日々の小さな行動変容で寿命が延びる可能性
健康増進のために、新しい食事計画を立てたりジムの会員になったりする必要はないようだ。
あと数分長い睡眠時間を確保する、もう少し体を動かす、食事の質を少しだけ改善するといった日々のごく小さな行動変容が、長生きや健康の維持に寄与する可能性のあることが、新たな研究で示された。
シドニー大学(オーストラリア)のNicholas Koemel氏らによるこの研究の詳細は、「eClinicalMedicine」に1月13日掲載された。
この研究でKoemel氏らは、UKバイオバンクのデータを用いて5万9,078人の高齢者(年齢中央値64.0歳、男性45.4%)について調べた。参加者は1週間にわたりリスト型のデバイスを装着し、睡眠と身体活動を測定した。
食事内容については、自己申告による食習慣に関する調査結果を基に、食事の質スコア(Diet Quality Score:DQS)を算出した。DQSは0~100点で、スコアが高いほど食事の質が高いことを意味する。
解析の結果、最も不健康な生活習慣の群(夜間の睡眠時間が約5.5時間、1日当たりの運動時間が7.3分、食事スコアが36.9点)を基準とした場合、一晩当たりの睡眠時間が5分長く、1日当たりの運動時間が1.9分多く、DQSが5点高い生活習慣は、平均余命が約1年長いことと関連していると推定された。
DQSの5点の上昇は、例えば、野菜を1日当たり0.5サービング増やすか、全粒穀物を1.5サービング多く摂取することに相当する食事改善を意味する。
さらに、これら3つの行動変容を同時に達成しなくても、一晩当たりの睡眠時間が25分長いか、1日当たりの運動時間が2.3分多いか、DQSが35.5点高い場合でも、平均余命が約1年長いことと関連していると推定された。
Koemel氏は、「これらの小さな行動変容は、実際には意味のある影響を及ぼし、時間の経過とともに積み重なることで寿命の長さに大きな違いをもたらす」とNBCニュースに語っている。
研究グループは、参加者を8年以上にわたって追跡し、心疾患やがん、認知症、2型糖尿病などの重い疾患を発症することなく生きていた期間(健康寿命)についても調べた。
その結果、最も不健康な生活習慣を基準とした場合、一晩当たりの睡眠時間が24分長く、1日当たりの運動時間が3.7分多く、DQSが23点高い生活習慣は、健康寿命が約4年長いことと関連していると推定された。
Koemel氏は、「この研究のポイントは、こうした小さな調整で全てが解決するというものでは必ずしもない。それよりも、どこから最初の一歩を踏み出すか、人々にとって達成可能で無理のない選択肢をどのように作り出すかの方が重要だ」とNBCニュースに語っている。
米疾病対策センター(CDC)のデータによると、米国の成人の約37%が推奨されている1日7時間の睡眠時間を確保できていない。
米VCUヘルスのメディカル・ディレクターのMaha Alattar氏は、「睡眠時間を5分増やしても、その日のうちにすぐ効果を感じることはないかもしれない。しかし、1カ月単位で見れば、かなりの時間になる」と指摘する。同氏は、「このことは、長期的には健康状態の改善につながり得ると考えられる。というのも、われわれは逆の視点、つまり睡眠不足から健康を考えているからだ」と言う。
また、運動についても同様の傾向が認められ、ほとんど運動していなかった人が少しでも体を動かすようになった場合に最大の効果が得られることが示唆された。研究グループによると、運動の効果は1日当たり約50分でピークに達することも明らかになったという。
一方、米アリゾナ州立大学運動生理学教授のGlenn Gaesser氏は、「健康上のメリットを得るために生活習慣を大幅に見直す必要はない。将来の行動を予測する最も正確な指標は、過去の行動だ」と述べている。(HealthDay News 2026年1月15日)
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(参考情報)
Abstract/Full Text
https://www.thelancet.com/journals/eclinm/article/PIIS2589-5370(25)00676-5/fulltext
構成/DIME編集部
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