首都圏・近畿圏における中古マンションおよび中古一戸建ての価格、賃貸物件の家賃は、2025年の1年間でどのような推移を見せたのだろうか?
LIFULLが運営する不動産・住宅情報サービス「LIFULL HOME’S(ライフルホームズ)」はこのほど、「LIFULL HOME’Sマーケットレポート 2025年総括版」を公開した。
本マーケットレポートは、「LIFULL HOME’S」で掲載された物件データおよび、ユーザーが不動産会社に問合せた物件(反響物件)データを集計したものだ。
2025年中古マンションの推移
2025年12月の中古マンションの掲載価格は、首都圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)シングル向き5,210万円(前年同月比+41.8%)、ファミリー向き6,012万円(同+41.8%)、近畿圏(大阪府、兵庫県、京都府)シングル向き2,807万円(同+24.1%)、ファミリー向き3,152万円(同+17.8%)となり、いずれも2020年の計測開始以降の最高値を更新した。
【分析】LIFULL HOMES’総研 渋谷雄大氏
掲載価格の上昇は都心で顕著です。2024年12月に7,624万円だった東京23区のファミリー向き中古マンションの掲載価格は2025年も上昇を続け、9月に1億円を突破、12月には1億1,549万円となりました。年間の上昇率は51.5%に上り、前年(23.5%)と比べて大幅に拡大しました。
近畿圏においても同様で、2025年12月の大阪市のファミリー向き掲載価格は5,518万円と1年で36.0%上昇、前年の上昇率(20.8%)をさらに上回りました。
特に東京都心6区(千代田区、港区、中央区、新宿区、渋谷区、文京区)や大阪市中心6区(中央区、北区、西区、福島区、天王寺区、浪速区)では前年から掲載物件の築年数の平均値(対前年12月比)が大きく若返っており(東京都心6区 29年→22年、大阪市中心6区 25年→19年)、掲載価格上昇の一因となっています。
新築物件が高額で分譲される状況を受けて、新築物件と比較検討されやすい周辺の築浅物件が強気の価格設定で売り出されるケースがあるほか、昨年11月に国土交通省が新築マンションについて「中心部ほど短期売買割合が高い又は増加の傾向がある」と指摘したように、首都圏・近畿圏中心部での投機的な動きが反映された結果と考えられます。
昨年12月に公表された税制改正大綱では、中古住宅のうち性能の高い住宅のローン控除額および控除期間が拡大されることが決まりました。これは性能の高い中古住宅の市場流通の後押しとなる制度変更であり、中古住宅市場全体のさらなる活性化が期待されることから、2026年も価格の上昇傾向は継続するものと予想されます。
2025年中古一戸建ての推移
2025年12月の一戸建ての掲載価格は、首都圏で3,951万円(前年同月比+10.3%)となり、2020年の計測開始以降の最高値を更新した。なお、近畿圏では2,452万円(同+4.8%)となり、こちらも計測開始以降2番目の高さとなった(最高値は2025年11月の2,462万円)。
【分析】LIFULL HOMES’総研 渋谷雄大氏
中古一戸建ての掲載価格は、首都圏、近畿圏ともに上昇傾向にありますが、その上昇率は中古マンションと比べると緩やかで、一戸建てとマンションの価格差は拡大しています。
こうした状況を背景に、LIFULL HOME’Sに掲載された首都圏のファミリー向き流通物件に対するユーザーからの問合せのうち、一戸建てが占める割合が2024年以降明らかに増加しています(2020年:44.8%→2024年:52.7%)。2025年は50.3%とやや揺り戻しがあったものの、例年と比べると依然として一戸建ての需要は高く、購入ニーズの一戸建てシフトが定着しつつあるといえます。
首都圏より比較的安価に土地を購入できることからもともと一戸建ての需要が高い近畿圏においても、問合せに占める一戸建ての割合は拡大(2020年:53.0%→2025年:59.2%)しています。
2025年賃貸物件の推移
