フォルダブルスマホ市場のパイオニアとして、7世代にも渡ってGalaxy Z Foldシリーズを投入してきたサムスン電子だが、最近では横開きの端末を投入するフォロワーも増えてきた。日本市場では、グーグルが「Pixel Fold」シリーズを定期的に投入しているほか、中国メーカーのZTEも低価格モデルの「nubia Fold」の販売を開始し、徐々にライバルは増えている。
グローバルに視点を移すと、日本市場でもおなじみのファーウェイやOPPO、シャオミとった中国メーカーも横開きのフォルダブルスマホを手がけている。さらには、日本未上陸のメーカーであるVivoやHonorのラインナップも同様の端末を開発し、激戦になりつつある。このような中、パイオニアのサムスン電子は、一手先を打つ端末を発売した。
それが、3つ折りの「Galaxy Z TriFold」だ。三つ折りスマホ自体はファーウェイも手がけているが、サムスンもここに追随。高い完成度で、おひざ元の韓国では発売日に大行列ができ、完売してしまった。1月下旬からは米国での販売も始まった。日本では未展開のGalaxy Z TriFoldだが、2月下旬から東京と大阪のショールームでの展示が開始される。その使い勝手を、いち早く試すことができた。そのレビューをお届けする。
タブレットと比べてそん色ない画面サイズ、情報量抜群でマルチタスクも優秀
まず、ディスプレイサイズだが、Galaxy Z TriFoldは左右両方に画面を展開すると10インチもの大きさになる。これは、一般的なタブレットとほぼ同サイズ。例えば、iPad Pro(M5)やiPad Air(M3)が11インチだが、Galaxy Z TriFoldのサイズ感はこれに迫る。2つ折りの「Galaxy Z Fold7」などは、開くと“小さな”タブレットになっていたが、そんな形容詞は不要になる迫力だ。
大画面のメリットは複数ある。1つは、単純に表示領域が広がるということだ。文字中心の電子書籍の場合、Galaxy Z Fold7でも単ページに近いサイズ感だったが、Galaxy Z TriFoldだとほぼ見開きに近い情報量まで増えてページをめくる頻度を減らせる。縦に持てば、雑誌を読むことも可能なサイズ感だ。情報量が増えるほか、視認性も増すと言えるだろう。
また、広いディスプレイを生かして、複数のアプリを同時に開くことも可能だ。同様のことは、ほかのフォルダブルスマホでもできるが、8インチ前後のサイズだと実用性では2つが限界。電卓のように省スペースで表示できるアプリを重ねて、3つがせいぜいだ。対するGalaxy Z TriFoldは、3分割すればスマホとほぼ同サイズでアプリを表示できる。
動画を見ながらSNSをして、かつブラウザで調べ物をするといった使い方も可能。1つのアプリの情報量が増えるだけでなく、複数のアプリをまとめて使うこともしやすくなるというわけだ。その意味だと、よりスマホに近かったGalaxy Z Fold7に対し、Galaxy Z TriFoldはタブレット的な使い方ができる端末と言えるかもしれない。
この特性を生かし、Galaxy Z TriFoldでは端末単体で「DeX」を起動できるようになっている。DeXとは、サムスン製のハイエンド端末に搭載されているPCのようなユーザーインターフェイスで、スマホ的なそれとは違い、アプリをウィンドウとして自由に配置できる。この状態でキーボードやマウスをつなげば、さながらPCのような操作が可能。普段業務にどのようなアプリを使っているかによるが、これだけで仕事をこなすことも不可能ではない。
開くとスマホと同サイズに、重さはネックだがタブレットと思えば許容範囲か
と言っても、ここまではタブレットでもできる話。先に比較のために挙げたiPad ProやiPad Airでも、同様のことはこなせる。Galaxy Z TriFoldのすごさは、そのサイズのディスプレイを折りたたんで、ポケットにしまえてしまうところにある。折りたたみは左からというように順番があるため慣れは必要だが、2回閉じるだけでスマホとほぼ同サイズになる。
さすがに三つ折りのため、折りたたんだときの厚みは一般的なスマホよりもあるが、12.9mmに抑えられているため、ギリギリ許容範囲といったところ。これは、開いた時の厚みをわずか3.9mmまで薄型化しているからだ。閉じると一般的なスマホとほぼ同じ厚みになるGalaxy Z Fold7と理屈は同じだが、三つ折りができるよう、開いたときの厚みはさらに減っている。USB-Cの端子を見ると分かるが、端子ギリギリのサイズで、これ以上は薄くできないようにも感じられる。
