走行まわりのスペックは?
走行関係では、エコ・ノーマル・スポーツのドライブモードのほか、いわゆるワンペダル機能のイージードライブペダル(「弱」・「中」・最大0・15Gを発揮する「強」、「オフ」)が備わり、2WD車にはスノーモード、4WD車にはヒルディセントコントロールとトレイルモードスイッチも用意される万全ぶりである。
また、4WD車のALL GLIP-eは前後に独立した2つのAxleを配置する電動4WDであり、オートとトレイルモードを選択可。オートモードでは通常路面の加速時であれば前後輪に約50:50のトルク配分となり、一定走行時は約54:46、滑りやすい路面の走行時と減速時には約70:30のトルク配分が自動制御されることになる。トレイルモードでは、悪路などで空転したタイヤにブレーキをかけ、反対側のタイヤに駆動トルクを配分することで(LSD機能)スムーズな脱出を可能にしている。全車185mmの余裕ある最低地上高もあって、悪路、雪道にも強いBEV×SUVモデルと言えるだろう。
そんなスズキeビターラには、すでにプロトタイプを袖ケ浦フォレストレースウェイで試乗しているが、今回は初の公道試乗である。リアルワールドの走りの実力を、短時間ながら、確認することができた。
まず乗ったのは、WLTCモードによる一充電走行距離がもっとも長い61KwのZ 2WDモデルだ。自然な姿勢で運転席に乗り込めば、ファブリックと合皮のコンビシートのかけ心地の良さとともに、10.25インチのメーターと10.1インチのセンターディスプレイが連続、一体化するインパネデザイン=インテグレーテッドディスプレーの先進感が印象的。そしてDシェイプの大径ステアリングもそうした先進感に拍車をかけている。合皮のソフトパッドとピアノブラックパネルを多用しているところも上級感の演出に効果的と言えそうだが、ピアノブラック部分は指紋や汗、ホコリの付着は目立つのが難点かも知れない。もちろん、電子パーキングブレーキとオートブレーキホールド機能(メモリー機能はなし)も完備する。
その一方で、クロスビーにもあるメカニカル感あるエアコンの物理スイッチがSUVらしさを演出しているようだ。ただし、エアコンのAUTOスイッチはそこにはなし。センターディスプレイ内で操作することになる(知らないままONにしないとエアコンが効かない!?)。
ダイヤルセレクターをDレンジにセットして(ドライブモードはデェフォルトのノーマル)走り出せば、コンパクトなボディサイズ、全方向の視界の良さもあり、走りやすさ、車両感覚のつかみやすさは文句なし。そしてドイツ車的なガッチリとしたボディ剛性と18インチタイヤによるしっかり感と硬質な快適感ある乗り心地にして軽快感ある操縦感覚、飛び出し感のないジェントルな加速力を発揮。これなら内燃機関車から乗り換えても違和感はないだろう。とはいえ、サーキット走行では「加速は穏やか」と感じたものだが、公道ではノーマルモードでのモータ―パワーによる加速力が十分なのは当然として、エコモードでもアクセルペダルを深々と踏み込めば周囲のクルマに後れをとらない走りを披露。そしてスポーツモードにセットすれば、アクセルレスポンスは俄然、鋭くなり、2WDモデルならではのガッチリにして軽快で痛快な加速力が得られることになる。
試乗途中で行った最小回転半径5.2mによるUターンのしやすさもさることながら、18インチタイヤが発するロードノイズの小ささ(抑え込み)も、動力源がノイズを発しないゆえにロードノイズがことさら気になるBEVの車内の静かさに貢献しているようだ。
いわゆるワンペダル走行のイージードライブペダルは「低」「中」「強」の3段階を備え、最大0.15Gを発揮するという「強」でも日産のワンペダルのような強い減速、停止まで行うわけではない。逆に言えば、混雑した市街地(「低」「中」)や山道(「強」)で、ワンペタル初体験のユーザーでも違和感なく使えるスムーズさがあるのが好ましく感じた。
