
確定申告の季節が、今年もやって来る。
この時期は普段の仕事と同時に紙の上で算数もしなければならず、かなり忙しい。が、日本でもGovTech分野の進化が著しいおかげで、鉛筆を手に取って数字を書く必要すらもなくなりつつある。自宅で電子申告書を作成し、それをオンラインで提出すればハイ終了。
しかし、そんな中でも筆者は10年以上「実地での確定申告」を続けている。今年も会場で申告をするつもりだ。ライターたるもの、確定申告を通じて「技術的進化の瞬間」を観察し続けなければならないからだ。
マイナンバーカードが確定申告会場を進化させた!
筆者が専業ライターを始めたのは、2015年である。「会社員から独立して」などという格好の良いものではなく、単に2015年以降は人材派遣から提案される工場での仕事に応じなくなったというだけだ。「澤田オフィス」という屋号で個人事業主を開始したのも、税金対策以外の何ものでもない。
静岡市では、駿河区にあるツインメッセ静岡が確定申告会場に指定される。静岡ホビーショーと同じ会場だ。ここに並んで順番を待つわけだが、2015年当時も(恐らく)今年も「PCが扱える人」と「そうでない人」とで作業スペースが分かれている。筆者はもちろん前者だ。だが、10年前は筆者のほうが明らかな少数派で、多くの人は「そうでない人」。昔ながらに鉛筆で数字を書いて、それを職員に渡してPCのプラットフォームに書き写してもらう……という手順だった。
そんな光景が、マイナンバーカードの登場と普及から毎年変わっていった。
まず、それまで別々だったe-Taxとマイナポータルが連携するようになり、e-Taxの利用者識別番号からだけではなくマイナンバーカードからのログインが可能になった。このマイナンバーカードはPCに外付けカードリーダーがなければならず、それ故に自宅では確定申告を処理できない……という人が多かった。が、そのあたりもスマートフォンの活用で問題は解決しつつある。
この「外付けカードリーダー問題」について、もう少し書いておきたい。
もう7、8年前だったか、筆者が@DIMEとは別のメディアでマイナポータルについて書いた時、それをきっかけに外付けカードリーダーの転売騒動が発生してしまった。いや、きっかけは筆者の記事だけではないはずだ。とにかくこの当時は「これからの確定申告はマイナンバーカードで!」ということをデジタル庁が盛んに啓蒙していたため、外付けカードリーダーに対する注目度がにわかに高くなっていたのだ。
そのため、「外付けカードリーダーを買いたくても買えない」という人や「どのカードリーダーを買ったらいいのか分からない」という人も一定数存在した。
誰しもがスマホを持っている時代に
デジタル庁、というより永田町と霞が関はまさにワンチームとなってGoogleとAppleに掛け合った。マイナンバーカードのスマホ搭載、そしてマイナポータルのアプリ化を実現するためだ。スマホで公的個人認証サービスを利用できるためにクパチーノとマウンテンビューに粘り強い交渉を行った、と書くべきだろう。
結果、2024年あたりからの確定申告会場に大きな変化が表れた。上述の「PCを扱える人」と「そうでない人」の区分けはそのままだが、会場に設置されているデバイスがノートPCではなくなったのだ。「PCを扱える人」の列に並んだ先にあるのは、ただの机である。
利用者のスマホで申告をしてもらう、という方向性になった。PCもあるにはあるが、1時間に100人単位でやって来る申告者に対して僅か数台という対応だ。
これが少し大変。PCとスマホ、文字や数字を入力する作業にどちらが向いているかといえば、もちろんキーボードのあるPCだ。e-Taxのプラットフォームには自動セーブ機能というものがないため、間違ってブラウザバックしてしまったら最初から。正直、使い勝手がいいとは言えない。
が、今時のスマホはどれもNFC認証機能が備わっていて、これを使えば上述のカードリーダー問題も簡単に乗り越えられる。だからこそ国税庁は、多少の使い勝手の悪さを無視して極力多くの来場者にスマホを使った電子申告をしてもらうよう促しているのだろう。
会場へ足を運ぶメリット
こうして俯瞰してみると、10年以上続けてツインメッセ静岡に足を運んだ甲斐があったと感じてしまう。
筆者は時代の流れ、GovTechの進化と同時に、「会場へ足を運んで申告するメリット」というものも読み取ったつもりだ。
確定申告会場は、COVID-19のパンデミックをきっかけにLINEで来場予約を取るシステムを導入するようになり、パンデミックが終息して以降もこのシステムは健在である。はっきり言ってしまえば、面倒くさい。しかし、その面倒を補って余りあるのが「確定申告について税務署の職員に質問できる」という点だ。PCやスマホが苦手ではなく、年1回しかやらない確定申告の書き方(どこにどの数字を入力すればいいか)がどうも覚えられないという人は、自宅ではなく会場で作業したほうがいい。
また、プラットフォームのトラブルやそう推測される現象に遭遇した場合も、それをすぐさま職員に相談することもできる。会場に足を運べば、作業の確実な完遂が見込めるというわけだ。また、e-Taxのプラットフォームのデザイン変更や再設計も可能性としてあり得るため、そのあたりで戸惑うかもしれない。そんな時、税務署の関係者がいてくれるのは心強い。
さて、この記事を書いている時点で筆者は1月中旬の静かな季節を肌で感じている。今年の確定申告会場でも、何かしらの技術的進化が観察できるのだろうか。
文/澤田真一
「将来受け取れる資金」より先に考えるべきことって?「こどもNISA」があぶり出す金融リテラシー教育の重要性
「こどもNISA」が、早速ながら大きな話題になっている。 これは去年12月26日に閣議決定された『令和8年度税制改正の大綱』の中にある方針の一つで、NISAつみ…







DIME MAGAZINE













