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積水ハウスが考える〝経年美化の趣〟とは?年々美しくなる庭を備えた集合住宅

2026.02.12

積水ハウスの「積水ハウス ストーリー」は、同社が展開する様々な事業を顧客、社員それぞれの視点から紹介するニュースレターだ。

この「積水ハウス ストーリー」では、顧客の戸建て住宅への想いや社員の商品開発への熱意など、毎回テーマを設定しており、今回のテーマは、『経年美化「エイジング」の趣~時を重ねて美が深まる集合住宅~』。

時間が流れるほどに味わいを増して、そこに佇むだけで心が落ち着く。そんな空間が日常の中にあったら、暮らしがより豊かになるはず。ということで、月日を重ねるほどに美しさを深めていく庭を備えた、大阪府の集合住宅・K氏邸がフィーチャーされている。

K氏邸

今回のプロジェクトを手がけたのは、積水ハウス大阪北シャーメゾン支店のエクステリアデザイナー齋藤 英氏だ。K氏からの要望は、「年月が経過しても、長く魅力的な空間をつくって欲しい」というもの。芸術や建築に造詣の深いK氏と打合せを重ねながら、こだわりの賃貸住宅を実現していったという。

メインコンセプトは「エイジング」

齋藤氏は今回の設計を次にように振り返る。

「K様から、『月日が経過しても美しく、長く愛され、年月を重ねて美しくなるようにして欲しい “エイジング”を意識して欲しい』というお話を伺い、コンセプトを“エイジング”にしました。完成した瞬間がピークではなく、年月を重ねるほどに魅力が増す空間です」

K氏は当初、敷地いっぱいに建物を配置したため、造園スペースが少ないことがマイナスと考えていた。しかし、齋藤氏は、あえてその制約を強みに変えた提案をしたのだ。

積水ハウス 大阪北シャーメゾン支店 齋藤 英氏

「スペースが限られているからこそ、大きな石や流木を使えば、逆に迫力が生まれます。思い切ってダイナミックな造園にしましょう」

この提案をK氏は快諾。さらに、K氏が敬愛する建築家、フランク・ロイド・ライトの代表作であり世界遺産でもある「落水荘」のエッセンスを取り入れることになった。

■手描きスケッチから生まれた信頼

設計の過程で、齋藤氏はあえて手描きのスケッチを提示したという。

「最近では、CADのパースが主流となっていますが、私は造園について、基本、お任せして欲しいと考えています。なので、K様にも手描きの資料を作成し、『こんな雰囲気のものができます』とお伝えしました。打合せを重ねるうちに、K様も『お任せします』と、言ってくださるようになりました」

齋藤氏が描いた手書きのパース

限られた敷地で魅せるダイナミックな造園

建物正面は駅へと続く通りに面しており、通勤・通学で多くの人が行き交う。敷地は2方向道路に接して細長く、奥行きは深くない。

こうした限られたスペースでの4階建の建物だ。前面道路の幅が限られているため、樹木は上へ伸ばすのではなく、枝を横に広げる樹形を選択。歩く人の目線に緑が広がるよう植栽を配置した。

歩く人の目線に緑が広がるよう植栽

“エイジング”と“自然素材”をキーワードに、床材には外から内へと続く「鉄平石」を選択。さらに、素材としての石を強調するため「景石」を使用した。限られた奥行きには一見不釣り合いとも思える石を使うことで、迫力を醸し出したのだ。

また、屋外では珍しい流木を防腐剤で処理して採用。流木のサイズにもこだわり、大きなものを共用部にも配置することで、建物全体に統一感をもたらした。

室内から見た庭。道行く人々に自然素材がもたらす癒しを届けている

庭の一角には、流木の腕木を活かした「小水景の庭」が設けられた。地窓を通じて、外と内がゆるやかにつながり、どちらからも“潤い”と“艶”を感じられる設えだ。

北側の庭であることから、植栽は落葉樹を中心に構成。冬場の落葉期にも日差しを取り込みやすくしながらも、幹の太い樹木を選ぶことで存在感を際立たせている。

これらの要素と大きな景石が相まって、4階建て特有の圧迫感を和らげ、入居者だけでなく道行く人々にも潤いと艶、自然素材がもたらす癒しを届けてくれる。

設置場所をイメージしながら行なう作業

■目線で感じる緑の豊かさ

エントランスの造園は、沿道を行き交う人々の視線も意識しながら計画された。4階建ての建物では本来、大きな樹を植えることが多くなるが、前面道路の幅が限られているため、樹木を上へ伸ばすのではなく、目線の高さに枝葉が横へ広がる植栽としている。

