土屋アンナさんの母で、モデル事務所代表の土屋眞弓さんが1年半の闘病の末、2025年12月12日に亡くなった。膵臓がんのステージIVだった土屋さんは、自身の半生と人生観を振り返る著書『人生あれか、これか』を遺した。
その本作りに携わった編集者が、土屋眞弓さんとの想い出を記す。
2025年11月の終わり、延命治療をしないことに決めた眞弓さんは「家に帰りたい」と娘の土屋アンナさんに頼み、医師に相談した上で退院、住み慣れた家へと戻った。
アンナさんたち家族はそれからずっと眞弓さんに付き添っていたが、2025年12月12日の朝、ちょっと目を離した間にアンナさんの長男である孫の澄海さんに看取られて旅立った。眠るような、とても穏やかな最期だったという。
遺影の眞弓さんは着物姿で、お酒を召し上がってちょっとほろ酔いのところだという柔らかな表情をなさっていた。その姿を拝見し、私は果たせなかった眞弓さんとの三つの約束を思い出していた。
果たせなかった三つの約束
一つ目は、自慢だという豊かな黒髪を見せていただけなかったこと。遺影の眞弓さんは美しく結い上げた髪型で、いつも「白髪が本当にないの」とおっしゃっていた通りの艷やかな黒髪だった。
取材のときに「見せたかったな」と抗がん剤の影響で短くなってしまった髪を撫でていたので、「何言ってるんですか。お元気になったら見せていただきますよ」と返したら、ちょっとビックリした顔をして「そうね」と笑ってくださったのを思い出す。
二つ目は、作るのが得意だというカクテル「モヒート」をご馳走していただけなかったこと。「たくさんライムを絞るのが大変だから、それを手伝ってくれるならいつでも作るわよ」と言ってくださったことを思い出し、私は缶のモヒートを持参、お供えして献杯をした。
そして三つ目は、完治したら『人生あれか、これか』の続編となる『人生、あれからこうなった』を出したいとおっしゃっていたこと。「そのときはお願いね!」と笑ってらしたが、これも叶うことはなかった。
そんな眞弓さんは、膵臓がんになったことを「ラッキーだった」とよく話していた。
「余命を告知された時に先生と話してたのが、一年から一年半という時間があるのがありがたいって言ったわけ。だって蓋開けたらもうあと一ヶ月ですと言われちゃう人だっているわけでしょ? だけど私にはそれだけの時間がある。あっという間かもしれないけど、もしかしたら明日死んでしまうかもしれないし、人生っていつ何が起きるかわからないわけだから。そう考えると、私はラッキーだと思うって言ったの。まだやれることがあるから。そのためにも、負けてられないのよ」
“ラッキー”という言葉を聞いて、私が「もし自分がその状況になったら……ラッキーと言えるかな?」と漏らすと、眞弓さんは厳しい表情で私をじっと見つめ、「思い出して、言って」と声をかけてくださった。何事にも揺るがない強い心に、逆にこちらが励まされてしまった。
「おかしいぞ」と思ったことはすぐに言い、周りと同じであることを良しとせず、自分が決めた我が道を行く人──そんな眞弓さんが遺した『人生あれか、これか』、ぜひご一読ください。
眞弓さん、本当にありがとうございました。
出逢いに感謝。

文・成田全(ナリタタモツ)
書籍情報
2025年6月1日放送の『おしゃれクリップ』(日本テレビ系)でも話題となった、モデル・歌手である土屋アンナさんの母・土屋眞弓さん。優しく強いその生き方と、これまでの波乱万丈の人生について綴った書籍『人生、あれかこれか』。あとがきにかえて、娘・アンナさんのロングインタビューも掲載しています。

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『人生、あれかこれか』
著者:土屋眞弓
定価:1,650円(税込)
体裁:四六判 / 192ページ / 1C刷
発行:小学館
発売日:2025年5月23日
ISBN:9784093898065
https://www.shogakukan.co.jp/books/09389806
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