年12月にNTTドコモが「Xi(クロッシィ)」という名称で開始し、2012年にはauが「iPhone 5」の発売に合わせ、LTEサービスをスタートさせている。ソフトバンクも同じく2012年にLTEサービスの提供を開始している。

LTEは3Gよりも周波数の利用効率が向上しただけでなく、通信速度を大幅にジャンプアップさせる「キャリアアグリゲーション」という機能が追加されている。

3G以前のサービスでは基本的に端末は1つの周波数帯域のみを利用し、通話や通信を行なっていた。これに対し、LTEで実現されたキャリアアグリゲーションは複数の周波数帯域を束ねて送受信できるため、3G以前のサービスでは難しかった数十Mbpsという高速通信を可能にした。

こうした通信技術の進化に加え、スマートフォンという高機能な端末が用意されたことで、動画配信やSNSといった新しいサービスが普及することにつながっていく。

■2020年代。自動運転や遠隔医療などスマートフォンを越えた未来社会を作る「5G」

4Gに続く「5G」は、2010年代後半から標準化や技術開発が活発になり、国内では2020年にサービスが開始された。

「超高速大容量」「超低遅延通信」「多数同時接続」という特長を持ち、4Gサービスよりも高い周波数帯域を利用することができる。

ちょうど世界的なコロナ禍と重なってしまったため、当初、想定していたほどのスピード感では普及しなかったが、国内では2025年第一四半期に5Gの契約数が1億1571万件となり、4Gの契約数を超えるところまで普及が進んでいる。

【参考】電気通信サービスの契約数及びシェアに関する四半期データの公表|総務省

5Gはこれまでの携帯電話サービスの進化と同じように、周波数の利用効率が高く、高速な通信が可能といった特長があるが、もうひとつ大きく異なる点がある。

4Gまでの携帯電話サービスは、端末が自動車電話からショルダーホン、携帯電話、高機能なケータイ、スマートフォンへと進化を遂げてきたが、いずれも音声通話や通信を利用するためのインフラとして、進化してきた。

これに対し、5Gはこれまでの携帯電話サービスの枠を超え、社会全体に求められる通信サービスとして、検討が進められてきた背景がある。たとえば、自動運転や遠隔医療、ドローン、ロボットなど、未来社会を構築していくために必要なインフラとしての役割を担うことが想定されている。

5Gの開発が進められているとき、クアルコムの幹部は「5Gは電気のようになる」と表現していたが、5Gサービスは電気や水道、ガスといった人々の生活に欠かせない存在になっていくことを示唆していたわけだ。

国内で5Gサービスが開始されてから、まもなく6年近くになるが、これまで以上に5Gサービスが本格的に活用されていくうえで、2つのキーワードが注目されている。

まず、現在の5Gネットワークは、これまで利用してきた4Gネットワークからの移行をスムーズにするため、4Gのコアネットワークを併用する「NSA」(Non StandAlone)方式のネットワーク構成を採用している。

ところが、NSA方式は4Gネットワークを経由して、5Gネットワークに接続されるため、5Gサービス本来のパフォーマンスを十分に引き出すことができない。

これに対し、5Gサービスの本命と言われるのが「SA」(StandAlone)や「5G SA」と呼ばれる方式で、5Gネットワークのみで構成されるため、効率良く5Gサービスを利用できる。

5G SAを利用するには、ネットワーク側での対応や5Gエリアの整備が必要なため、本格的な普及はこれからだが、すでにNTTドコモ、au、ソフトバンクは5G SAサービスを展開しており、ネットワークのパフォーマンス向上や新サービスの展開をスタートさせている。

もうひとつのキーワードは「ミリ波」だ。

各携帯電話会社は5Gサービス向けに割り当てられた周波数のうち、「Sub6」と呼ばれる6GHz帯以下の周波数帯域を中心に基地局の整備を進めており、これに4Gサービス向けや3Gサービス向けで利用していた周波数帯域を徐々に5Gサービスに転用することで、エリアを拡大している。

これらに対し、5Gサービス用としては「ミリ波」と呼ばれる周波数帯域も割り当てられている。

ミリ波は28GHz帯という非常に高い周波数帯域を利用するため、あまり電波が飛ばないうえ、障害物などの影響を受けやすいという制約がある。しかし、5Gサービス用として割り当てられたミリ波は、周波数帯域(幅)が非常に広いため、より多くのデータ通信を送受信できるうえ、超高速通信を実現できる。

たとえば、プラチナバンドと呼ばれる800MHz帯は各社共、20~30MHz幅、3Gサービスの共通バンドとして割り当てられた2GHz帯は40MHz幅だが、5Gサービスに割り当てられた28GHz帯は各社400MHz幅ずつが割り当てられている。つまり、単純計算で10倍以上のデータ通信が送受信できるわけだ。

