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熱交換器よりファンが危険!? シャープの新型エアコンが示すカビ対策の正解

2026.02.11

今や生活必需品ともいえるエアコンだが、その不満点として常に上位に挙げられるのがカビ問題。湿気の溜まりやすいエアコン内部はカビの温床になりやすく、放置すれば汚れた空気を部屋中に拡散してしまう。

シャープはこの課題に対し、2026年モデルのフラッグシップエアコン「Rシリーズ」にて真っ向から対策を施した。

さらにRシリーズは、エアコン業界に激震を走らせている「2027年度新省エネ基準」の達成義務化も見据えている。

省エネ性能を高めるほど室内機が大型化するという業界共通のジレンマに対し、独自の手法で「室内機のスリム化」を両立。さらに、シャープならではのAI機能まで盛り込んでいる。他とは一味違うRシリーズの実力をチェックしてきた。

シャープのフラッグシップモデルとなるプラズマクラスターエアコン「Rシリーズ」の2026年モデル。左がおもに6畳~8畳用(2月26日発売予定)、右がおもに10畳~23畳用の室内機(3月12日発売予定)
価格はどちらもオープン。市場推定価格は高さ24.9cmのコンパクトシャーシを採用した6畳用は26万円前後、8畳用が27万円前後。大型シャーシを採用したラインアップは10畳用から26畳まで6モデルあり、市場推定価格は28万円前後から36万円前後となる予定だ。

熱交換器は各社対策済み? カビで気をつけるべきはファンだった

エアコンの冷房は、金属製の「熱交換器」を冷やして、そこに風を通して冷風を作っている。この時、冷えた金属パーツと室温の温度差で必ず水(結露)が生じ、これがカビの原因になることが多い。

そこで、近年はこの結露水を逆手に取ったカビ対策を採用しているエアコンが増えた。あえて熱交換器に大量の結露水を発生させ、その水で熱交換器の汚れやカビを洗い流すのだ。シャープもすべての現行モデルエアコンに「結露水洗浄熱交換器」を搭載している。

Rシリーズの室内機を上からみたところ。内部に金属の板が並んだ熱交換器が見える

しかし、家庭で実際に使われている18台のエアコンで調べたところ、最もカビの汚染リスクが高いのは熱交換器よりも空気を送り出す「送風ファン」。むしろ、熱交換器はすでに多くの製品でカビ対策が行われているためか、カビの発生はかなり限定的だった。

微生物工学を専門とする広島大学の森永力名誉教授が行った調査

そこで、新製品であるRシリーズは、業界初となるファン表面に「超親水ナノコーティング」を施した「防カビカラッとファン」を搭載。

通常、樹脂製のファンに水が付着すると水滴となるが、超親水ナノコーティングを施した部位では水分が素早く薄く広がる。このため、水の表面積が増えて乾燥時間は約60%短縮できるという。

シャープはファンが濡れている時間を短くしたことで、カビが発生しにくく、しかもカビの栄養となるホコリも付着しにくくなったという。

同社の発表会会場にはファンの左半分だけにコーティングを施し、7ヶ月間実際にエアコン内で運用した検証パーツも展示されていた。結果は一目瞭然で、コーティング済みの左側は汚れがほとんど見られなかったのに対し、未加工の右側はファンの先端にびっしりと白いホコリが付着。カビの温床となる水分を素早く逃がすことが、結果としてホコリ(カビの栄養源)の付着をも防いでいることがわかる。

コーティングを施した上写真は汚れが目視できないのに対し、下写真はファンの先に白いホコリが多く付着している

シャープらしさが光るプラズマクラスターとAI機能

基本性能の進化以外に、シャープ独自の付加価値機能にもアップデートが見られた。

たとえば、同社の代名詞ともいえるイオン技術「プラズマクラスター」や「AI機能」だ。同社のエアコン上位モデルには従来から運転停止後にエアコン内にプラズマクラスターを充満させて除菌する「プラズマクラスター内部洗浄」機能が用意されていた。

フラッグシップモデルとなる新Rシリーズでは、プラズマクラスターによる内部洗浄時に「パネルを閉じてファンを逆回転させる」機能を追加。エアコン内部により効率的にイオンを充満させられるようになっている。

送風口中央付近に配置されているプラズマクラスターの吹き出し口。通常運転時は冷房や暖房の風とともに室内にプラズマクラスターを放出して消臭などを行う

もう一つの大きな進化が、クラウドサービスと連携した生成AIによるサポートだ。 Rシリーズは、スマートフォンと連携させることでエアコンの使い方やお手入れ方法などの疑問に自然な会話で回答。「電気代を抑えるには?」といった抽象的な問いに対しても、AIが膨大な取扱説明書やデータベースから最適な解決策を提示。質問の内容によってはアプリ内の設定画面までスムーズに誘導してくれる。多機能化ゆえの「使いこなせない」という不満に対し、AIを介在させることで誰でも機能をフル活用できる仕組みを構築した。

自分の言葉で質問ができる生成AIによるサービス。質問に応じて取扱説明書の該当箇所を提示したり、操作アプリへ直接誘導したりと、操作を迷わせない工夫が凝らされている

2027年省エネ基準の壁とコンパクトさを両立

カビ対策やAI機能と並び、Rシリーズで特筆すべきなのが「2027年度新省エネ基準」の達成だ。これは、脱炭素社会の実現に向けて日本が定めた新しい省エネ目標のこと。2027年度からは、メーカーは政府が設定した高い基準をクリアすることが義務付けられている。ただし、省エネ性能を高めるには、熱交換器の面積を広げるなどの必要があり、多くの場合室内機が巨大化。このため、省エネ性の高い多くの高機能エアコンは本体が大きいというジレンマを抱えている。

この課題に対し、新Rシリーズは「室内機の2デザイン展開」という解決法をとった。エアコンは通常、能力によって室外機が変わることはあっても、同一シリーズ内では同じデザインの室内機を採用するのが通例だ。そんな常識のなか、Rシリーズは6畳~8畳用の2モデルにコンパクトなサイズの専用シャーシを採用した。これにより、6畳~8畳用は高さを24.9cmに抑制。シャープによれば、2027年度新省エネ基準を100%達成した2.2~2.5kWクラスのエアコンにおいて、室内機の高さは業界最小だという。最近は窓の上の限られた隙間にエアコンを設置する家庭も多いが、このサイズ感なら狭いエリアにも無理なく設置が可能だ。

上が6畳~8畳用、下が10畳~26畳用の室内機シャーシ。大能力タイプは高さ29.5cm、小能力タイプは24.9cm

市場のニーズに真っ向から応えた製品に

エアコン業界は大きな転換点を迎えている。2027年度から施行される新省エネ基準達成の義務化により、これまでの安価で省エネ性能の低いモデルは事実上、製造・販売ができなくなる見通しだ。そうなれば、市場には一定以上の価格と性能を両立した製品だけが並ぶことになる。「安いから」という理由で選べなくなる時代、私たちは何を基準にエアコンを選ぶべきなのか。カビを発生させにくい清潔性能や、AIによるわかりやすさの向上など、今回のRシリーズはそのひとつの回答を示しているように感じた。

文/倉本 春

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ソフトバンクにてPC雑誌の編集者を5年、ドッグカフェのオーナーシェフを6年経験後、家電ライターに転向。 現在は生活家電分野をメインにWebをはじめ雑誌やラジオなど数多くの媒体で活動を展開

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