2017年に始まったセルフメディケーション税制。2026年末で終了となる見込みだが、今後はどうなるのだろうか。新たに制度を利用する人のために、控除のしくみと申請方法も合わせて解説する。
目次
対象の医薬品を一定以上購入することで所得控除が受けられるセルフメディケーション税制。2017年にスタートしたこの制度は、2021年に5年間の延長が決定し、2026年12月31日で期限を迎える。
今まで利用したことがない人もスマホとマイナンバーカードがあれば簡単に確定申告ができるためチェックしてみてはいかがだろう。
本記事では、セルフメディケーション税制のしくみと確定申告の方法までわかりやすく解説する。
セルフメディケーション税制とは?2026年の現状と延長の可能性
セルフメディケーション税制を利用すると、特定の医薬品を購入した場合に所得控除を受けられる。まずは2026年時点のセルフメディケーション税制の概要を見てみよう。
■セルフメディケーション税制の基本的なしくみ
セルフメディケーション税制は、2017年1月から開始された医療費控除の特例制度だ。年間12,000円を超える対象医薬品を購入した場合に、12,000円を超えた分が控除の対象となる。控除額の上限は88,000円まで。
通常の医療費控除が年間10万円以上(所得によって総所得金額等の5%)の医療費支出が要件となるのに対して、セルフメディケーション税制は控除を受けるためのハードルが低い。ただし、医療費控除とセルフメディケーション税制は併用できないため、いずれも対象となる場合は、比較して控除額が有利なほうを選ぼう。
■2026~2027年以降に向けた制度の変更
セルフメディケーション税制は、2017年の施行後、2021年に延長が決定し、現時点では2026年12月31日までの時限措置となっている。ただし、厚生労働省が恒久化を要望しており、2027年以降も継続される見通しだ。
過去の延長では、対象となる成分の見直しもおこなわれた。たとえば、「L-アスパラギン酸カルシウム」「フッ化ナトリウム」「メコバラミン」「ユビデカレノン」の4成分を含む医薬品は、2025年12月31日でセルフメディケーション税制の対象から外れている。
■いくら戻るの?セルフメディケーション税制の控除額の計算
セルフメディケーション税制を利用した場合の控除額の計算方法は以下の通りだ。
・控除額=対象医薬品購入額(税込)-12,000円(上限88,000円)
(例:対象医薬品を年20,000円購入した場合、控除額は20,000円-12,000円=8,000円)
実際の減税額は、この控除額に所得税率を掛けて計算する。所得税率が20%であれば、8,000円✕20%=1,600円が所得税から減税される。所得控除は住民税(税率一律10%)にも連動するため、8,000円✕10%=800円程度の減税効果が期待できる。
所得税率は課税所得金額によって5%から45%まで異なるため、控除額が同じでも所得が高いほど減税効果は大きくなるしくみだ。
セルフメディケーション税制の対象医薬品と購入時の注意点
セルフメディケーション税制の対象となる医薬品の種類と購入時のポイントを見てみよう。
■セルフメディケーション税制対象医薬品の種類と見分け方
セルフメディケーション税制の対象となるのは、厚生労働省が指定する特定成分を含むスイッチOTC医薬品(医療用医薬品から転用された一般用医薬品)、および、スイッチOTC医薬品と同種の効能・効果を有すると認められる一定の医薬品だ。
【例】かぜ薬、鎮咳去痰薬、アレルギー用薬(鼻炎用内服薬、鼻炎用点鼻薬、抗ヒスタミン薬など)、解熱鎮痛薬、外用消炎鎮痛、一部の胃腸薬など
対象となる医薬品を見分ける方法は主に2つ。1つ目は商品パッケージを確認する方法だ。「セルフメディケーション税控除対象」の共通識別マークが表示されていれば対象となる。
2つ目はレシートで確認する方法。購入時のレシートには対象医薬品の商品名の前に記号(例:★印)が付き、「★印はセルフメディケーション税制対象商品」といった説明が記載されている。
■セルフメディケーション税制は税込?割引やクーポン、ポイントの取り扱いは?
