店舗の設備を壊した、学校で同級生をいじめたなど、子どもが起こしたトラブルについて親は責任を負うのでしょうか?子どものトラブルについて親が責任を負うのかどうかは、子どもの年齢などに応じて場合分けして考える必要があります。
1. 子どもが成年であれば、親は責任を負わない
子どもが成年(18歳以上)である場合は、特段の事情がない限り、子どもが起こしたトラブルについて親は責任を負いません。
子どもはすでに自立できる年齢であって、自分の行動には自分で責任を持つべきだからです。
たとえば、20歳の大学生がコンビニで万引きをしたとします。この場合、コンビニに対して被害弁償をする義務を負うのは大学生本人であって、その親は被害弁償の義務を負いません。
2. 子どもが未成年の場合はどうなる?
これに対して、子どもが未成年者(18歳未満)である場合は、子どもが起こしたトラブルについて親は責任を負うケースもあります。具体的には、子どもに「責任能力」があるか否かによって取り扱いが分かれます。
2-1. 責任能力とは
民法上の「責任能力」とは、自己の行為の責任を弁識(≒理解、判断)する能力をいいます。
民法では、損害賠償などの責任を負わせる前提として、行為者の責任能力が必要だという考え方がとられています。責任能力がない人が他人に損害を及ぼしても、本人はその損害を賠償する責任を負いません。
一般に、年少者は責任能力がないと判断されるケースが多いです。実務上のボーダーラインは10歳~12歳程度で、本人の知能などを総合的に考慮して判断されます。
2-2. 子どもに責任能力がない場合は、親が責任を負う
責任能力のない子どもが他人に損害を加えても、子ども本人は損害賠償責任を負いません(民法712条)。
その代わりに、原則として子どもの監督義務者である親が、被害者に対する損害賠償責任を負います(民法714条1項)。
たとえば、8歳の子どもが学校で暴力を振るい、同級生にけがをさせたとします。
8歳では責任能力が認められない可能性が高く、子ども本人は損害賠償責任を負わないと考えられます。
しかし、親が子どもの監督義務者として、被害者に生じた損害(治療費や慰謝料など)を賠償しなければなりません。
2-3. 子どもに責任能力がある場合は、ケースバイケース
責任能力のある未成年者の子どもが他人に損害を加えた場合、親がその責任を負うかどうかは状況によって異なります。
子どもに責任能力がある場合は、監督義務者の責任を定める民法714条1項は適用されません。
しかし最高裁の判例上、未成年者が責任能力を有する場合であっても、監督義務者(親)が不法行為責任(民法709条)を負うことがある旨が示されています(最高裁昭和49年3月22日判決)。
親の不法行為責任が生じるのは、親が監督義務を怠ったために、子どもが他人に損害を与えたという「相当因果関係」が認められる場合です。
民法714条1項の監督義務者の責任に比べると、親の責任が認められる範囲は狭くなります。子どもの年齢やトラブルの内容などを総合的に考慮したうえで、親の責任の有無が判断されることになるでしょう。
取材・文/阿部由羅(弁護士)
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
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