■連載/阿部純子のトレンド探検隊
「眼鏡市場」を展開するメガネトップが、4年以上かけて開発した動画、写真、音楽が楽しめるスマートグラス「Linse(リンゼ)」と、スピーカーとマイクを内蔵したオーディオグラス「Linse Lite(リンゼライト)」を、2月6日より眼鏡市場130店舗にて発売を開始した。
Linseは単なるガジェットではなく「毎日かけるメガネ」として成立させることを目指し、プライバシー懸念に配慮した設計と社会に受け入れられる製品として市場投入する。
スマートグラスが国内で広がらない理由のひとつである盗撮被害に対応した製品づくり
スマートグラス「Linse」(55,000円)は、右のテンプルにはカメラ、左のテンプルにはLEDのライトとセンサーが付いている。目線の高さにある1,200万画素のカメラで、自分の目線をそのままに動画や写真で撮影することができる。操作やメンテナンス作業等、手がふさがった状態でもハンズフリーで写真や動画を撮影できる。
「社内でも商品ディスプレイを組み立てるとき、今までは紙によるマニュアルを作っていましたが、今回からLinseで撮影した動画を取り入れました。スタッフからは、組み立ての手順がマニュアルよりもわかりやすいと質問も大幅に減りまして、社内でも活用をさせていただいています。このように趣味以外でもさまざまな活用法や効果があると期待しています」(以下「」内、株式会社メガネトップ 商品開発グループ グループ長 早田直純氏)
耳を塞がない(※骨伝導ではない)内蔵スピーカーで、音楽や通話、音声ガイドを聴くことが可能。音量調整や再生・停止も、スマートグラス本体の操作で行える。
側面に複数のマイクを搭載し、メガネをかけた状態で通話ができる。騒音が気になる環境でもノイズキャンセリング機能により快適な通話が可能。ボイスメモの機能もあり、IP54の防水・防塵機能で、雨や汗も気にせずに使える。
オーディオに特化した「Linse Lite」(19,800円)はカメラがなく、音楽と通話に対応するタイプ。IPX4の生活防水対応。
「海外では広くスマートグラスが販売されていますが、国内ではなかなか広がっていません。その要因の一つが、プライバシーの意識の高さと、法規制だと考えています。
発売にあたっての考えられるリスク対策については、社内で何度となく議論をいたしました。本商品を発売するための背景として、我々はスマートグラスが『特別なもの』から『日常の選択肢』へ移行していると判断しながらも、このカテゴリーが持つ社会的な懸念やリスクを踏まえ『誰よりも早く出すこと』ではなく、『社会に受け入れられる条件をどこまで具体的に形にできるか』を重視し、日本のプライバシー意識の高さを前提に商品開発を進めました」
「気づかれずに撮れない設計」として、撮影時に周囲から分かるように正面LEDが点灯・点滅し、LEDが塞がれると撮影自体が開始されない仕様となっている。また、写真撮影時にはシャッター音が鳴ることで、周囲に撮影していることを気づかせる設計となっている。
「Linse」のカメラは、写真はJPEG形式で3,000×4,000px、動画はMP4形式で1,920×1,440px。メガネの構造上、横幅の制限があるため、撮影できるのは縦位置の構図のみ。
充電に関しては、「Linse」は付属のバッテリー入りケースに入れて行い、「「Linse Lite」は付属のマグネット式充電ケーブルで行う。
【AJの読み】1日中、毎日かけても快適なかけ心地にこだわったスマートグラス
「Linse」は「毎日かけるメガネとして成立するか」を基準に開発、日常でメガネとして使える快適性を重視していることから、対面でフィッティングや、機能や注意点を丁寧に説明するため、ネット販売は行わず店頭のみでの販売となっている。
レンズに関しては度付き、カラーを別途料金で選択できるので、毎日使うメガネとしてスマートグラスを選択することも可能だ。
実際に装着してみると撮影の際には「カシャッ」と音がなり、正面のLEDが点灯・点滅するため、撮影している状況が光と音で確認できる。オーディオ部分に関しても周囲の音は聞き取れるが、装着した人がかなり近くに接近しても音漏れはほぼ感じなかった。
AIスマートグラス市場の規模は2024年に13億ドルとされ、2025年から2032年にかけて年平均成長率11.09%、2032年までには市場全体で30億1000万ドルに達すると見込まれている。
2025年には世界各社からスマートグラスが発表され市場は盛り上がりを見せている。若年層を中心に、製品を使って撮影した画像や動画をSNSに投稿したり、ライブ配信をしたりと、楽しみ方の幅が広がる注目のアイテムだ。
日本国内ではスマートグラスのラインナップがまだ少ない中、メガネ業界トップの眼鏡市場から発売されるスマートグラスは注目を集めると思われる。
取材・文/阿部純子







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