今のところ、ミリ波対応端末は、ごく一部に限られているため、利用できるユーザーは少ないが、スタジアムやアリーナなど、数千から数万人が一度に集まるような場所で、ミリ波によるネットワークの整備が進められており、今後、『推し活』需要などにも寄与することが期待されている。

2Gから3Gへの移行で手間取ったドコモ。その裏側で起きていたこと

iモードの人気が爆発し、2G時代に隆盛を誇ったNTTドコモ。しかし、2000年代に向けて携帯電話サービスは第3世代へ移行しようとしていた。そこでNTTドコモは、予想外の苦戦を強いられることとなった。歴史を振り返ってみよう。

■iモードの爆発的ヒット。デジタルmovaの時代にドコモは絶頂期だった

「デジタルmova」の時代に登場し、携帯電話でインターネットを楽しむことができたiモード。対応のWebサイトを閲覧したり、メールのやり取りやニュースなどの情報を得るといった行為が外出先でも可能となり、爆発的な人気を呼ぶこととなった。

「mova」までの回線交換方式は、時間単位の課金を行っていたが、「デジタルmova」ではパケット通信(DoPa)でデータ(情報)を送受信するうえ、iモードにおいては、ブラウザーやメールで送受信できるファイルサイズを制限することで、パケット通信料を抑える工夫がなされていた。

しかし、当時はパケット通信料に上限がないため、パソコンに接続して、大量のデータを送受信してしまい、たいへん高額なパケット通信料を請求される「パケ死」という言葉も生まれたほど。NTTドコモは「デジタルmova」で絶頂と呼べる時期を過ごしていた。

■2001年に世界初の3Gサービス開始。鳴り物入りで登場した「FOMA」(W-CDMA)

世界中で共通の携帯電話の方式を策定し、同じ周波数帯域で利用できることを目指した「第3世代携帯電話」。2001年にNTTドコモが世界に先駆けてサービスを開始したのは、「W-CDMA」方式の3Gサービス「FOMA」であった。

iモードの大ヒットのさなか、まさに鳴り物入りで「FOMA」は投入され、世間の注目も甚大だった。

■「つながらない」「電池が持たない」「重い」~基地局整備に莫大な投資と時間を費やしたドコモ~

しかし、「W-CDMA」は第2世代の「PDC」方式と互換性がなかったため、同方式を採用したNTTドコモとボーダフォン(現ソフトバンク)は、「W-CDMA」方式の基地局やアンテナ設備を新たに整備し、エリアをイチから構築する必要性に迫られた。そのため、サービス開始から数年間はエリアもかなり狭かった。

これに加え、3G対応端末は拡がらないエリアの中で、接続できる電波を探し求めるため、バッテリーの消費が多く、サービス開始当初に発売されたNTTドコモの「FOMA」端末には、複数のバッテリーが付属されていたほどだった。

■au(KDDI)の猛追と「800MHz帯」の攻防戦。勝負を分けた「cdma2000」

第3世代携帯電話への移行にNTTドコモ、ボーダフォンが苦戦していたのに対し、後にKDDIとして合併する日本移動通信とDDIセルラーは、1998年から第2世代と第3世代の中間的な規格を採用した「cdmaOne」のサービスを国内でスタートさせていた。

そして、auが採用した3Gサービスの規格「CDMA2000 1x」は、「cdmaOne」の後継規格だったため、auは「W-CDMA」陣営に比べ、いち早く全国にエリアを拡大することができた。

さらに、2003年には上位規格「CDMA2000 1x EV-DO」を採用した3Gサービス「CDMA 1X WIN」を開始し、携帯電話サービス初のパケット通信料の定額制を実現する。

CDMA 1X WINを初採用したau「W11K」

■街中でしか使えない3G(FOMA)より、どこでもつながる2G(デジタル mova)という皮肉

「FOMA」は宇多田ヒカルのテレビCMなどで華々しくアピールされる一方、「W-CDMA」という新方式を採用し、イチからエリアを構築しなければならず、都市部の地上エリアは徐々につながるようになっていくものの、郊外や地方ではなかなかエリアが拡がらず、苦戦が続いていた。

その一方、10年近くサービスが提供されてきた第2世代の「デジタルmova」は、エリアも十分に広く、iモードの人気とも相まって、3Gのサービス開始後の2000年以降も広く利用され続けていた。

■新周波数(2GHz帯)の基地局整備に莫大な投資と時間を費やしたドコモ

NTTドコモが「FOMA」のエリア展開において、苦労したのは、「W-CDMA」方式で新たにエリアを展開したことに加え、3G向けに割り当てられた周波数帯域が2GHz帯という高い周波数だったことも関係している。