2025年12月の賃貸物件の掲載賃料は、首都圏シングル向きで88,294円(前年同月比+24.8%)、ファミリー向きで148,682円(同+14.0%)、近畿圏シングル向きで62,167円(同+7.5%)、ファミリー向きで86,230円(同+6.3%)となり、いずれも2020年の計測開始以降の最高値を更新した。
【分析】LIFULL HOMES’総研 渋谷 雄大氏
東京23区のシングル向き賃貸物件は例年1~4月の引越しシーズンに掲載賃料が大きく上昇する傾向がありますが、2024年12月に103,914円だった東京23区シングル向きの掲載賃料は、2025年4月には117,417円と、1年で13.0%上昇、前年同期間の上昇率(9.3%)を超える上昇となりました。
その後12月には121,270円と、1年で16.7%上昇、前年(+9.7%)よりも賃料上昇ペースは明らかに加速しています。なお、東京都下における年間の賃料上昇率は6.6%と都心部より小さいものの、前年(+2.6%)と比べると上昇ペースは大きく加速しており、郊外においても本格的に賃料上昇局面に入ったといえます。
また、近畿圏でも同様の傾向が見られます。大阪市のシングル向きが1年で14.2%上昇(前年は+6.9%)するなど中心部で比較的賃料上昇が顕著であるほか、大阪市を除く大阪府内のシングル向きが1年で7.4%上昇(前年は+1.7%)しており、郊外の賃料上昇ペースが大きく加速しています。
一方、シングルと比べて時季による需要の変化が小さいファミリー向き賃貸物件では年間を通じて掲載賃料の上昇が継続し、東京23区では2024年12月の217,709円から2025年12月の248,669円へと1年で14.2%上昇しました。前年の上昇率は13.0%であり、シングル向きとは異なり前年と同程度の上昇率を維持しています。また大阪市では、2024年12月の122,875円から2025年12月の146,091円へと、1年で18.9%上昇し、東京23区の上昇率を上回りました。
特に、福岡市の掲載賃料は、シングル向きが1年で+23.1%(58,833円→72,397円)、ファミリー向きが1年で+19.4%(116,273円→138,876円)と、いずれも東京23区や大阪市を上回る高い上昇率を示しています。
2025年は既築物件でも入居者募集を機に募集賃料を値上げする動きが活発化し、ストック全体で賃料改定が進みました。固定資産税・都市計画税、修繕・メンテナンス費用、金利負担の増加など賃貸経営に関わるコストが大きくなっているほか、都心部を中心に賃料改定を行いやすい定期借家契約も増加しており、賃料の上昇局面は2026年も継続するものと想定されます。
いずれのエリアにおいても、掲載賃料が大きく上昇する一方で、ユーザーの需要を表す反響賃料の上昇は限定的です。物価高が続くなかで賃金の上昇が追随していない現状では、ユーザーは「より遠く」「より狭く」「より古く」することで家賃を抑える必要に迫られます。
掲載賃料と反響賃料の乖離は、ユーザーがこうした生活防衛策を講じている表れといえるでしょう。賃料相場の上昇が続くなか、2026年はユーザーの「より遠く」「より狭く」「より古く」という行動がさらに拡大するものと考えられます。
<分析担当:LIFULL HOME’S PRESS編集部 兼 LIFULL HOME’S総研 研究員 渋谷 雄大氏>
2015年、LIFULLに新卒入社。LIFULL HOME’S営業として、賃貸マーケットを担当した後、2020年よりLIFULL HOME’S PRESS編集部で最新の不動産市況を発信する「LIFULL HOME’Sマーケットレポート」などを担当するほか、データを活用した記事を多数執筆。
<集計対象データ>
・2020年1月~2025年12月にLIFULL HOME’Sで登録・公開された居住用賃貸マンション・アパート、居住用中古区分マンション、居住用中古一戸建て
・シングル向き:ワンルーム、1K、1DK、1LDK、2K
・ファミリー向き:2DK、2LDK、3K、3DK、3LDK~
出典元:LIFULL HOME’S
構成/こじへい







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