ボンボンドロップ、ウォーターイン、カプセルポップ…これらのキーワードから、すぐに「シール交換」ブームを連想できる読者はどれぐらいいるだろうか?
リアルなアナログ体験が示す価値
昨年頃から社会現象になるほど、Z世代を中心に大流行している「シール交換」。平成女子を熱狂させたシール集めが再びブームとなり、売り上げも急増。突然の平成レトロは今や若者世代だけでなく、親子や夫婦間にも拡まっている。
ここにきて思う。今さら知った「シール交換ブーム」に30~50代の我々@DIME男子が参入していいものなのか?
ブームへの後乗りという恥は素直に受け止める。しかしそれでも頭のどこかでかすかに気になるシール交換への憧れ。このモヤモヤを払拭すべく、今回、シールマニアを直撃した。
SNS上で新作シール情報などを発信しているインスタグラマーで、小学館から「大人かわいいシールのハンドブック」を出版しているシール大臣さん。昨今のシール人気の理由や現状、これから始めようとしている大人におすすめのシールの楽しみ方を聞いた。
――シールにハマったきっかけから教えてください
「子どもの頃からシールが好きで、小学生の頃にはクラスの中でシール交換がちょっとしたブームになっていました。お小遣いで買える範囲のものを少しずつ集めて、友だちと見せ合ったり交換したりする時間がとても楽しく、シール帳を眺めるのが日常の楽しみだったのをよく覚えています」
「中学・高校の頃は一旦離れていたんですが、社会人になってから何気なく立ち寄った文具売り場でシールを目にし、「今のシールってかわいい!」と驚いたんです。デザインの幅や素材感が格段に広がっていて、大人の感性でも十分に楽しめるものだと感じました」
「それをきっかけに最新のアイテムだけでなく昔懐かしいシールも集めるようになり、今では単に貼るためのものではなく、コレクションとして眺めたり、自分なりの世界観を組み立てたりする、ひとつの趣味として楽しんでいます」
そんなシール大臣さん、これまで収集したシールの数は2万点以上。
中には、こすって貼るタイプの「転写シール」、マンガ雑誌の付録シール、そして子どもの頃に販売されていた貴重な「タイルシール」や「おはじきシール」などのコレクションも。
「おはじきシールなどは復刻版と違って当時の色味や印刷の雰囲気があり、特に大切にしています」(シール大臣さん)
我々にとっては昨年突如降って湧いた感のあるシール交換ブームだが、シール大臣さんはいつ頃からシールブームを肌で感じていたのか?
「特に爆発的な人気を感じたのは2025年9月~10月頃です。それまでは売り場でゆっくり選ぶことができましたが、突然空っぽになっているのを見て驚きました。以来、開店前に並んだり複数店舗を回るといった行動も目立つように。ちょうどクリスマス時期と重なったことも争奪戦が激しくなった要因のひとつだと思います」
「ただ、今のブームは突然生まれたものではなく、年単位で小さな盛り上がりを繰り返しながら大きくなってきたものだと思います。懐かしいタイルシールの再登場や平成キャラの復刻とグッズ展開、ドラマ『ブラッシュアップライフ』(2023年)でシール交換の場面が描かれたことなど、さまざまな出来事が積み重なって今につながっている印象です」
――人気再燃の理由は何だと思われますか?
「いくつかありますが、大きいのはシール交換やシール帳を通して人とのコミュニケーションを楽しむ人が増えていることです。完成したページを見せ合ったり「そのシールかわいいね」と声をかけ合ったりとシールは自然に会話が生まれるツールでもあります」
「SNSでの共有だけでなく、リアルな場で気持ちをやり取りできる点が今の時代に心地よく受け止められているのではないでしょうか。その上でシールは価格面・作業面ともに始めやすいというハードルの低さも大きな魅力です」
「また、デジタル疲れの反動として「手で触れる」「実物を並べる」といったアナログ体験に価値を見出す人が増えていることも背景として大きいと感じています」
完売必至!令和を席巻する人気シール6選
では、今流行りのシール交換で人気のシールとはどんなものなのか?ビジネスパーソンでもおさえておきたいトレンドを教えていただいた。
【ボンボンドロップシール】
ぷっくりした立体感と透明感が特徴で、見た目のインパクトが強く、SNS映えしやすい点が人気です。
【おしりシール】
ぷにぷにしたパーツが付いたユニークなシールで、思わず触ってしまう面白さがあります。遊び心が評価されています。
【ウォーターインシール】
中に液体やパーツが入っていて揺れる構造が楽しいシールです。大きく、存在感のあるものが多いのでシール帳に貼ってあると目立ちます。
「そのほか、おはじきシール、タイルシール、ジュエリー付きシールなども人気です。これらは懐かしさと新しさの両方を感じられる点が支持されていると思います。」(シール大臣さん)
――これらのシールは昔からあったのでしょうか?
