なんかモヤモヤする。それは「価値観の押しつけ」社会の中で生きているから感じることだという。
人間関係のモヤモヤは、ほぼ立場のマウントであると言われる。他人と自分を比べ“自己の優位性を示す=マウントを取る“は、生存戦略として私たちの遺伝子に組み込まれた本能で、逃れることはできない。
なぜ遺伝子に刻まれたのか?
マウントとモヤモヤの構造を読み解く話題の書籍『モヤモヤをなくせばうまくいく マウント社会をこう生き抜け』から一部を抜粋してその正体を丁寧に紐解いていく。
モヤモヤをなくせばうまくいく「出産選択のモヤモヤ」
(1)命のモヤモヤ──産む痛みも、リスクも知らないくせに。軽く「欲しい」なんて言わないで
【ケース】妊娠も出産も、命を賭けるのは私のほうだ。一歩間違えば命を落とすかもしれない痛みも、長く続く不調も、ボロボロになっていく身体も、その全部を引き受けるのは自分だとわかっている。にもかかわらず、当事者ではない側の男が、横から気楽なテンションで「子ども欲しいんだよね~」なんて言ってくる。その軽さを耳にするたび、本気で吐き気がする。だから、「産む/産まない」の最終決定権がこちら側にあるのは、むしろ当然の話だと思っている。「大事なことだから、一緒に考えたい」と寄り添うならまだしも、開口一番が「子ども欲しいんだよね」では、ただの要望にしか聞こえない。「だから何?」「その前に自分のリスクは?」と、心の中で突っ込みたくなる。(31歳女性・IT企業勤務・既婚・子どもなし)
【解説】「子ども欲しいよね」と軽く言われた瞬間、胸の奥がチクリと痛む。妊娠も出産も、体調の変化も、命のリスクまでも背負うのは自分なのに、何も知らない立場から言われたら、モヤッとするのは当然だ。その一言に、自分の不安や迷いがまるごと置き去りにされてしまうからこそ、深く刺さるのである。しかも、男性の中には「子どもが欲しい=俺はいい父親になれるタイプだよ」と示したいだけの人もいる。
現実を知らない人の言葉は、やさしさよりも軽さのほうが強く響く。妊娠も出産も、「おめでとう」だけですむ話じゃない。体も心も劇的に変わるし、ときには命の危険だってある。その現実をちゃんと知っているからこそ、簡単には「うん」と言えないのだ。子どもを持つかどうかは、夫婦でじっくり話し合うべき大切なテーマ。最終的に決めるのは、ほかでもないあなた自身だ。今は卵子凍結など、将来に備える選択肢も増えている。「今はまだ決めない」という選び方も、十分に立派な判断だ。子どもを望む未来も、望まない未来も、どちらも間違いじゃない。大切なのは、「まわりにどう思われるか」ではなく、「自分はどう生きたいか」という価値基準。その軸さえしっかり持っていれば、焦らなくていい。モヤモヤするのは迷いじゃなく、ちゃんと自分の人生を大切にしたいという誠実な意志のあらわれ。その感覚を信じていれば、どんな選択をしてもきっと大丈夫。
(2)年齢のモヤモヤ──高齢出産と言われるたび、未来への光がかすむ
【ケース】知人の年配女性に、こんなふうに言われたことがある。「36歳だったら、もう子どもを産むには年齢的にこれが最後よね。高齢出産ってリスクも高いし、いろいろ大変でしょ?」その一言を聞いた瞬間、胸の奥にモヤモヤが広がった。まだこんな言葉を平気で口にする人がいるんだ、と唖然とする。友人の中には41歳で妊活している人もいて、その選択をごく普通のこととして見てきたから、なおさら引っかかる。「医学的には事実なんだから仕方ない」「心配して言ってあげているだけ」という意見があるのも、頭ではわかる。けれど、ノーリスクの安全地帯にいる側が、リスクを抱える当事者に向かって「心配」という言葉を使って、勝手に「いい人ポジション」におさまっている光景こそが、いちばんモヤモヤする。(36歳女性・出版社勤務・既婚・子どもなし)
【解説】「高齢出産はリスクあるよね」と、わざわざ言ってくる人がいる。でもそんなこと、言われなくても痛いほどわかっている。妊活をしている人は、年齢の現実も、検査の数値も、日々容赦なく突きつけられて生きている。「障がいが出たらどうするの?」なんて、相手を不安にさせるだけの無神経で乱暴な発言をする人もいる。会社だったら、完全にハラスメント。妊活に真剣に向き合っている人に、追い打ちをかけるような言葉は本当にいらない。だから、そんな発言を真に受ける必要なんてまったくない。「情報のアップデートが止まっている人が何か言ってるな」「品のない人だな」と、心の中で切り捨てればいい。今は40代で出産する人も決して珍しくないし、医療も制度も、確実に前へ進んでいる。大事なのは年齢ではなく、「自分とパートナーがどんな未来を描きたいか」だ。他人の古い常識に、自分の人生を縛られる必要なんてない。モヤモヤするのは弱さじゃない。「ちゃんと自分で人生を選びたい」という、しなやかな強さのあらわれだ。その気持ちを持てている時点で、あなたの人生はもう確実に前へ進んでいる。
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『モヤモヤをなくせばうまくいく マウント社会をこう生き抜け』
著/勝木健太 小学館
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勝木健太 かつき・けんた
1986年生まれ。京都大学工学部卒業。三菱東京UFJ銀行(現:三菱UFJ銀行)に入行。PwCコンサルティングおよび監査法人トーマツを経てフリーランスとして独立。2019年にAnd Technologiesを創業し、2021年には同社をみらいワークス(現東証グロース上場)へ売却。売却後は、執行役員としてリード獲得DX事業部を統括し、2年間の任期を満了して退任。著書に『「マウント消費」の経済学』(小学館)、『「いい会社」のはずなのに、今日もモヤモヤ働いてる』(ダイヤモンド社)、企画・プロデュース実績に『人生が整うマウンティング大全』(技術評論社)など。
構成/DIME編集部







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