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60年に一度の「丙午の呪い」は本当に存在するのか?300年続いた迷信の正体

2026.01.30

60年に一度やってくる「丙午」の正体

2026年は60年に一度巡ってくる「丙午」の年だ。

この丙午とは「干支」であり、歴史の授業で習う672年に起きた壬申の乱や、1911年の辛亥革命、1924年に開場した阪神甲子園球場などに冠される「壬申」「辛亥」「甲子」がその年を言い表す干支であり、これは「十干(じっかん)」と「十二支」を組み合わせたものなのである。

十干とは中国の殷の時代(紀元前11世紀頃まで黄河下流域に栄えた中国の古代王朝)から、10日ごとに循環する日を表示する数詞として使われた甲(こう)、乙(おつ)、丙(へい)、丁(てい)、戊(ぼ)、己(き)、庚(こう)、辛(しん)、壬(じん)、癸(き)の総称であり、そこに十二支(子、丑、寅、卯、辰、巳、午、未、申、酉、戌、亥)を合わせ、年と日を表示するものになったという。

これらを組み合わせた干支(十干十二支)は60種類あり、これを一巡するのが満60歳のお祝いである「還暦」、つまり自分が生まれた干支=暦に還るという考え方なのである。

さらに万物を生じたり、変化させる元素である「木火土金水」をベースとした中国の古代思想「五行説(ごぎょうせつ)」と結びつき、十干は木(甲、乙)、火(丙、丁)、土(戊、己)、金(庚、辛)、水(壬、癸)に、十二支は木(寅、卯)、火(巳、午)、土(丑、辰、未、戌)、金(申、酉)、水(子、亥)という5つの物質に割り振られ、そのそれぞれが陰と陽を表す「陰陽五行説」の考え方と一緒に取り込まれた。

〝呪いの年〟とうわさされる年!?

説明が長くなったが、丙午というのは干支の第43番目であり、「丙」も「午」も陰陽五行説では「火」のグループであることから、この年は火災が多いとされており、この年生まれの女性は気性が激しく、夫を食い殺すという俗説(江戸時代、恋心から放火して死罪となったと言われる八百屋お七も丙午の生まれだったと言われている)がある。

また前々回の丙午だった1906年には結婚できないかもしれないと悩んだ女性が自殺したり、前回の1966年には出生率が前年から25%下がるなど大きな影響があったという(もちろん火事も、夫を食い殺す云々にも確たる証拠はない)。

1966年生まれのエッセイスト酒井順子は、最新刊『ひのえうまに生まれて 300年の呪いを解く』(新潮社)でこう書いている。

丙午は、六十年周期でやってくる。いくら炎が燃えさかっていたとて、六十年のうちには消えるだろうと思いきや、丙午の炎は埋み火となってずっと灰の中で燻っているのであり、六十年が経つとまた、新たな燃料を得て燃え始める。……ということが、日本では幾度も繰り返されてきたのだ

ところがその酒井、2003年に出版し大きな注目を集めた30代以上の未婚・子なし女性を〝負け犬〟として取り上げたエッセイ『負け犬の遠吠え』を書いた際、未婚の理由に丙午であることは考えつかなかったそうで、昭和時代の丙午生まれは好景気に乗り、結婚の際にも特には問題視されなかった(酒井と同年生まれの秋篠宮妃紀子さまご成婚の時にも騒がれなかった)という。

『ひのえうまに生まれて」は江戸時代から昭和までの「丙午」にどんなことがあったのかを資料をもとに丹念に読み解いていく。歴史を辿ることで見えてくる事実と、そこから導き出される「令和の丙午」について、酒井は「今度こそ丙午の火は消えたと私は見る」と喝破している。

また巻末には酒井と同じ丙午生まれの女優・鈴木保奈美と大阪大学大学院の吉川徹教授との鼎談が収録され、当事者としての体感と考察、そして未来へ向けての思いなどが語られており、こちらも大変興味深かった。丙午の迷信について考える上で必読の書といえるだろう。

八百屋お七の時代から300年以上、少子化の続く日本では緩やかに出生率が下がっていること、そして迷信としての丙午の影響はほぼなくなったと考えられるため、令和の時代は昭和ほどの産み控えは考えられない(そして数十年後の結婚の障壁になることもない)と思われる。と

はいえ、こうした迷信を言ってくる〝余計なお世話〟な人はいつの時代にもいるものなので、何かあった際には正しい知識を得た上で、きちんと「それは迷信です」と否定していきたいものだ。

文・成田全(ナリタタモツ)

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