財務省では為替相場の安定を目的として、市場において外国為替取引(介入)を行なう場合があり、介入した実績額については総額を一か月毎に、実施日や介入額、売買通貨など詳細については四半期毎に公表している。
2026年1月30日に財務省が公表した、2025年12月29日から26年1月28日までの介入実績(外国為替平衡操作額)によれば、その総額は「0円」。1月は下旬に円が急騰する局面があったが、当局の介入はなかったことが明らかになった。
というわけで、市場の動向と併せて今後の為替介入の可能性に関する考察リポートが三井住友DSアセットマネジメント チーフマーケットストラテジスト・市川雅浩氏から届いたので、概要をお伝えする。
ドル円は1月27日につけた152円台前半からドル高・円安が進み、足元では157円近くまで戻る
ドル円は1月23日、日米当局が為替介入の準備段階とされる「レートチェック」に動いたとの観測が市場に浮上すると、1ドル=159円23銭水準から155円63銭水準まで、大幅にドル安・円高が進行した。
また、トランプ米大統領が1月27日に、このところのドル安を懸念していない考えを記者団に示したことで、ドル安・円高が加速、ドル円は一時152円10銭水準をつけた。
ただ、その後は反転し、日本時間2月5日の早朝には156円95銭水準まで戻している。
背景には、
(1)トランプ氏が米連邦準備制度理事会(FRB)の次期議長に、他の候補者ほどハト派的ではないとの見方もある、ケビン・ウォーシュ氏の指名を発表したこと(1月30日)、
(2)高市早苗首相が円安容認ともとれる発言をしたこと(1月31日)、
(3)朝日新聞が与党は300議席超をうかがう情勢と報じたこと(2月2日)、
などがあると考えられる。
■1月にレートチェックが行われたならば為替介入は近いと想定、この先は財務省の発言に注目
市場で前述の(1)は米利下げ期待後退でドル高要因、(2)は円安要因、(3)は責任ある積極財政の推進により円安要因、と解釈されたように思われる。
ドル円は結局、1月23日から27日までの間に7円ほどドル安・円高が進み、その後は足元まで5円弱、戻したことになる。
特に(2)や(3)を踏まえると、この先、投機筋などが円売り圧力をさらに強め、本邦当局の円安許容度を試すような流れが続くことも想定できる。
実際に、日銀によるレートチェックが1月に行なわれていた場合、1月26日付レポート「円急騰の背景と今後の展望」で示したとおり、ドル売り・円買いの為替介入が行われる可能性は高まっていると考えられる。
今後、注意すべきは財務省の言動で、特に「常に準備はできている」、「急激な変化は容認できない」などの発言があった場合は、為替介入の実施は近いと推測されるが、現時点でこれらの発言はまだない。

■2024年のケースを考えると為替介入を警戒すべき状況、衆院選前後に円安が加速なら要注意
なお、直近でドル売り・円買いの為替介入が行われたのは2022年と2024年だ。それぞれについて、為替介入の実施日や金額などを図表にまとめてみた。
今回の局面で、為替介入実施のタイミングを考えるにあたっては、2024年のケースが有効と思われ、ドル円は157円台後半を超えてドル高・円安が進行した場合、ボラティリティは1週間で7%前半を超えて上昇した場合、1か月で8%台半ばを超えて上昇した場合は、要注意と考えられる。
足元で、ドル円はまだ157円台後半には達していませんが、ボラティリティは1週間が11%台前半、1か月が9%台半ばにあることから、為替介入を警戒すべき状況にあると判断できる。
衆議院選挙は2月8日に投開票が行なわれるため、選挙前の本日から明日にかけて、または、選挙後の週明け以降に、ドル円が大きくドル高・円安に振れた場合、為替介入が行われる公算はかなり大きくなるとみている。

構成/清水眞希







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