悪路など好んで走らず、雪などめったに降らない都会に住んでいるのなら、一充電走行距離がもっとも長いこの61Kwの2WDモデルが最適な選択ではないだろうか。
次に試乗したのが、最上級グレードと呼んでいい、61KwのZ 4WDモデルだ。2WDモデルに対してちょうど100kg重くなるものの、前後にモーターを配置した(F 128Kw、R48KW)高出力モデルだけに、車重増による「重さ」はほぼ感じられない。しかし、2WDモデルの軽快感ある走りのテイストに対して、こちらは走りの重厚感、濃密感が一段と濃厚になる印象だ。カーブではステアリングの手ごたえの良さが安心感に直結し、ALLGRIP-e=4WDの巧みな制御、リアスタビライザーの装着もあって、一段と安定感とリニアさある挙動を味わせてくれることになる。カーブではFR駆動を思わせるリヤからの押し出し感もあり、気持ちいいステアリングレスポンス、回頭感を味わせてくれるのだ。
そして4WDモデルで体験した高速走行ではステアリングの座りの良さ、直進性、安定感(レーンチェンジ時を含むオンザレール感)のさらなる高さを実感。これなら高速道路を使ったロングドライブでも、運転疲労、ストレスは、シートのかけ心地の良さもあって最小限で済むと思える。
一充電走行距離がZ 2WDで520km、そこから44万円高となるZ 4WDだと472kmと1割程度少なくなってしまうが、やはり高速域での安定感、オンロードのコントロール性、悪路、雪道の走破性を含めたオールラウンダー性能、3L NAモデル級の動力性能を備えている点で、Z 4WDモデルが乗り味の質感を含めて、優位であることも確かだろう。
最後に装備面の注文をふたつ、言わせていただきたい。まずはドライブモードのメーター画面表示。メーター左下に小さく表示され、どのモードに入っているかが見にくいのである。
そして、eビターラのインド仕様にある後席エアコン吹き出し口が日本仕様にはないこと。実は、それがインド仕様ではあるところに、電動車ならではの、スズキとして初搭載のAC100V/1500Wコンセントが代わって用意されているのだ(全グレード。それはそれでアウトドアや災害時に役立ち、嬉しいのだが)。個人的にはAC100V/1500Wコンセントはラゲッジルームでもいいわけで、センターコンソール後端には、ここ最近、夏の酷暑が続く日本の気候を踏まえ、後席エアコン吹き出し口を装備してほしかったというのが、本音である(後席に愛犬を乗せるユーザーならなおさら)。聞けば、どちらかを選んだ際、補助金面で有利な(外部給電の可否で補助金が増額される)AC100V/1500Wコンセントを優先したとか。後席エアコン吹き出し口にかかるコストはそうは大きくないはずなので、せっかくインド仕様にある後席エアコン吹き出し口の追加、AC100V/1500Wコンセントの移設(ラゲッジルームへ)を望みたいところだ。
もっとも、AC100V/1500Wコンセント装備のおかげもあって、2026年1月1日以降のeビターラの補助金はZ 2WD、Z 4WDで127万円にも達する。つまり、東京都の補助金などを含まなくても、国からの補助金だけでZ 2WDが321.8万円、Z 4WDが365.8万円で手に入ることになる(4年間の保有義務あり)。Z 2WDなら、クラス下のコンパクトHVクロスオーバーモデル、ヤリスクロスのZ “URBANO”の322.85万円とほぼ同額で買えるのだから、2026年の補助金の威力は絶大ではないだろうか。BEV(電気自動車)の購入を検討しているなら、もっとも安く充電できる基礎充電(自宅充電=充電設備設置)を基本として、今がチャンスかも知れない。
文/青山尚暉
写真/青山尚暉 スズキ
スズキ初のEV「eビターラ」の実力は本物か?プロトタイプに試乗してみてわかったこと
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