植栽には、積水ハウスの庭づくり「5本の樹」計画の樹種である「日本の在来種を中心に、イロハモミジやノムラモミジなどのモミジ類、マユミ、ドウダンツツジ、ミツバツツジ、ヤマツツジといったツツジ類が多く選定された。

人は目線の高さに緑があることで、より自然を身近に感じられる。そのため、低木であるツツジ類も、あえて1.5mほどの高さのあるものを選び、アイレベルで緑の存在感を感じられるよう工夫している。

目線を意識した植栽

庭は植栽だけで構成するのではなく、大きな流木と石も組み合わせた。玄関を入った先にはラウンジがあり、足元から見える坪庭には、腕のような形をしていることから「腕木」と呼ばれる流木を配置。その周辺には苔を敷き、落ち着きのある表情を演出している。

また、自動潅水と連携させることで、腕木の先から水滴がぽたぽたと落ち、水が跳ねることで苔に潤いと艶感を感じてもらえる狙いがある。水辺を設けることで野鳥が訪れるだけでなく、沿道を行き交う人々にも心地よさを感じてもらえるよう配慮した。

腕木の先から水滴が落ち、苔に潤いや艶感を感じさせる

■緑へと誘う動線と建築思想が息づく空間

階段は、正面から奥へ向かって徐々にレベルを高くし、奥まで緑がよく見えるようにした。1階から2階へ促すように、4mを超える背の高い流木を配置したほか、その手前に石を添えた。これにより、2階からも流木の存在を感じられる立体的な演出となっている。

1階入り口正面に迎えるダイナミックな流木
2階共用階段室からも見える流木

こだわりは外構だけに留まらない。オーナーのK氏はアメリカの建築家、フランク・ロイド・ライトの大ファン。例えば全室のインターホン上にはライトがデザインした照明を設置しているほど。

内装の質感にも徹底的にこだわり、天井にはツキ板、床には自然石を用いるなど、自然素材をふんだんに取り入れている。

インターホン上のフランク・ロイド・ライトデザインの照明

時を重ねても価値を増す賃貸住宅を目指して

<オーナー K氏>

20年経っても美しく、趣のある賃貸住宅をつくりたい」という強い思いから、私は建築の際に“エイジング”を意識してほしいと齋藤さんに伝えました。

建物は時間とともに価値が下がりますが、私はオーナーとして、ヨーロッパの建築物のように古くなっても魅力が増す建物“いい年のとらせ方”をしたいと考えています。

自分の子どもに引き継ぐとき、くたびれたものではなく、誇れる建物を渡したい。そのために、素材やデザインに徹底的にこだわりました。

見学会で実物件を確認しながら、すべてを納得して決定できたのは、素晴らしいチームのおかげです。思い描いていたことをすべて実現できたことに、心から感謝しています。

そして、この賃貸住宅は、ただ住む場所ではなく、入居者の方々には「特別な体験」を提供したいと考えています。室内に入るとジャズが流れ、エレベーターを待つ時間さえ心地よい、そんな柔らかな雰囲気を大切にしています。

家賃を払うことに納得感を持ち、誇りを感じてもらえる空間を目指しました。

また、これからの時代は、外構で価値を高める時代だと考えています。季節感を感じ、印象に残る空間を自宅で体感してほしい。入居者にとって誇りとなり、地域にも貢献できる賃貸住宅をつくり続けたい。積水ハウスさんの物件は家賃が高いかもしれませんが、それに見合う価値を提供し続けることが、私の使命です。

常に情報をインプットし、改善を重ねながら、次の賃貸住宅ではさらに付加価値を高めていきたいと思っています。

デザイナーの想い:小さな庭が紡ぐ生態系

齋藤氏には、今回のプロジェクトで特に大切にした想いがあるという。

「5本の樹」計画の庭づくりは、どんなに小さな庭でも、生態系に寄与することはできるという考えに基づきます。奥行きが狭い、間口が限られているといった立地条件であっても、諦めずに庭をつくることで、生き物を呼び込むことはできます。

さらに“小さな水景”を設けることで、その可能性は大きく広がります。水を張り、蝶を呼び、鳥を呼ぶ。その生命の営みを見て、人は幸せを感じるのです。そして、そうした月日を重ねることで、庭の深みが増し、人は魅力を感じ、経年美化となるのです。それが、我々ランドスケープデザイナーの腕の見せ所です。

◎積水ハウスの「5本の樹」計画
https://www.sekisuihouse.co.jp/gohon_sp/

関連情報
http://www.sekisuihouse.co.jp/

構成/清水眞希

@DIMEはサイトローンチ時より編集業務に携わる。現在は雑貨や家電、オーディオなどの新製品に加え、各種の社会調査・統計、話題の新スポットからイベント情報などを担当。信条は正確さとわかりやすさ。最近の趣味は日付が変わる時刻のウオーキング。

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