医薬品の購入金額は「税込」で計算する。ただし、購入金額に含められるのは自己負担した金額のみ。たとえば、割引価格やクーポン・ポイントなどを利用して値引きされた場合は、実際に支払った金額のみを計上する。
ちなみに、医薬品の購入によって付与されたポイントは、購入時点の支出ではないため、差し引く必要はない。
本人だけでなく、同一生計の家族・親族が購入した医薬品も合算できるので、家族全員分のレシートを保管しておこう。
■医薬品購入時のレシート・領収書の注意点
セルフメディケーション税制を申請するためのレシート・領収書には、以下の5項目が必要だ。
・商品名(対象医薬品名)
・金額
・当該製品がセルフメディケーション税制対象である旨
・販売店名
・購入日
レシートを紛失した場合、原則として控除を受けることはできない。購入時のレシートや領収書は確実に保管しておこう。
確定申告をする際は、レシート・領収書の提出は不要だが、自宅で原則5年間保管する義務がある。
セルフメディケーション税制の申請条件と「一定の取組」とは
セルフメディケーション税制の適用を受けるには、対象医薬品の購入に加えて、「健康の保持増進及び疾病の予防への一定の取組」を申告者本人が行っていることが条件となる。詳しく見ていこう。
■申請できる人の条件
セルフメディケーション税制の申請者は、以下の条件をすべて満たす必要がある。
・所得税および住民税を納めている
・1月1日から12月31日までの1年間に、対象医薬品を12,000円以上購入している(同一世帯の家族分を合算可能)
これらに加えて、申告者本人が「一定の取組」を行っていることが条件だ。
セルフメディケーション税制で申請者が求められる「一定の取組」とは?
「一定の取組」とは、以下の6つのいずれかが対象となる。
1.保険者(健康保険組合、市区町村国保等)が実施する健康診査(人間ドック、各種健診など)
2.市区町村が健康増進事業として行う健康診査(歯周疾患検診、骨粗鬆症検診、肝炎ウイルス検診など)
3.予防接種(定期接種、インフルエンザワクチンの予防接種)
4.勤務先で実施する定期健康診断(事業主検診)
5.特定健康診査(いわゆるメタボ検診)、特定保健指導
6.市区町村が健康増進事業として実施するがん検診
これらのうちいずれか1つを受けていれば申請が可能だ。なお、「一定の取組」にかかった費用は、セルフメディケーション税制の控除対象にならないので注意したい。
セルフメディケーション税制の申請方法。会社員でもできる確定申告のやり方

セルフメディケーション税制は医療費控除の特例となるため、適用を受けるには確定申告が必要となる。申請方法を見ていこう。
■セルフメディケーション税制の確定申告について
確定申告の期間は、毎年2月16日から3月15日まで。マイナンバーカードとスマートフォンがあれば、e-Taxを利用したオンライン申告が便利だ。
■セルフメディケーション税制の申請に必要なもの
セルフメディケーション税制の確定申告に必要なものは以下の通り。
・セルフメディケーション税制の明細書(国税庁HPからダウンロード。※e-Taxの場合は国税庁の「確定申告書等作成コーナー」で自動作成できる)
・「一定の取組」を行ったことを証明する書類(例:健康診断の結果通知表、予防接種済証、領収書など)
・【e-Taxの場合】マイナンバーカードとマイナンバーカード読み取り対応のスマートフォン(PCの場合はICカードリーダー)
■確定申告書の作成手順
国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を利用すると、画面の指示に従って必要事項を入力していくだけで自動的に税額が計算され、確定申告書を作成できる。
セルフメディケーション税制を利用する場合の手順
1.確定申告書作成の「医療費控除」の選択画面で「セルフメディケーション税制を適用する」を選択
2.入力方法を選択する画面が表示されるので、以下のいずれかを選択
- 「医薬品の領収書から入力する」を選んだ場合:薬局名、医薬品名、購入金額などを1件ずつ入力する。入力内容から「セルフメディケーション税制の明細書」が自動作成される
- 「医薬品の購入金額の合計額のみ入力する」を選んだ場合:合計額のみを入力。別途「セルフメディケーション税制の明細書」を作成する必要がある
3.「一定の取組」に関する情報を入力
作成した申告書は、e-Taxで送信するか、印刷して税務署に郵送または持参する。e-Taxなら即座に送信でき、還付金の振込も早くなるメリットがあるためおすすめだ。
※情報は万全を期していますが、正確性を保証するものではありません。







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