借りている賃貸物件の設備が壊れた場合は、不具合の程度などによって、賃貸人の負担で修理するよう請求できることがあります。
その一方で、軽微な不具合などは賃貸人に修理を請求できないケースもあります。
賃貸物件の設備が壊れた場合に、賃貸人に直してもらえるのか、それとも賃借人が自分で直さなければならないのか、法律のルールに従ってボーダーラインを探ってみましょう。
1. 賃貸人は、賃貸物件の修繕義務をどこまで負うのか?
賃貸物件の修繕については、民法606条1項で賃貸人の修繕義務が定められています。
(賃貸人による修繕等)
第六百六条 賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。ただし、賃借人の責めに帰すべき事由によってその修繕が必要となったときは、この限りでない。
2 略
同規定によれば、賃借人が賃貸物件を使用・収益するために必要である限り、原則として賃貸人が修繕義務を負います。
他方でその反対解釈として、賃貸物件の使用・収益に支障を生じない程度の不具合等については、賃貸人は修繕義務を負わないことが読み取れます(東京地裁平成25年1月29日判決などに同旨)。
また、賃貸人と賃借人の公平の観点から、賃料の額などと欠陥(不具合)によって賃借人が被る不便の程度を比較して、賃貸人の修繕義務の有無を判断すべきとの考え方も有力です(東京高裁昭和56年2月12日判決などに同旨)。
この考え方に従うと、契約締結前から賃借人が了承していた欠陥や、修繕に多大な費用を要する欠陥などについては、賃貸人は修繕義務を負わない可能性が高いと考えられます。
2. 賃借人が自分で修繕を行った場合、その費用を賃貸人に請求できるのか?
民法607条の2によれば、一定の場合には、賃借人は自ら賃貸物件の修繕をすることができます。この場合の費用は「必要費」に当たるため、民法608条1項に基づき、賃貸人に対して償還を請求可能です。
(賃借人による修繕)
第六百七条の二 賃借物の修繕が必要である場合において、次に掲げるときは、賃借人は、その修繕をすることができる。
一 賃借人が賃貸人に修繕が必要である旨を通知し、又は賃貸人がその旨を知ったにもかかわらず、賃貸人が相当の期間内に必要な修繕をしないとき。
二 急迫の事情があるとき。
(賃借人による費用の償還請求)
第六百八条 賃借人は、賃借物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、賃貸人に対し、直ちにその償還を請求することができる。
2 略
賃借人が自ら修繕を行うことができるのは、賃貸人に修繕の必要性を通知しても相当の期間内に修繕が行われないとき、または急迫の事情があるときとされています。
緊急性の高いトラブルが生じている場合を除き、事前に賃貸人へ連絡して修繕を求めましょう。
3. 修繕できないほど重大な不具合が判明したらどうすべき?
設備について修繕できないほど重大な不具合が判明し、その不具合によって賃貸物件の使用・収益に支障が生じる場合には、賃借人は賃貸借契約を解除できる可能性があります。
契約を解除する際には、まず賃貸人に対して修繕をするよう相当の期間を定めて催告するのが原則です。相当の期間が経過しても修繕がなされない場合は、契約を解除することができます。賃貸人に対する催告は、内容証明郵便で行うのが一般的です。
ただし、修繕が不能であるか、または賃貸人が修繕を明確に拒否した場合において、設備が壊れたままでは賃貸物件を適切に使用・収益することができないときは、無催告解除が認められることもあります。
契約の解除に当たっては、賃貸人が反発してトラブルに発展するおそれがあるので要注意です。不安がある場合は、弁護士に相談してください。
取材・文/阿部由羅(弁護士)
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
https://abeyura.com/
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