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円安、円高はなぜ起きる?金利・景気・リスクの3要因で読み解く背景

2026.02.17

為替相場において、日本円の値段(円相場)は日々変動します。「円安」「円高」という言葉をニュースで耳にしますが、なぜ円の価値が上がったり下がったりするのでしょうか。本記事では、金利・景気(金融政策)・リスクの3つの要因に注目し、円安・円高が起きる理由を初心者にもわかりやすく解説します。

具体的な例として、歴史的な円安トレンドとなった2022年から、150円台が定着した2026年現在までの動向や、為替変動が日常生活や旅行、輸入品の価格、投資に与える影響も紹介します。難しい専門用語はできるだけ避け、ニュースの見出しから為替の変動理由を直感的に読み取るコツも説明します。

金利差が為替に与える影響|日米金利差と円安・円高

まず、為替レートに大きな影響を与えるのが金利差です。国と国との間で金利(利息の水準)に差があると、お金はより高い金利がもらえる通貨に集まりやすくなります。

たとえば日米金利差を考えると、アメリカの金利が高く日本の金利が低いとき、人々は利息を多くもらえる米ドルで資産運用したいと考えるでしょう。その結果、日本円を売って米ドルを買う動きが強まり、円安(円の価値下落)につながります。逆に、日本の金利が上がったりアメリカの金利が下がったりして日米金利差が縮小すると、円を持っていても損をしにくくなるため日本円が買われ、円高(円の価値上昇)の方向に動きやすくなります。

この現象は「金利の低い通貨を借りて金利の高い通貨で運用する」取引、いわゆる円キャリートレードによって説明できます。日本円の金利が極めて低く、米ドルなど海外の金利が高い局面では、投資家は金利の安い円を借りてドル資産を購入し、利ざやを得ようとします(実際に日本が長らく超低金利だった2022年頃から円キャリートレードが活発化しました)。

■ポイント|金利差と円相場の関係

• 海外の金利上昇・日本の金利据え置き|海外通貨の金利が上がり日本との金利差が広がると、より高い利回りを求める資金が海外に流入しやすくなり、円売り・外国通貨買いが進むため円安要因になります。
• 海外の金利低下・日本の金利上昇|日米金利差の縮小により円が相対的に買われやすくなり、円高要因となります。

景気・物価と金融政策|利上げ観測が円安、利下げ観測で円高?

金利は各国の中央銀行の金融政策によって決定されますが、その背景には国内の景気動向や物価上昇率(インフレ率)があります。一般に、景気が過熱して物価が上がりすぎると中央銀行は利上げ(政策金利の引き上げ)を行い、景気が減速して物価が下がりそうなときは利下げや金融緩和を実施します。

実際、中央銀行の金融政策会合で利上げ・利下げが決定されると為替は大きく動きます。

• 円高のケース|日本銀行(日銀)が金融政策の方針を変更して将来的な金利引き上げに動けば、日本の金利上昇を見込んだ円買いが起こりやすくなります。
• 円安のケース|アメリカの中央銀行(FRB)が「まだ利下げは早い(高金利を維持する)」と示唆した場合には、日米金利差が縮まらないと判断され、ドル買い・円売りが優勢となります。

■過去の転換点 | 2024年夏の変動

2024年7月末、日銀がマイナス金利政策からの脱却を進め、短期金利を0.25%程度まで引き上げました。同時期に米国の利下げ観測が重なり、一時的に1ドル=160円台から140円台前半まで急激な円高が進みました。これは「金利差が縮まる」という思惑が市場を動かした典型例です。しかし、その後2025年に入ると再び米国の景気底堅さが意識され、円安基調へ戻るなど、市場の予想は常に変化しています。

地政学リスクとリスクオフの円買い|定説の変化に注意

為替相場には経済指標や金利差だけでなく、戦争や国際紛争、世界的な株価急落など「先行きの不透明感」が高まるリスク要因も影響します。これを「リスクオフ(risk-off)の局面」と呼びます。

かつては「有事の円買い」と言われ、リスクオフ時には安全資産として円が買われるのが定説でした。しかし、近年(2022年以降)はこの定説が崩れつつあります。 日本の貿易赤字(デジタル赤字含む)による実需の円売り圧力や、アメリカの経済的な強さを背景に、「日本円が独歩安になる」ケースが増えています。ニュースを見る際は、「リスクオフだから必ず円高」と決めつけず、実際の市場の反応を確認することが重要です。