閉じたときの12.9mmという厚さは、2世代前のフォルダブルスマホ「Galaxy Z Fold5」の13.4mmより薄い。1世代前の「Galaxy Z Fold6」は12.1mmだったため、それよりはやや厚い。筆者は、「Galaxy Z Fold3」以降、同シリーズをメイン端末として使い続けてきた。閉じたときのGalaxy Z TriFoldの印象はこれら2機種に近いように思えた。通常の折れないスマホよりは厚いが、使い勝手がそこまで悪くなるわけではないと言えるだろう。
ただし、パンツのポケットに入れると、お尻に厚みを感じるのも事実。309gという重さも相まって、生地が引っ張られるように感じる。10インチのタブレットと考えれば、これでも驚異的な軽さではあるが、スマホとしてはやはりヘビー級。長時間持っていると手が疲れることもあり、ここをどう考えるかで評価が分かれそうな端末だと感じた。
閉じたときのディスプレイサイズは6.5インチで、ハイエンドスマホの標準的なサイズ感だ。Galaxy Z Fold7と同様、比率も通常のスマホと同じため、閉じたままでの使い勝手もいい。サイズという点では、スマホとタブレットを妥協なく1台にまとめ上げていると言えるだろう。両方を持つことを考えれば、309gという重量も許容範囲に思えてくる。
ハードウェアとして完成度が高いGalaxy Z TriFoldだが、その形状ゆえに、削られてしまった機能もある。筆者が特に残念だと感じたのは、テーブルや机の上に置いたまま半開きで使うことができない点だ。一般的なフォルダブルスマホは、その多くが半開きのまま、ノートPCのような形状で使うことが可能。特に出先でビデオ会議などに参加する際に重宝する。
例えば発表会や会議のプレゼン資料を撮影する際にも、位置を合わせておけば、後はシャッターを切っていくだけになり、同じ構図のまま写真を撮り続けられる。Galaxy Z TriFoldも、片方の面を半開きの状態にして立てることはできるものの、専用のUIが用意されておらず、サムスンからもこの使い方が推奨されていない。完全に開くか閉じるかの二択になっているというわけだ。
開閉というギミックがあり、テーブルや机に置いたままでも操作はできるだけに、この点は惜しいと言わざるをえない。Galaxy Z TriFoldには、スタンド付きの専用ケースがあり、これを使うと開いたままでも立てかけることはできるものの、ケースをつけると重量やサイズが増してしまうトレードオフがある。筆者のような“裸運用派”には、少々厳しい仕様だ。
また、このサイズ感になってくると、ディスプレイにペンで何かを書きたくなってくる。筆者の場合、仕事で届いた校正に赤字を入れたり、契約書などの書類にサインをしたりと、意外と手書きを使うシーンが多い。Galaxy Z Fold6までは、サムスン純正のSペンを使って手書きをしていたが、Galaxy Z TriFoldでは、Galaxy Z Fold7に続き、Sペンには非対応になっている。
一般的なスマホ用の静電容量式タッチパネルに対応したペンは反応するものの、どうしてもペン先が太くなる上に、Sペンに比べると反応が悪いのが難点。Sペンは、タッチパネル側にデジタイザー層を設ける必要があり、薄型化の支障になるため、厚みを出しづらいGalaxy Z TriFoldでは省かれてしまっているようだ。
一方で、iPadが対応しているApple Pencilのように、Bluetoothで本体と接続して精度を上げる方法もある。接続不要で利用できるSペンよりも、充電などの手間は増えてしまうが、ないよりはあった方がいい。これはGalaxy Z TriFoldに限った話ではないが、周辺機器はスマホの使い方を大きく広げるだけに、サムスンには純正製品をもっと開発してほしいと感じている。
とは言え、10インチのタブレットがポケットに入るサイズまで折りたためるのは、なかなか衝撃的。二つ折りのGalaxy Z Foldシリーズに慣れている筆者ですら、その画面サイズには驚きがあった。百聞は一見に如かず。東京や大阪で一般展示された際には、ぜひそのインパクトを体感してみてほしい。日本での発売も、期待して待ちたい。
文/石野純也







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