3Gで最初に利用した2GHz帯は、それまでに利用してきた800MHz帯や1.5GHz帯に比べ、周波数が高い。一般的に、周波数は低い方が屋内にも浸透しやすく、建物の背後などにも回り込みやすい。

その一方、2GHz帯は直進性が強く、建物などに反射してしまうため、より多くの基地局やアンテナ設備を整備しなければならず、NTTドコモやソフトバンクはエリア整備に莫大な投資と時間を費やすことになってしまった。

■「FOMAにしてください」と言いづらいドコモの販売店

サービス開始から数年の「FOMA」の不振は、NTTドコモのシェアを支えてきたドコモショップをはじめとするNTTドコモの販売店にも大きく影響を及ぼした。

NTTドコモからは最新サービスの「FOMA」の販売を促され、販売奨励金なども積み上げられたが、利用者の間にも「FOMAはつながらない」といった認識が拡がっていたため、なかなか思うように「FOMA」への移行が進まなかった。

端末も販売価格が高いうえ、電池持ちもあまり良くなく、ドコモショップに来店したお客さんに対し、「FOMAにしませんか?」とは声がかけにくい状況が続いた。

■2004年の「900」シリーズ登場で、ようやく「普通に使える」ようになった「FOMA」

苦戦が続いていたNTTドコモの3Gサービス「FOMA」において、ひとつのターニングポイントになったのが2003年に発表され、2004年から順次、販売が開始された端末「FOMA 900」シリーズだ。

サービス開始時から販売されてきた「FOMA」端末は、第2世代の「デジタルmova」シリーズに比べ、端末サイズが大きく、開発期間や販売台数の関係からカメラなどのハードウエアスペックも見劣りすることが少なくなかったが、「FOMA 900」シリーズではこれらを一新。

アークラインデザインのドコモ「N900i」

三菱電機、富士通、NEC、パナソニック、シャープの全5機種をラインアップし、メガピクセルカメラ搭載や「着うた」対応など、魅力的なシリーズとして、注目を集めた。

■「失われた3年間」の重み

2000年に提供が開始されたNTTドコモの3Gサービス「FOMA」だが、新しい通信方式である「W-CDMA」を採用したことで、エリアをイチから展開しなければならず、端末の開発にも時間やコストを要したため、当初の3年は従来の「デジタルmova」からの移行を進めることができなかった。

対する業界第2位のauは、1998年から『2.5世代』の「cdmaOne」を提供し、エリアの継続性を保ちながら、第3世代の「CDMA2000」を提供したため、スムーズな移行を実現した。

この違いは3年間の業績の違いだけでなく、2006年にスタートする「MNP」(携帯電話番号ポータビリティ制度)にも大きな影響を及ぼし、初期のMNP商戦でのauの大躍進を生み出すことにもつながっていった。

3G停波の裏側で何が起きている?

さて、2026年3月31日に3Gの停波を迎えるが、NTTドコモの対応はどのようなものであろうか。2Gから3Gへの移行を振り返りながら、その裏側で何が起きているのか、ご紹介する。

■最強だった「デジタルmova」自身がライバルになった「FOMA」。ドコモの4G、5Gへの移行はどうなっている?

「W-CDMA」という新方式への切り替えのため、NTTドコモは「FOMA」 への移行に苦戦した。そのため、「デジタルmova」の価値が再認識され、「FOMA」よりも「デジタルmova」という皮肉な評価を生んだ。その結果、一部ユーザーに「FOMA」への不信感が芽生えて、auに乗り換えるユーザーを増加させてしまった。

携帯電話サービスの世代交代は、時として通信キャリアの命運を分ける転換点となる。そこで今回の4G、5Gへの完全移行への状況を確認した。

まず、NTTドコモでは2024年4月21日に3Gの終了宣言を行い、その後、DMの送付や電話でユーザーへ移行の推奨を実施。さらに、移行の懸念アンケートを実施してきた。

継続して、2025年7月から9月にかけて、家族向けに3Gの取り替えを勧奨するDMの送付や来店不要の書類による移行手続きのDMの送付を実施。

10月から12月にかけては訪問販売員による3G停波の案内や移行サポート、郵便局員による訪問勧奨を行い、また、新聞広告やテレビCMも実施した。

2026年1月には、年賀状ハガキやDMを送付。最終的には書留による案内を実施する予定となっている。

直近、NTTドコモから送られたDMの見本

新料金プランやスマートフォンの推奨、割引を実施

3G契約から4G・5Gへ移行を進めるため、NTTドコモでは対象ユーザーに、月間1GBまでのデータ量が使用できる「はじめてスマホプラン」サービスの提供を2021年4月1日から開始した。