2022~2026年の為替動向|歴史的円安と現在地

近年の具体的な為替相場の推移を振り返ってみましょう。日米の金融政策の違いと経済体力の差を背景に、歴史的な円安トレンドが継続しています。

• 2022年~2023年(円安の加速)| 米国がインフレ抑制のために急激な利上げを行った一方、日本は金融緩和を維持したため、金利差が拡大し急激な円安が進行。1ドル=150円台という約32年ぶりの水準を記録し、政府・日銀による為替介入も行われました。
• 2024年(乱高下と調整)| 前半には一時1ドル=160円台の歴史的円安水準に達しましたが、夏場に日銀の利上げと米国の利下げ観測により140円台まで急騰するなど、ボラティリティ(変動幅)の激しい一年となりました。
• 2025年(米経済の「強さ」と円安回帰)| 市場では「米国の利下げによる円高是正」が期待されましたが、米国のインフレが予想以上に根強く、FRBの利下げペースが緩やかだったこと、またAIブーム等による米国株への資金流入が続いたことで、ドル高圧力が継続。為替レートはじわじわと150円台に戻る展開となりました。
• 2026年初頭(現在)| 2026年2月現在、1ドル=156円前後での推移が続いています。日本の金利も徐々に上がってきてはいるものの、依然として日米の絶対的な金利差は大きく、また日本の貿易赤字といった構造的な要因もあり、円安水準が「ニューノーマル(新常態)」として定着しつつあります。

円安・円高が生活に与える影響

為替レートの変動は、私たちの日常生活にも直結します。

• 輸入品の価格|円安は、ガソリン、食料品、最新のスマートフォン(iPhoneなど)の価格上昇に直結します。2026年現在も物価高が続いている一因です。
• 海外旅行|円安時は海外での出費が割高になります。一方で、円安を背景に多くの外国人観光客(インバウンド)が日本を訪れ、国内経済の一部を支えています。
• 資産運用|円安が進むと、S&P500やオルカン(全世界株式)など外貨建て資産の円換算評価額は上昇します。逆に、今後円高に振れた場合は評価額が目減りするリスクがあるため注意が必要です。

ニュース見出しで為替変動の理由を直感的につかむコツ

最後に、ニュースの見出しから相場の動きを読み解くキーワードを整理します。ポイントは、そのニュースが「日米の金利差を広げるものか(円安)、縮めるものか(円高)」を見極めることです。

1. 【円安】になるキーワード(1ドル=150円→155円へ) 「ドルを買ったほうが儲かる」または「円を持っていても増えない」というニュースです。

<米国の要因(ドルが強くなる) >
・「米FRB、利上げ(または利下げ見送り)」
・「米雇用統計が予想を上回る(景気が強い)」
・「米インフレ再燃(高金利が続く)」

<日本の要因(円が弱くなる)>
・「日銀、金融緩和を維持」
・「日銀総裁、ハト派(緩和寄り)発言」
・「日本の貿易赤字が拡大(実需の円売り)」

2. 【円高】になるキーワード(1ドル=150円→145円へ) 「ドルを持っていると損をする」または「今のうちに円を買い戻そう」というニュースです。

米国の要因(ドルが弱くなる)
・「米FRB、利下げ開始(または利下げ観測)」
・「米景気後退(リセッション)懸念」
・「米雇用統計が悪化」

日本の要因(円が強くなる)
・「日銀、利上げ決定」
・「日銀、金融政策を修正(正常化へ)」
・「日銀総裁、タカ派(引き締め寄り)発言」

まとめ

2026年現在、私たちは1ドル=150円台というかつての「超円安」が当たり前の時代を生きています。その背景には、日米の金利差だけでなく、経済成長力の差や貿易構造の変化など、複合的な要因が絡み合っています。 「なぜ今日は円安になったのか?」を考えることは、世界経済の動きを知ることそのものです。ぜひニュースを見る際は、金利と景気のニュースに注目してみてください。

著者名/ 鈴木林太郎 経済ライター
テックと経済の“交差点”を主戦場に、フィンテック、Web3、決済、越境EC、地域通貨などの実務に効くテーマをやさしく解説。企業・自治体の取材とデータ検証を重ね、現場の課題を言語化する記事づくりが得意。難解な制度や技術を、比喩と事例で“今日使える知識”に翻訳します

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