カメムシと言えば、臭いイメージがあるため、多くの人に嫌われがちな昆虫ですが、すべてのカメムシが臭いわけではなく、いい香りのするカメムシも存在します。
今回はその中でも、青りんごの香りがする種類やバニラの香りがする種類、飴のような甘い香りがする種類に着目して解説いたします。
青りんごの香りがするカメムシ
まず、最初に紹介するのは、青りんごの香りがするカメムシとして昆虫好きの間ではよく知られている種類で、オオクモヘリカメムシという種類です。オオクモヘリカメムシはカメムシ目ヘリカメムシ科の一種で、ネムノキやカキ、ミカンなどの汁を吸います。
カメムシが出すあの匂いは何もしていない時にも出るわけではなく、人間が触ったりして、危険を察知すると出す匂いです。そのため、オオクモヘリカメムシも平常時ではいい香りを出してくれませんが、手で挟んだりすると、青りんごの心地よい香りを出してくれます。こんないい香りで天敵を追い払えるの?と思うかもしれませんが、人間にとっては良い香りでも、他の天敵となる動物にとっては嫌な匂いであることもあるため、この匂いは自然界においては意味を持っています。
さらに、青りんごの香りを出すのはオオクモヘリカメムシだけではなく、同じくヘリカメムシ科で、マユミやニシキギなどの実の汁を吸うキバラヘリカメムシという種類も似たような香りを出します。一見、地味な色をしていますが、腹側から見ると、腹部が黄色く、美しい種類であることが分かります。
オオクモヘリカメムシは本州から九州にかけて、キバラヘリカメムシは北海道から沖縄まで分布しており、どちらも春から秋まで活動している姿を見ることができ、珍しい種類でもありません。手で触っても危険ではないため、ぜひ捕まえていい香りを堪能してみてください(不安な方はティッシュで包んで香りを楽しみましょう)。
バニラの香りがするカメムシ
次に紹介するのはバニラの香りがするカメムシです。カメムシ目サシガメ科の一種・オオトビサシガメはその茶色い見た目からは中々想像できませんが、ほのかなバニラの香りを放ちます(人によってはバナナの香りと感じる人もいます)。
しかしながら、このオオトビサシガメは先ほどの2種とは異なり、他の昆虫などを捕まえて食べる肉食のカメムシです。そのため、気軽に手で触ってしまうと、刺されてしまうことがあるため、注意が必要です。山地の日当たりの良い樹上などでは見ることができますが、網などで捕まえたら、虫かごなどに入れて、少し刺激を与えながら、香りを出していただくようにしましょう。
甘い香りがするカメムシ
最後に紹介するのは甘い香りがするカメムシですが、これは多くの方が知っている昆虫かと思います。そう、アメンボです。アメンボは漢字で書くと、「水黽」や「水馬」と書かれますが、「飴坊」や「飴棒」とも書かれることもあり、甘い香りを出すことからこのように表現されたとも一説には考えられています。捕まえて、指で持つと、甘い香りを感じることもあります。
アメンボは飛ぶことができ、雨で一時的にできた水たまりなどでも簡単に見ることが出来ます。動きが素早く、手で捕まえるのはかなり難しいです。そのため、タモ網や大きめの金魚網を用意し、水面にいるアメンボを素早く捕まえるようにしましょう。種類によって出す匂いも異なるので、ぜひいろいろな種類を捕まえてみてください。
さて、今回はいい香りのするカメムシに着目してきましたが、カメムシの仲間は世界から4万種以上が知られており、いい香りのする種類から嫌な匂いの種類、ほとんど無臭の種類までが存在しています。これらの匂いは天敵から身を守るための他に、種類によっては仲間とのコミュニケーションなどの役割も果たしていると考えられています。臭い種類もずっと嗅いでいると、愛おしくなってくるので、いろいろな匂いにチャレンジしてみてくださいね。
昆虫ハンター・牧田習
博士(農学)。1996年、兵庫県宝塚市出身。2020年に北海道大学理学部を卒業。同年、東京大学大学院農学生命科学研究科に入学し、2025年3月に同大学院博士課程を修了。昆虫採集のために14ヵ国を訪れ、9種の新種を発見している。「ダーウィンが来た!」(NHK)「アナザースカイ」(NTV)などに出演。現在は「趣味の園芸 やさいの時間 里山菜園 有機のチカラ」(NHK)、「猫のひたいほどワイド」(テレビ神奈川)にレギュラー出演中。昆虫をテーマにしたイベントにも多数出演している。
著書:「昆虫博士・牧田習の虫とり完全攻略本」(小学館)、「昆虫ハンター・牧田習のオドロキ!!昆虫雑学99」(KADOKAWA)、「昆虫ハンター・牧田習と親子で見つけるにほんの昆虫たち」(日東書院本社)、「春夏秋冬いつでも楽しめる昆虫探し」(PARCO出版)好評発売中。Instagram・Xともに@shu1014my
書籍情報
『昆虫博士・牧田習の虫とり完全攻略本』
著者:牧田 習
定価:1,210円(本体1,100円+税)
体裁:新書判 / 128ページ / 4C刷
発行:小学館
発売日:2025年7月4日
ISBN:9784092274433
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文/牧田習







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