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「スマホが充電できるベンチ」を開発した企業の防災家具がスゴい!

2026.01.31

木々の爽やかな香り漂う遊歩道のベンチに腰を下ろすと、そこではスマホの充電ができた。

写真提供 株式会社コトブキ

東京都調布市の遊歩道に「スマホが充電できるベンチ」があることをご存知だろうか?

ベンチの端には「ここでスマートフォンのワイヤレス充電が可能です」としっかり記載されていて、散歩にぴったりな癒しの小路に、ある意味似つかわしくないチャージポートが浮かび上がっている。

写真提供 株式会社コトブキ

このベンチがあるのは、京王線の地下化により2年前に誕生した線路跡地の遊歩道。水木しげるゾーン、文化発信ゾーン、やすらぎ健康ゾーンのスペースが存在し、昨年には「ちょうふぽっぽみち」という愛称も決定した地元の方に愛されているスポットだ。

写真提供 株式会社コトブキ

そこに現れた、まるで魔法のようなデジタルベンチにSNSでは「画期的すぎる」「めちゃくちゃ便利」とのコメントが寄せられている。

開発したのは遊具やベンチを製造・販売するメーカー「コトブキ」。電装機能を搭載したベンチを始め、防災時にかまどになるベンチや公園の休憩施設が救護室や倉庫に変わる防災ファニチャーも開発している。

日常の癒しと災害時の機能性を備えたコトブキの防災ファニチャーの魅力、そしてスマホが充電できるベンチの開発秘話を担当者に伺った。

――スマホの充電可能なベンチを開発したきっかけを教えてください

「近年、まちづくりにおいて、過ごす時間の価値を高める空間整備、災害時における安全性の高い都市づくり、SGDsなどの考えに基づいた環境への配慮が求められ、またI T技術の進化により、行動・生活スタイルが大きく変わり外出時でも室内環境と同様の便利さを求める傾向が強くなっています」

「それらを踏まえ、オープンスペースの平時での滞在快適性向上・商業的価値向上と有事でのライフラインの提供を目的とした製品を展開することで、外で過ごす人に“安心”と“快適”を提供したいと考え開発をしました」

――なぜベンチだったのでしょうか?

「ベンチは都市に広く普及しており、まずはじめに充電機能を搭載する対象として適切だと考えたためです」

写真提供 株式会社コトブキ

そんな話題のベンチは太陽光で蓄電する「eXエフラインシリーズ」なのだが、このベンチでどれぐらい充電ができるのか?

「太陽光での蓄電が満充電のときは、約4台程度のスマホを満充電できます。ただ、一度に充電できるのは1台で、充電速度はスマホのバッテリーの状態により変化します」

いざという時に非常に助かるスマホの充電スポット。最近はコンビニや商業施設にレンタル可能なバッテリーが設置されているが、遊歩道という意外な場所でのチャージスポットは画期的とも言える。

これは、防災ファニチャーに力を入れているコトブキならでは。機能性はもちろん、利便性にもこだわりがある。

「電力を自給自足できるオフグリッド仕様で、電気配線工事が不要。環境に配慮しながら太陽光発電で電気を生み出すため、手軽に設置でき、日の当たる場所であればどこでも利用することができるように開発しました」

「今後は、スマートフォンのバッテリー残量を気にせず外出できること自体が、これからのまちの安心につながると考えています。ベンチに座るという日常の行為の中で自然に“電源にアクセスできる”環境を整えていきたいです」

普段使いが結果として防災につながるというファニチャーの在り方

スマホの充電可能なベンチは現在、調布市のほか、東京都練馬区の「練馬城址公園」、岡山県倉敷市「まびふれあい公園」などに設置されている。自治体からの依頼に加え、大学からの発注実績もあるという。

じわじわと全国に拡まっているその理由について、担当者はこう分析する。

「スマートフォンが生活に欠かせない存在となり、公園やまちなかといったオープンスペースにおいて、気軽に充電できる場所へのニーズが高まっていることが大きな理由だと考えています」

「座って休憩しながら充電できるという機能は、日常の中で多くの方が感じていた「あったらいいな」に応えるものであり、共感を呼んだのではないかと思います。また、公共のベンチに充電機能を組み込むという新しさや意外性が、議論や関心を呼び、結果として話題になった理由と考えられます」

長年、公園や街路などオープンスペースを彩るものづくりに励んできた株式会社コトブキ。

その経験と技術を活かした防災ファニチャーをここで紹介しよう。

【かまどベンチ】

写真提供 株式会社コトブキ

平常時は憩いのベンチとして利用でき、災害時はかまどとして炊き出しが可能。

「景観に馴染むデザインでありながら、災害時にはさまざまな防災の役割を果たします。軽量で誰もが使いやすく、熱が直接地面に伝わらない構造で、安全と耐久性にも配慮した設計となっています」

【トイレスツール】

写真提供 株式会社コトブキ

災害時には座面とマンホールの蓋を外すだけで簡単に下水管直結のトイレに変身するスグレモノ。

「座面には美観に優れた人工大理石、本体には表面にテクスチャーを持たせたアルミ合金鋳物を使用し、平常時はスツールとして景観に馴染むデザインとなっています」

【パーゴラ・シェルター+防災テントセット】

写真提供 株式会社コトブキ

防災テントセットとの組み合わせにより、平常時は日陰をつくる人々の憩いの場、災害時には地域を守る拠点(救護所や備品保管場所)となる。

「広い開口部が空気が通りやすく、雨風を防ぐ広くゆったりとした空間を提供します。繰り返し利用可能で、災害時だけでなく地域イベントのテントとしても便利にご利用いただけます」

暮らしのそばに安心を届ける防災ファニチャー。コトブキが企業として心がけていることとは?

「日常に馴染むデザイン性とイベントなどで繰り返し使える耐久性・軽量さを持たせることです。また、日頃から製品を活用した訓練やイベントが実施されることで、地域住民の間で活発な情報共有や共助関係の強化がなされ、防災・減災に繋がる地域コミュニティの基盤が構築されることを目指しています」

今後、国内での防災ファニチャーはどのように拡がっていくのか?

写真提供 株式会社コトブキ

「昨今、都市の防災や地域の防災構造を強化するために、公園や緩衝緑地が防災公園として見直されています。都市の総合的な不燃化や耐震化を強化するとともに、一次避難場所としての機能、また、平常時は親しまれる公園として整備されることが求められており、そうした流れの中、平常時と非常時の両方で役割を果たす防災ファニチャーは今後さらに拡がっていくと考えています」

最後に、未来に向けたコトブキとしての展望を聞いた。

「当社としては、いざという時のための特別なものではなく、普段から使われ親しまれることが結果として防災につながるというファニチャーの在り方を大切にしていきたいと考えています。公園やまちなかの居心地を高めながら、地域の安心・安全とコミュニティ形成につながる提案を展開していきたいです」

取材協力
株式会社コトブキ
コトブキInstagram @kotobuki_tws

文/太田ポーシャ

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