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世界全体で年間約3億kg!マクドナルドの「チキンナゲット」が大量に消費され続ける理由

2026.02.17

1年でナゲット4000億食分を世界販売

ビックマックやチーズバーガーがマクドナルドの看板メニューなのは疑う余地もないが、実は同社のチキン商品は売り上げにおいてビーフ系メニューに追いついていることが2024年に発表されている。今やチキンマックナゲットはハンバーガーに並ぶ看板商品になっているのだ。

それもそのはずで、同社によるとチキンマックナゲットは世界で毎年7億ポンド(約3億1751万kg)の量を販売しているという。数にしてなんと2兆個ということで、1ポーション5ピースで実に4000億食分という途方もない数だ。

世界人口が80億人とすると全員が年間50食、週に1回弱はチキンマックナゲットを食べられることになる。

当初はメニューのレパートリーを増やす目的で販売されたというチキンマックナゲットだが、アメリカ国内で販売開始された1983年当時は3種類のサイズと4種類のディップソースが用意されていた。その翌年にはカナダ、日本、フランス、ドイツに広がって世界中にファンが定着し、同社は2003年にチキンマックナゲットの材料を全て白身肉に切り替え、2016年には人工保存料、着色料、香料を廃止するなどの改善を図り、その一方で数十年にわたりレシピにほとんど変更を加えていないということだ。

日本マクドナルドでは2月中旬まで期間限定の「スパイシーチキンマックナゲット黒胡椒ガーリック」や、「やみつき旨にんにくソース」と「サワークリームタルタルソース」を販売し、また漫画『ろくでなしBLUES』と初のコラボで新TVCMを放映するなどして話題を呼んでいる。

ナゲットの4つの異なる形状

大成功を収めたと言ってよいチキンマックナゲットだが、世界中でなぜそれほど消費されているのか。その秘密のひとつがナゲットの形状にあることがかつての研究で報告されていて興味深い。

日本マクドナルドはチキンマックナゲットを、ボール型、ベル型、骨型、ブーツ型の4つの異なる形状に成形している。この形状の多様性はナゲットの魅力にどのような影響を及ぼしているのだろうか。

立命館大学の研究チームが2024年6月に「Appetite」で発表した研究では、チキンマックナゲットの形状の多様性が「チアリーダー効果」を生み出して魅力を高めているのかどうかが検証されいる。

チアリーダー効果(Cheerleader Effect)とは、個人が単独でいる時よりも、グループ(集団)の中にいる時の方がより魅力的に見える心理現象で、4人以上が集まると効果が顕著になるとされている。

これは脳が集団の平均的な特徴を統合するため、個人の欠点が目立たなくなり、全体として魅力的に感じられるのだと考えられている。はたしてこのチアリーダー効果が食べ物にも適用されるのだろうか。

ナゲットにも「チアリーダー効果」が発生

研究チームは2つの実験を行った。

24人が参加した実験1では、参加者は各ナゲット形状の視覚的魅力を評価した。その結果、丸いボール型のナゲットはほかの形状のナゲットよりも視覚的に魅力的でないことが明らかになった。さらにさまざまな形状の複数のナゲットは、単一形状のみの複数のナゲットよりも魅力的であると評価された。

22人が参加した実験2では、参加者はグループになった複数のナゲットと単独で提示されたナゲットの視覚的魅力を評価した。

特定の1つのナゲット(ターゲットナゲット)の視覚的魅力は、単独で提示された場合よりもグループで提示された場合の方が高かった。さらにさまざまな形状が入り混じった中にあるターゲットナゲットは、ターゲットナゲットの形状に関係なく同じ形状だけのグループで提示された場合よりも視覚的に魅力的であることが突き止められたのだ。

つまりナゲットにおいてもチアリーダー効果が起こっており、4つの異なる形状で形成していることはあたかもチアガールに応援されているかのように功を奏していることになる。

この結果は視覚的魅力の低い食品においてもさまざまな形状の食品と一緒に提示された場合、より魅力的であると認識される可能性があることを示唆している。

食品のグループに提示された形状の多様性は、グループ全体と個々の食品の両方の魅力の知覚に影響を与えており、この研究は食品の視覚的多様性がその魅力に与える影響について新たな知見をもたらすものとなった。

チキンマックナゲットの成功の秘密のひとつに、形状にバリエーションを持たせたことが挙げられることになる。

美味しかった記憶がリピーターを生み出す

またチアリーダー効果は時間をおいて、記憶を頼りに魅力を評価した場合の方が高まる傾向があることも報告されている。

豪フリンダース大学の研究チームが2021年に「Quarterly journal of experimental psychology」で発表した研究では、顔と身体は単独で写っている場合と比較して、ほかの顔あるいは身体と一緒に写っている場合の方が魅力度が高くなる傾向が報告されているのだが、写真を見てから時間をおいた後、記憶を頼りに魅力を評価してもらった場合の方がチアリーダー効果が強く生じたこともまた示される結果となっている。

ナゲットを食べて美味しかった記憶は、ビジュアル的に思い出すことでさらに魅力を増し、また食べたくなってくるという正のループを生み出すことで、チキンマックナゲットのリピーターとファンを作り出しているというのも大いに考えられそうだ。

食の体験において多様な味覚を楽しみたいという動機も強力ではあるが、その食べ物の色や形状といったビジュアル要素も同じくらい重要であることを再確認できる話題でもあるだろう。

※研究論文
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0195666324003702
https://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1177/1747021820976087

文/仲田しんじ

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北海道生まれ東京育ち。学業ドロップアウト後、小説家を志しつつ広告代理店営業マン、任期制陸上自衛官、家電販売員などを経て経て出版業界へ。アスキーなどで編集者として勤務した後、フリーライターとして活動。科学から心理学まで幅広いテーマを執筆。ネット上の研究論文を読むのが趣味。大型自動二輪免許を持っている。 X: @nakata66shinji

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