
プロ野球がオフシーズンに入り、早くも球春が待ち遠しくなっていた2025年師走。我々プロ野球ファンを驚かす、あるニュースが飛び込んできた。
楽天、宮城球場のネーミングライツを更新し「楽天モバイル 最強パーク宮城」に愛称を変更(2025年12月1日:楽天グループ株式会社 公式サイトより)
球場名に「最強」が入るのである。
公式リリースに掲載のバナー画像では「最強パーク」という文字が大きく強調されていた。親会社である楽天のグループ企業(楽天モバイル)が展開するサービスの名前になぞらえて“「最強」の感動と体験を届けたい”という理念で名付けられたとのことだが、公式の略称は「楽天モバイル」らしく、「“最強”は入らないのかい!」というリアクションまで1セットで印象に残るニュースだった。
世の中には様々な「ネーミングライツ」が存在するが、プロ野球界だけでも数多くの印象に残る球場名が存在する。
上手に利用すれば今回の「楽天最強パーク(私はやっぱりこうやって略したいのでこの記事ではこう呼ばせてほしい)」のように、オーディエンスに強いインパクトを与え、大きな費用対効果が期待できるネーミングライツ。
今回の記事では、そんな「球場のネーミングライツ」について少し調べてみた。
21世紀のプロ野球界におけるネーミングライツ史を探る

まず、スポーツの会場におけるネーミングライツとはいつから始まったのだろうか。
調べた限りでは、1970年代のアメリカにおいて、アメフトやサッカーで使われるスタジアムでの導入が最初と思しき事例であるようだ。
日本のスポーツ関連における公共施設においては、サッカー・Jリーグ FC東京及び東京ヴェルディの本拠地である東京スタジアムが、2003年にその名を「味の素スタジアム」としたことがその始まりである。
2003年に5年契約からスタートし、何度も契約を更新しながら2024年には10億5千万円で再度5年契約を結んでいることから、その効果やファンへの「味の素」の定着具合は計り知れないものがあるのだろう。
現在の日本プロ野球12球団の本拠地・準本拠地で最初にネーミングライツが導入されたのは、神戸総合運動公園野球場(現:ほっともっとフィールド神戸。オリックス・バファローズの準本拠地)において2003年に大手通信企業のソフトバンクグループ傘下の2社が命名権を取得した「Yahoo! BB スタジアム」である。
2003年は先に述べた味の素スタジアムと同年であり、当時スタジアム界におけるネーミングライツブームが始まったことが想像できる。
しかし、「Yahoo! BBスタジアム」時代だった2年間、同球場を本拠地としていたオリックス・ブルーウェーブは、歴史的な投壊(チーム防御率が日本プロ野球史ワーストの5.95(2003)など)に陥った、いわゆる暗黒期の真っ最中であり、「Yahoo! BB」の文字を見ると頭が痛くなる往年のブルーウェーブファンもいるかもしれない。
(何の因果か、2003年に4回にもわたりブルーウェーブから1試合で20点以上奪った当時のダイエーホークスは、神戸のネーミングライツ解消翌年から、おなじみ「福岡“ソフトバンク”ホークス」へと生まれ変わっている。)
「Yahoo! BB」を皮切りにスタートしたプロ野球のメイン球場におけるネーミングライツを採用した球場名は、「楽天最強パーク」までに、同一企業による複数の球場命名も含めると計25種類も存在していた(2025年12月現在)。
その中には、今年の7月で命名後20周年を迎えるほど定着した「京セラドーム大阪」や、新球場設立以来一度も名前を変えていない「MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島」など長きに渡り同じ名前を冠している球場もあれば、大人の事情で1年限りで名前が変わった球場、一度ネーミングライツを辞めてから再度ネーミングライツによる改称を始めた球場(例:「西武ドーム」第2期(2008-2014)からの西武プリンスドーム(2015-2016))もあるなど、様々なネーミングが見受けられた。
また、「東京ドーム」「横浜スタジアム」「明治神宮野球場」「阪神甲子園球場※」は開場以来現在に至るまでネーミングライツ採用には至っていない。球場によりスタンスや運営方法の違いがあるものまた面白い。
「楽天最強パーク」が炙り出す、球団レジェンドの存在
今回のテーマである「楽天最強パーク」は、2004年の東北楽天ゴールデンイーグルス誕生以降、これが7つ目(細かくカウントすると8つ目)の名前になる。サービス名の一部とはいえ、過去のネーミングライツで明らかな「最強」のような形容詞が含まれる球場名は見た限り存在しない。その内訳は以下の通りになる。
フルキャストスタジアム宮城(2005-2007)
日本製紙クリネックススタジアム宮城/クリネックススタジアム宮城(2008-2013)
楽天Koboスタジアム宮城(2014-2016)
Koboパーク宮城(2017)
楽天生命パーク宮城(2018-2022)
楽天モバイルパーク宮城(2023-2025)
楽天モバイル 最強パーク宮城(2026-)
マー君(田中将大(現 巨人))が大エースとして君臨し、球団創設以来初の日本一に輝いた年の「クリネックススタジアム宮城(Kスタ宮城)」より後は、すべて楽天グループの傘下企業またはサービス名普及のツールとしてネーミングが使用されている。
現役選手として楽天ですべての球場名を経験している選手は残念ながらいないものの、現在同球団で投手コーチを務める青山浩二コーチ(2006年ドラフト入団~2020年引退。2024年よりコーチ就任)はキャリアの中でこのすべての球場名を経験している。青山コーチに昔を振り返ってもらうインタビューなどがあれば、もしかするとその都度、話に出てくる球場名が異なっているかもしれない。
他球団を見渡すと、埼玉西武ライオンズのベテランコンビ・栗山巧と中村剛也は、2001年の入団以降現在まで一度も他球団移籍を経験せずにプレーしているため、西武ドームからベルーナドームに至るまでの計6つの球場名すべてを、常に一軍主戦力としてプレーしている。
青山コーチも含め、各球団のレジェンドフランチャイズプレーヤーの功績をたたえる際にも、「ネーミングライツ」は一役買っており、その度に想起されるものなのかもしれない。
おわりに
今回は触れることのできなかったファーム球場なども含めると、もっと多くのネーミングライツが存在しており、プロ野球ファンの読者の皆さんの記憶にも思い出の球場名がきっとあり、それがある限りは企業としても「ネーミングライツ取得成功」と言えるのではないのだろうか。
この記事が出る頃にはもしかしたらもう2月のキャンプインの季節かもしれないが、阪神タイガースの一軍キャンプ地は「バイトするならエントリー宜野座スタジアム」(東京の人材派遣会社)、横浜DeNAベイスターズのA班キャンプ地は「ユニオンですからスタジアム宜野湾」(地元沖縄のスーパーマーケット運営会社)など、これまた12球団本拠地とは異なる方向で印象に残るネーミングライツを採用している球場を見ることが出来る。
今シーズン、野球観戦をされる際はぜひ、球場のネーミングにも注目してみていただきたい。
文/とく







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