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20年前のガラケー画質が愛おしい!トイカメラ「KODAK CHARMERA」が心に刺さる理由

2026.02.17

筆者が高校を卒業して、訳あって神奈川県相模原市から親戚一同がいる静岡県静岡市に引っ越したのは2003年の頃だった。

その時分、携帯電話には既にカメラレンズが付いていた。もちろん、その画質は現代のスマートフォンのものと比較するレベルではない。が、今の目で見る「低性能」は当時の「高性能」である。携帯電話のカメラでちゃんと写真を撮れること自体、すごいことだったのだ。

そんな「昔の一場面」を再現できるトイカメラ『KODAK CHARMERA』が、今回の記事の主役である。

かつて販売されていた使い捨てカメラの「生まれ変わり」

ポップマートのぬいぐるみ『ラブブ』は、「ブラインドボックス形式の販売」の可能性を大きく切り開いた商品でもある。

日本では「ガチャ」と呼ばれることもあるが、要するに箱を開封するまで何が入っているか分からない形式の商品で、これが消費者の射幸心を大いに刺激できることが証明されたのだ。

ブラインドボックス形式の商品には500円程度のものもあれば、今回のKODAK CHARMERAのように5,000円を超えるものも存在する。

KODAK CHARMERAは、1/4インチセンサーのデジタルトイカメラとはいえ、「カメラ」であることに違いはない。それすらもブラインドボックスになっていることに驚きだが、同時にこのKODAK CHARMERAは現在飛ぶように売れているという。1/4インチセンサーの画質などたかが知れているはずなのに、なぜ?

それはやはり、「懐かしさ」がウケているからだろう。

かつて、コダックは『KODAK Fling』という使い捨てカメラを販売していた。これは30mmフィルムよりも遥かに小型の110フォーマットを採用した商品で、横長の筐体を親指と人差し指でつまんで持ち運べるくらいのサイズ感だった。あまり売れなかったのは、画質の問題があったからと言われている。

フィルムもセンサーも、小さくなればなるほど画質に難が出てしまう。

しかし、現代の一般消費者は画質を第一要素として求めているのだろうか?

画質の良いデジカメは、今やスマホに統合されている。極論ではあるが、画質を最優先にするなら素直にスマホを使えばいい。故に、一般消費者がデジカメに求めているのは「画質以外の何か」になっているのだ。筆者と同じくらいの年齢の人であれば「20歳の頃に使っていた携帯電話のカメラで撮影した写真」を懐かしいと思っているだろうし、今の20代であれば「親世代のデジカメの画質」をむしろ新鮮と感じているだろう。

デジカメの画質向上により、消費者が画質を最優先事項として考えなくなったという不思議な現象が発生しているのだ。

「それなり」が美しい!

それはさておき、KODAK CHARMERAで遊んでみよう。

冬の静岡市中心部は、しかしながら土日には夜でも多くの人出がある。新静岡セノバという、静岡鉄道が所有する商業施設が実質的な「静岡市のヘソ」だ。この静岡鉄道を避けて静岡市の経済を語ることはできない。それほどの企業である。

KODAK CHARMERAで撮影する静岡市は、やはり「それなり」だ。お世辞にも「綺麗な画質」とは言えない。
しかし、よく考えてみればこれはかつての110フォーマットフィルムの画質ではなかったか?

KODAK CHARMERAには各種フィルターが用意され、ボタン一つで自在に切り替えることが可能。白黒やセピア調、さらには赤や青、黄色といったフィルターも用意されている。

上の写真のような、昔の香港映画のオープニングみたいな写真も撮影することができる。

二重の意味の「懐かしさ」

80年代のコダックは、確実に到来するデジタルカメラの時代をはっきり実感しつつも、フィルムカメラの小型化に巨額の資金を投じていた。

結論から言えば、それらの殆どは芽を出さなかった。KODAK Flingもそうだったが、1982年に発売した『ディスクカメラ』は膨大なカネをコダックから吸収するだけで全くと言っていいほど普及せず、ほんの数年で市場から消え去った。

再び経営危機を迎えているコダックの珍ガジェット「ディスクカメラ」を覚えているか?

イーストマン・コダックが再び経営危機を迎えているという。 19世紀、写真機といえばガラスの板に薬品を塗り、巨大な木箱の中にそれを納めてからレンズの蓋を開けて光を…

この時の失敗の連続が、イーストマン・コダックの経営危機につながっているのだが、それでもKODAK Flingやディスクカメラが技術的に全く無駄な取り組みだったのかというと、そうとは言い切れない。

「画質を二の次にして、いつでも気軽に撮影できるカメラ」というコンセプトは時代を先取りし過ぎていた……とも解釈できる。コダックは遅れていたのではなく、進んでいたのだ。進んでいたからこそ、消費者の意識がそれに追随できなかった。

KODAK CHARMERAが実現させているのは「20年前の携帯電話内蔵カメラの写り具合」であり、「110フィルムカメラの写り具合」である。言い換えれば、20年前の携帯電話カメラの画質は110フィルムカメラと同等だったということだ。そう考えると、KODAK CHARMERAは二重の意味で「懐かしい画質」なのだ。

カメラは「世紀」を記録し続ける

この小さな1台を携帯することに、どのような意味があるのだろうか?

現代は誰しもがカメラを所持し、「人生の節目」や「日常の中のちょっとした突起」を撮影している。その行為は社会問題をもたらすこともあるが、しかしそれを補って余りある役割——我々が生きている「21世紀」そのものを記録し続けている。

そこに「画質」という要素は、実はあまり重要ではないかもしれない。

なぜなら、人の眼球は必ずしもクリアな光景を見ているわけではないのだから。

【参考】
KODAK CHARMERA

文/澤田真一

1984年生まれ。静岡市生まれ相模原市育ち。グラップリング歴20年超。世界のスタートアップ情報からガジェットレビュー、Apple製品、キャッシュレス決済、その他諸々のジャンルの記事を執筆。

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