なんかモヤモヤする。それは「価値観の押しつけ」社会の中で生きているから感じることだという。
人間関係のモヤモヤは、ほぼ立場のマウントであると言われる。他人と自分を比べ“自己の優位性を示す=マウントを取る“は、生存戦略として私たちの遺伝子に組み込まれた本能で、逃れることはできない。
なぜ遺伝子に刻まれたのか?
マウントとモヤモヤの構造を読み解く話題の書籍『モヤモヤをなくせばうまくいく マウント社会をこう生き抜け』から一部を抜粋してその正体を丁寧に紐解いていく。
モヤモヤをなくせばうまくいく「受験のモヤモヤ」
(1)高校受験のモヤモヤ──「第二志望に合格しました」その一言に、かすかなマウントの匂い
【ケース】ママ友から届いたLINEには、「◯◯高校に合格しました」ではなく、「第二志望の◯◯高校に合格しました」とわざわざ書かれていた。合格の報告なら、本来は「受かりました」だけで十分なはずなのに。「第二志望」とつけ足すことで、「うちは本当はもう一段上を狙っていたんです。そこをゴールにしていたご家庭とは、少し立場が違います」と、遠回しにアピールしているようにも感じられてしまう。ささやかな報告文の中に余計なニュアンスを滑り込ませてくる感じが、いかにもママ友社会だなあと思えて、どうにもモヤモヤする。これが学生時代からの友人だったら、あれこれ裏を読むこともなく、「よかったね!」とだけ言って素直に喜び合えていたはずなのに。結局、相手が求めていそうな「すごいですね~」を感情ゼロで添えつつ、「おめでとうございます」をきちんと返した私、なかなか大人だなと思った。(43歳女性・パート勤務・中学生の子ども1人)
【解説】合格報告に「第二志望だけど」と、わざわざつけ足される。その一言が、胸の奥にじんわりとモヤモヤを残す。「うちはもっと上を狙っていたのよ」という、ほんのりした優越の匂いがそこには漂っている気がするからだ。本当は「子どもが行きたい学校に行ければそれでいい」と思っているのに、ママ友同士の会話になると、どうしても見えない比較の空気が立ちのぼる。笑顔の裏に、小さな競争の火種がくすぶっている。けれど、そんな中で「おめでとうございます」と返せたあなたの対応は、とても成熟していて、誇らしいものだ。相手の優越心に巻き込まれず、適切な距離を取れるのは、まさに大人の余裕。その落ち着きこそ、何よりの強さだ。「うちはうち」と割り切ること。受験も進学も、家庭の数だけ正解がある。
「なんでこんな駆け引きに巻き込まれなきゃいけないの?」と違和感を持てる感性こそ、まっとうな感覚だ。モヤモヤするのは弱さじゃない。「比べるより、わが子の幸せをちゃんと見つめたい」という、誠実な気持ちのあらわれ。その軸を持っている時点で、あなたはもう十分に強く、まっすぐな母親である。
(2)合格後のモヤモヤ──高い学費を払っているのに、ダラダラされると胸がざわつく
【ケース】気がつけば、子どもにイラッとする場面が以前より増えていた。ソファでダラダラしている姿を見ただけで、「あれだけの学費を払っているのに、これなの?」と心の中でつぶやいてしまう。中学受験が終わり、私立中学に通い始めてから、もうすぐ半年。学費とは別の諸費用が次々と上乗せされていき、このペースの出費がこの先何年も続くのかと思うと、自然とため息がもれる。「子どものためだから」と自分に言い聞かせながら支払いを続けてはいるものの、削れていくのは貯金だけではなく、自分の心の余裕なのかもしれない。その感覚が、じわじわと胸のあたりに居座りはじめている。(44歳女性・パート勤務/ 夫46歳・会社員/ 第一子12歳・私立中学1年)
【解説】「こんなに学費を払っているのに、なんでダラダラしてるの?」そう思ってしまうのは、親としてごく自然なことだ。お金だけじゃない。受験期の送り迎え、夜食作り、メンタルのケアまで、全部背負ってここまで来た。その努力を思えば、「もう少し頑張ってほしい」と言いたくなるのも当然だ。でも、子どもにとって入学後の1年目は、ようやく長い受験生活から解放されて「少し羽を伸ばしたい」と感じる時期でもある。ここでゆるむのは、むしろ健全な反動だ。少しのダラダラを過剰に気にしてしまうと、かえって子どものやる気を削いでしまうこともある。モヤモヤするのは、「ちゃんと育ってほしい」という真剣な愛情の裏返し。その気持ちを否定しなくていい。ただ、焦りや不安をそのままぶつけると、お互いの距離が遠ざかってしまう。
心がしんどくなったら、子供に「学費は将来への長期的な投資だから」と伝え、いくらかかっているのかをリストにし、子供と一緒に見るだけでも、気持ちは少し整理される。今はまだ成果が見えなくても、あなたの支えは確実に子どもの中に根づいている。その根は、時間をかけて、ゆっくりとたくましく伸びていく。焦らず信じて、見守っていこう。
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『モヤモヤをなくせばうまくいく マウント社会をこう生き抜け』
著/勝木健太 小学館
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勝木健太 かつき・けんた
1986年生まれ。京都大学工学部卒業。三菱東京UFJ銀行(現:三菱UFJ銀行)に入行。PwCコンサルティングおよび監査法人トーマツを経てフリーランスとして独立。2019年にAnd Technologiesを創業し、2021年には同社をみらいワークス(現東証グロース上場)へ売却。売却後は、執行役員としてリード獲得DX事業部を統括し、2年間の任期を満了して退任。著書に『「マウント消費」の経済学』(小学館)、『「いい会社」のはずなのに、今日もモヤモヤ働いてる』(ダイヤモンド社)、企画・プロデュース実績に『人生が整うマウンティング大全』(技術評論社)など。
構成/DIME編集部







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