「dカードお支払割」と「はじめてスマホ割」の適用で、1年目月額1078円、2年目以降月額1628円で利用可能として、3Gからの移行を勧奨している。

また、2023年3月に「DIGNOケータイ」を発売。加えて、「AQUOS wish5」「Galaxy A25」の購入割引も実施して、フィーチャーフォンからの乗り換えをスムーズにする準備を整えてきた。

「DIGNOケータイ KY-42C」

シニアユーザーにとって、スマートフォンの契約や利用は家族のサポートも大切だ。そのため、移行を促進した家族に5000dポイントを進呈する、ファミリー紹介特典などの施策を実施。さらに、「あんしん店頭サポート」「あんしん遠隔サポート」でスマートフォンやタブレットの使用をサポートする体制も整え、2か月分のポイントを進呈した。

また、2025年10月から12月にかけて、「らくらくスマートフォン」「らくらくホン」といったシニア向け端末の割引を実施したほか、最大5万5000円の割引クーポン券も配布されている。

3Gの停波で通話の声が聞こえなくなる?

「3Gの停波でVoLTEへ切り替わり、音声通話ができなくなる端末がある」と、株式会社NTTドコモ プロダクトマーケティング本部 プロダクト技術部 無線テクノロジー担当部長の飯塚 洋介氏は懸念を指摘する。

さらに「VoLTE初期対応端末には、お客さま自身でVoLTEへ端末設定の切り替える必要があり。そのためVoLTE対応端末にも関わらず、設定を『VoLTE オフ』にしていると3Gの音声を使うこととなり、音声通話が聞こえなくなる場合がある」(飯塚氏)と危惧。

そのため、3Gの停波以前に、VoLTE対応端末への乗り換え、または対応端末の場合でも、初期モデルでは「VoLTE ON」設定への変更が必須となる。

3Gの停波で800MHzと2GHz帯域の合計20MHzが未使用に

NTTドコモでは、800MHzと2GHz帯域の20MHzが、3Gの停波で未使用となる。そこで、2026年4月1日以降は順次4G・5Gの活用を進めていくことになる。

特に800MHz帯は電波が届きやすい周波数帯とされており、携帯電話の接続性や通信速度の向上に寄与すると期待されている。

■契約者数の「0.5%」以下に。4G・5Gへ移行できるか? 巻き取りの進捗

法人利用を含めたNTTドコモの3G回線契約者数は、2011年の約5700万契約をピークに、現在は公表値350万人となっている。

株式会社NTTドコモ コンシューマサービスカンパニー マーケティング推進部 営業推進 担当課長の小疇(こあぜ) 伸氏によると、「3Gの個人契約者は、4G・5Gを利用する個人契約者全体の1%を切る段階まで移行が進んでいる」という。

そして、「2026年3月31日の3Gの停波時点での契約者は、個人契約者全体に対して0.5%以下になる見込み」(小疇氏)としている。

■海外ローミング対策は? 法人需要への対応は大丈夫?

訪日外国人が3G対応の端末を持ち込むケースがある。その際のローミングサービスも3G停波により、4G・5G対応の端末に切り替える必要がある。

また、3G回線を利用する法人については、「自動販売機での3G契約などを行っている法人のお客さまとは、3Gの停波により4Gや5Gへ切り替えるか、それとも停波に伴いサービスを終了するか、個社ごとに合意をいただいており、3Gの停波が社会的な影響に及ぶことにはならないと想定しています」(小疇氏)とする。

■携帯電話回線の世代交代の真意。ケータイご意見番がズバリ斬る

2026年3月31日に終了するNTTドコモの3Gサービス「FOMA」。サービスを終了する最大の理由は、携帯電話サービスで利用する無線通信技術の『世代交代』に基づくものだ。

携帯電話は空中を飛び交う見えない電波を使うため、あまり意識されていないが、電波は限られた資源であり、これを有効活用するには、新しい無線通信技術を投入し、周波数の利用効率を高めていく必要がある。

1990年代初頭に100万程度だった携帯電話の契約数は、今や2億を超え、音声通話だけでなく、モバイルデータ通信も広く利用されている。特に、モバイルデータ通信のトラフィック(データ通信量)の伸びは著しく、ライトユーザーで月間数GB、ヘビーユーザーでは数十GB以上に達し、今後、AIの普及などで、さらにデータ通信量が爆発的に増えることが予想されている。

総務省は携帯電話サービスに割り当てる周波数帯域も増やしているが、やはり、無線通信技術の世代交代は必須であり、ユーザーとしてもそこに応えていく必要がある。

今後、NTTドコモは3Gの停波によって、空きができた周波数帯域について、順次、5Gなどに切り替えていく方針で、NTTドコモの5Gのエリア拡大や通信品質向上にもつなげていく見込みだ。

取材・文/法林岳之 構成/中馬幹弘

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