なんかモヤモヤする。それは「価値観の押しつけ」社会の中で生きているから感じることだという。
人間関係のモヤモヤは、ほぼ立場のマウントであると言われる。他人と自分を比べ“自己の優位性を示す=マウントを取る“は、生存戦略として私たちの遺伝子に組み込まれた本能で、逃れることはできない。
なぜ遺伝子に刻まれたのか?
マウントとモヤモヤの構造を読み解く話題の書籍『モヤモヤをなくせばうまくいく マウント社会をこう生き抜け』から一部を抜粋してその正体を丁寧に紐解いていく。
モヤモヤをなくせばうまくいく「結婚式のモヤモヤ」
(1)準備のモヤモヤ──「一生に一度」という呪文に追われて、結婚準備が息苦しくなる
【ケース】結婚式の準備を進めれば進めるほど、「これ、本当にここまでやる必要ある?」という気持ちが強くなってきた。打ち合わせを重ねるたびにドレスだの装花だのとオプションが積み上がり、気づけば150万超え。彼女が「一生に一度なんだから、こだわりたい」と目を輝かせる気持ちも、頭ではわかる。ただ、花にそこまでの価値を感じていない自分からすると、「そこに150万出すのはさすがにきつい」という本音が消えてくれない。正直、キャンセル料を払ってでも規模を小さくしたほうがいいんじゃないか、とすら思っている。でもそれをそのまま口にすれば、「やる気がない」「協力してくれない」といった空気になるのは目に見えていて、結局、飲み込むしかない。正直、豪華な式をするために疲労と苛立ちを溜め込むくらいなら、シンプルにふたりで旅行に行ったほうが、よっぽど記念になる気がする。(29歳男性・会社員・年収620万円・交際歴5年・結婚予定)
【解説】結婚式の準備って、最初はあんなにワクワクしていたのに、気づけばストレスのほうがずっと大きくなっている。打ち合わせのたびに見積もりはじわじわ膨らみ、ドレスや装花に何十万、何百万円。本当にそこまで必要なのかと思っても、「一生に一度だから」という甘い言葉に流されてしまう。しかも「式を挙げるのが当然」という空気や、親からの期待も重なって、「やらない」という選択肢がいつの間にか見えなくなっていく。準備が進むほど話がすれ違い、ケンカも増え、「これって本当に幸せの準備なのかな」とため息をつきたくなる。けれどそれは、冷めているからじゃない。ちゃんと現実を冷静に見ているからだ。大事なのは、派手さや演出よりも「ふたりがどう納得できるか」。お金をかけることより、正直に気持ちを話し合うことのほうがずっと意味がある。「ここは譲れない」「ここは削りたい」をきちんと伝え合えば、空気は少しずつやわらいでいく。もし「なんか違う」と感じたら、キャンセルや延期をしてもいい。
焦って進めるより、立ち止まる勇気のほうがずっと誠実だ。いちばん仲が良いはずの時期にうまくいかない相手と、この先ずっと歩めるのか。結婚式の準備は、そのことを見つめ直すきっかけにもなる。式の大きさや華やかさより、「これでよかったね」と心から笑える時間。それこそが、何より確かな幸せにつながっていく。
(2)援助のモヤモヤ──「親から援助ないの?」その言葉ひとつで、距離が生まれる
【ケース】「親は結婚式の費用を出してくれるもの」という前提が、どうにも好きになれない。きっかけは、友達と結婚式の話をしていたときのことだ。何気ない流れで「で、親からお金は出してもらえるんでしょ?」と、確認事項みたいなノリで聞かれた。私が「そういう話は出てないし、多分ないと思う」と答えると、「親なら絶対出してくれるって。一回ちゃんと聞いてみなよ」と、当然のように押し返される。その瞬間、胸のあたりがざわっとした。よその家の親子関係やお金の価値観に、当たり前の顔で踏み込んでくる感じにもモヤモヤするし、「親は子どものために援助するのが普通でしょ」という世界観を疑いもなく前提にして話す人たちには、どうしても違和感が残る。結局のところ、自分が抱えているモヤモヤの正体は、お金そのものではなく、「これが当たり前だよね」という価値観を押し付けられる感覚なのだと思う。(28歳女性・年収500万円・サービス業勤務・婚約中・親は地方在住)
【解説】「親から援助あるでしょ?」と軽く言われるたびに、胸の奥がチクリと痛む。悪気がないのはわかっていても、その一言の裏に「援助があって当然」という空気を感じ取ってしまう。援助がないと言えば「大変だね」と同情めいた声が返ってきて、まるで親の経済力まで比べられているようで、心の奥が曇る。けれど、援助は義務じゃない。なくても自分たちだけの力で式を挙げられるなら、それはむしろ誇るべきことである。自立してまっすぐに生きている証拠だし、胸を張っていい。逆に「うちは援助がある」と言う人の中には、ほんの少し実家の太さ自慢がまじっていることもある。だから真に受けず、「そういう人もいるよね」と軽やかに受け流せばいい。結婚式で本当に大切なのは、援助の有無や金額ではなく、「ふたりが納得して笑えるか」だ。そこさえしっかりしていれば、どんな形にもちゃんと意味が宿る。モヤモヤするのは見栄じゃない。「自分たちらしく始めたい」という誠実な気持ちがあるからだ。その感覚を信じて、自分たちのペースでゆっくりスタートを切ればいい。
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『モヤモヤをなくせばうまくいく マウント社会をこう生き抜け』
著/勝木健太 小学館
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勝木健太 かつき・けんた
1986年生まれ。京都大学工学部卒業。三菱東京UFJ銀行(現:三菱UFJ銀行)に入行。PwCコンサルティングおよび監査法人トーマツを経てフリーランスとして独立。2019年にAnd Technologiesを創業し、2021年には同社をみらいワークス(現東証グロース上場)へ売却。売却後は、執行役員としてリード獲得DX事業部を統括し、2年間の任期を満了して退任。著書に『「マウント消費」の経済学』(小学館)、『「いい会社」のはずなのに、今日もモヤモヤ働いてる』(ダイヤモンド社)、企画・プロデュース実績に『人生が整うマウンティング大全』(技術評論社)など。
構成/DIME編集部







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