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日本からパンダが消えた!上野動物園の「シャオシャオ」と「レイレイ」の返還に密着

2026.02.10

 54年にわたって続いてきた日本のジャイアントパンダの歴史が、ついに幕を閉じた。恩賜上野動物園(東京・台東区)で飼育されていた「シャオシャオ」(オス 左)と「レイレイ」(メス 右)が1月27日、中国へ返還された。

日本パンダの歴史

 日本のパンダの歴史は、1972年に日中国交正常化を記念して上野動物園にやってきた「カンカン」(オス)と「ランラン」(メス)から始まった。その後、上野動物園だけでなく、王子動物園(兵庫・神戸市)やアドベンチャーワールド(和歌山・白浜)にも来日し、子供も生まれた。しかし、近年になって多くのパンダが中国に返還され、残るはシャオシャオとレイレイだけに。その2頭も返還され、54年ぶりに日本からパンダが姿を消した。

 シャオシャオとレイレイは、2021年6月23日に上野動物園で誕生。親は2011年に来日した「リーリー」(オス)と「シンシン」(メス)。上野動物園にとっては初めての双子で、一般公開されると多くの観客が詰めかけ、親離れの直前には4時間待ちも珍しくなかった。

 昨年12月15日に返還されることが発表されると、観客が殺到。昨年12月23日から観覧方法が先着順からウェブ申込みの先着制に変わり、1月14日からはウェブ申込みの抽選制に。1月25日の最終観覧日は倍率24.6倍にもなる人気となった。

 その最終観覧日、西園の「パンダの森」周辺には多くのパンダファンが集結。

シャオシャオとレイレイの最終観覧日

パンダのグッズをいくつも身につけた女性は、

「観覧抽選は外れてしまったんですが、最後に少しでもシャオシャオとレイレイの近くにいたくてやってきました」

 と、パンダの森の出口付近で観覧の様子を見守った。

 運よく観覧できた女性は、

「木の陰にいてよく見えませんでしたが、それでも満足です。中国に行っても元気でいてほしい」

 と目を潤ませた。

 15時45分から16時までの最終観覧に当選したのは100人。涙ぐむ人もあり、終了後にパンダ舎から出てきた警備員が目を拭う姿もあった。観客だけでなく、関係者にもシャオシャオとレイレイが愛されてきたことを感じさせた。

 最終観覧日の2日後、1月27日に2頭は中国に向けて上野動物園を出発。シャオシャオとレイレイは別々のケージに入れられ、1台のトラックに載せられて園を出た。予定されていた出発時刻は12時30分から13時の間だったが、実際は13時49分と時間を大きくオーバー。柵越しに積み込みを見守っていたが、パンダが暴れて衝突音がするようなことや、鳴き声が聞こえることはなかった。

 福田豊園長によると、

「2頭はいつもと変わりなく、輸送箱に入るのも順調に進み、すぐに入ってくれました。暴れることはありませんでしたが、若干興奮ぎみでしたので、鎮静剤を少し投与しました。そのため15分から20分程度出発が遅れましたが、順調に進んだと思います。鎮静剤は飛行機で長旅をしますので、予防的に投与しました」

 少し時間はかかったが、シャオシャオとレイレイが園を離れることを嫌がることはなく、順調に積み込みは進んだという。

 この日は観覧はできないにもかかわらず、パンダの森の近くと園の外の沿道には多くのパンダファンが集まり、トラックが通過すると「シャオシャオ!レイレイ」と声が上がった。道路脇で2頭の旅立ちを見送ったファンは、

「本当は来るつもりはなかったんですが、いても立ってもいられず、青森から来ました。姿は見られませんでしたが、ありがとうの気持ちは伝わったと思います」

 双子は27日14時30分すぎに成田空港に到着し、20時ごろに中国へ向けて出発。翌28日の午前6時ごろ(日本時間)に中国ジャイアントパンダ保護研究センター雅安基地に到着した。まずは検疫施設で30日間を過ごし、その後は未定となっている。

 これで日本からジャイアントパンダはいなくなった。次のパンダの来日を待ち望む声は大きい。「パンダ外交」という言葉があるように、ジャイアントパンダは政治の道具にされてきた。高市早苗首相の発言によって、日中関係が難しい局面を迎えている今、新たなパンダの貸与は難しそうだ。

上野動物園の副園長が語る、NEXTパンダ

 上野動物園の金子美香子副園長は最終観覧の後の会見で、次のパンダの貸与について、

「今後のパンダにつきましては、東京都の方でいろいろと考えております。上野動物園として新しいパンダに来てもらいたいと思いますけれども、そこまでのお話とさせていただきたいと思います」

 福田豊園長も搬出後に、

「今回の搬出で上野動物園からジャイアントパンダがいなくなります。今後の飼育展示につきましては、現在未定であります。私たちといたしましては、今後も関係者間での交流を継続しながら、新たなプロジェクトが実施できる環境が整うのを待ちたいと思います」

 と話すに留めた。

 パンダファンの間では、シャオシャオとレイレイ、あるいは2頭の姉で2023年に中国に返還されたシャンシャン(メス)が出産したら、その子を上野動物園に…という期待もある。しかし、福田豊園長は、

「繁殖した子供を日本へ戻すというのは、ないだろうと思います。(もし日本にパンダが来るとしても)中国国内で飼育されている個体群の中から選定されるのが普通。日本から中国へ行ったパンダの子孫が日本に帰ってくることは、確率的にゼロではありませんが、可能性としては高くないと思います」

 いつか再び日本でパンダが見られる日が来てほしい。それが日本生まれのパンダの子供であれば、言うことはないのだが。

取材・文/金子長武

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