北海道北見市にある「北の大地の水族館」は、たびたびバズる水族館だ。
というのも、館長を務める山内創さんのアイデアから放たれる仕掛けが面白い。
たとえば、2020年に設置され、最近もSNSを湧かせた「館長が出てくるボタン」。
北の果ての小さな水族館が持つ計り知れないポテンシャル
「用事がなくてもOK!ボタンを押すと、だいたい3分以内に現れます」と書かれた案内とともに「出てくるメーター」まで添えられている。
公の施設ではなかなか見られないシステム。
さらに…
来館者からの質問に嘘偽りなく誠実に答えた回答もバズる。この水族館、興味しか湧かない。
調べてみると、北の大地の水族館は日本初の滝つぼ水槽があったり、世界初と言える氷の下で暮らす川魚を見られる水槽があるなど魅力に溢れている。
パンチのあるネタで人目を引いて実際に訪れると裏切られる顛末かと予想していた己を恥じたい。
北の果ての小さな水族館が持つ計り知れないポテンシャルと、たびたび世間を賑わす館長のSNS術を探るべく、今回、山内創館長に話を聞いた。
――「館長が出てくるボタン」を設置したきっかけを教えてください
「2020年に来館者との交流を増やしたいとの思いから設置したのですが、実際にお客様との交流も増え、私以外の水族館スタッフたちもより積極的に交流をするようになりました」
「設置以前と比べるとスタッフとお客様双方ともに水族館を「コミュニケーションをする場」として捉えるような意識の変化を感じています」
――ボタンを押したお客様で印象に残っている方は?
「妙に魚に詳しい方から魚のことを聞かれ、しばらく話していたら実は大学の先生だったことがあります。他には近所の魚好きの中学生から何度もお魚クイズを挑まれていたことも。また、ボタンを押してくれて話をした学生さんが後日実習生としてやってきてくれたこともありました」
実際にこのボタンをきっかけに来館者との会話を楽しんだのは2025年だけで192回。「用事がなくてもOK」との記載もあるため、中には本当に用事がないお客様も若干いるようだが、その際は「水族館の今日の見どころを一方的にお話しします」とのこと。これはこれで嬉しいかもしれない。
さらにSNSでバズっているのが「来館者からの質問への回答」。
もちろん、魚にまつわる質問もあるが、館長や飼育員に関する素朴な疑問も多いとか。これも水族館で働く方々の人柄の良さ、魅力が溢れているからだろう。
ただ、中には困った質問もあるという。
「基本的にはお子様からの魚や水族館への純粋な疑問が多く寄せられているんですが、『館長はまたアフロにしないんですか?』、『館長の好きな食べ物はなんですか?』など個人的な質問は回答に困るなという感じです」
そんな、はじけた時代もあった山内館長だが、スタッフからの信頼は厚い。「北の大地の水族館がここまで成長できたのは館長の力が非常に大きい」、「限られた中で他では考えつかないようなアイデアや展示方法等をどんどん反映して独特な唯一無二の水族館が作られている」と称賛の言葉が並ぶ。
特に凄いのはSNSの活用だ。必要以上に気張っているような鬱陶しいPRではなく、何気ないポストやありのままの写真で水族館の魅力を伝えている。
そんなSNSへのこだわりをさらに聞いた。
そして、北の大地の水族館は、本当に凄かった。
日本一と世界初がある水族館が目指す未来
SNSで話題になった「館長が出てくるボタン」をきっかけに、かつて水族館を訪れたファンがボタンを押すためだけに再訪したというエピソードもある。
数年ぶりの再会を実現したのはSNSに他ならない。そんなSNSを積極的に活用している山内館長のこだわりを聞きたい。
「SNSは水族館という生き物に触れる入口を知ってもらう場なので、あまり難しいことは考えずに水族館という場が楽しい場所であるということを共有できるような発信をすることを心がけています」
「また、水族館の公式アカウントでは水族館のことをお伝えし、私個人のアカウントでは生き物や北海道の生活のことを中心に発信することで棲み分けをすることも意識しています」
とにかく水族館の魅力を伝えたい。館長は、あくまで冷静に地道な活動を続けるのみ。
「個人的にはSNSの話題というのは一瞬で過ぎてしまうものだと感じているので、あまり人気になっているという実感はないです。ただ、水族館の中の人という公式とも一個人とも違う絶妙なポジションでの発信がウケているのかなと考えています」
ここでもう一度言っておきたいのだが、北の大地の水族館はSNSでバズったから話題になっただけの水族館ではない、ということ。
滝を見上げ、激流に流されまいと泳ぐ魚たちの美しく力強い姿を見られる半ドーム状の水槽もあれば、北海道の凍った川の底でじっと寒さに耐えながら力強く泳ぐ魚のたくましさを感じ取れる水槽もある。
また、最大2メートルにもなる日本最大の淡水魚イトウを目の当たりにできるなど、実力派の水族館でしかない。
知れば知るほどハマりそうな北の大地の水族館。今後、より来館者を増やすためにやるべきこと、必要なこととは?
「ハードウェア面で言えば2012年に今の施設へとリニューアルしてから、この14年で北海道の河川や湖の環境も大きく変化していますし、そろそろ新たな展示を作る必要があるなと感じています」
「ソフトウェア面では公共交通機関の減便や人口減少などが続く中で関係人口の創出や地域の他の施設との連携、認知の拡大などやることは山積しています」
「そんな中で私たちは北海道の淡水魚類を更に掘り下げる企画はもちろん、魚類以外の淡水生物や生物ではなく環境そのものにも範囲を広げて楽しんでいただけるイベントや企画展を作っていきたいと考えています。少しでも気になった方はぜひお越しください。そしてお時間あるときはSNSをチェックしてみてください」
文/太田ポーシャ
お値段5万4780円でも大人気!サッポロビールが本気で作った〝履く黒ラベル〟が渋すぎる!
サッポロビールが、ビールの副産物から作ったデニムがある。 これは、サッポロビールが2022年から製造しているアップサイクルジーンズで、現在販売されている「黒ラベ…







DIME MAGAZINE


