「ボンボンドロップシールは2024年春に登場した比較的新しいシールで「令和のシール」と言える存在です。(※ちなみにこれはジャンル名ではなく商品名)ぷっくりしたシールは昔からありましたが、デコパーツのような立体感とドロップキャンディのような透明感を兼ね備えたものは新鮮な印象です」
「一方でウォーターインシールは以前から存在しており、20~30代にとっては懐かしく、現代の子どもたちにとっては新鮮に映るため幅広い世代に受け入れられているのではないでしょうか」
さらに、進化したイマドキのシールもあるという。特に話題になっているのが「ボンボンドロップシール ミニ」。
「ボンボンドロップシールの中でも特に人気の高いキャラクターシリーズが、ミニサイズで登場したことでファンの間で大きな注目を集めています。昨年末にはディズニー柄やスヌーピー柄、年明けからはサンリオ柄が発売され、発売情報が出るたびにSNS上で話題となり、店頭では争奪戦になるほどの反響がありました」
「また、カミオジャパンの「カプセルポップシール」も印象的です。ガチャガチャのカプセルを思わせる半球体のデザインで中にぷっくりとしたパーツが入っており、シールというより“ミニチュア雑貨”に近い感覚があります。見た目のインパクトが強く、「貼る前にまず眺めたい」「誰かに見せたくなる」シールとして支持を集めています」
また、シール大臣さんがおすすめするマインドウェイブの「キャラクターミニチュアステッカー」は、平成ど真ん中の懐かしいキャラクターが特徴。
「当時実際に販売されていたアイテムをモチーフにしたものもあり、新しさだけでなく「懐かしさ」や「思い出」を刺激するシールが昨今のブームの中で確かな存在感を放っていると感じます」
シール交換は価値をすり合わせる過程そのものがコミュニケーション
昨年の新語・流行語大賞にノミネートされた「平成女児」。2000年代前半に小学生だった女の子たちのカルチャーが今再び注目されているわけだが、その一つこそ「シール帳」「シール交換」と言ってもいいだろう。
先に紹介した「ボンボンドロップシール」。文具メーカー「クーリア」では、大人気ゆえ品薄状態が続いているとか。
皆さんも、こんな光景を目にしたことがあるかもしれない。
バッグからさりげなく手帳を取り出すと、色鮮やかなシールの百花繚乱に「カワイイ!」という声があがり、幸せで楽しそうな雰囲気が生まれていく瞬間を。
あの輪に入りたい。でも入れない。
@DIME読者世代も今から「シール交換」界隈に突入して行ってもいいのだろうか?
大人の男性向けのシール帳の楽しみ方、シール交換のルールなどを教えていただきたいところ。
「大人の男性がシール帳を楽しむ場合、「ただ貼る」よりも編集やキュレーションに近い感覚で向き合うと面白さが広がると思います」
「たとえば、テーマやルールを自分なりに設定して世界観を統一したり、あえて余白を残したりと一冊の中で構成を考えることで“作品”としての楽しみ方が生まれます。雑誌や展示を作るような感覚に近いかもしれません」
「シール交換についても、単なる物々交換というより相手の好みや持っているシールを見ながらバランスを取る、ちょっとした交渉に近い側面があります。ただし大切なのは、勝ち負けではなく「お互いが納得できたか」「楽しいやり取りだったか」という点です。価値をすり合わせる過程そのものがコミュニケーションになっていて、そこにシール交換ならではの面白さがあると感じています」
すごく勉強になる。
ならば、大人の男性におすすめのシールとは何なのか?
シール大臣さんが挙げてくれたのは、カミオジャパンの 「大人の図鑑シール」 。
「図鑑のようなイラストに説明文が添えられており、ちょっとした知識やユーモアが楽しめます。種類が多く、コレクター欲を刺激する点も魅力です」
シール交換は、デジタル時代に現れた人間味を実感できるアナログ的コミュニケーションツールだ。この先、シール交換は『大人の趣味』として認識されていくのかもしれない。
「これまで「子どもの遊び」という印象が強かったですが、切手やミニカー、レコードなどと同じようにデザインや質感、シリーズ性を楽しむ“収集趣味”としても認識されて、「大人が楽しんでもよいもの」として自然に受け入れられていってほしいと感じています」
「短期的には今のような過熱状態は商品供給が安定すれば一度落ち着くと思いますが、ブームが終わるわけではなく、定着する可能性は高いと感じています。ボンボンドロップシールのように誰かに語りたくなるようなシールが続いていくことでブームの熱は緩やかに保たれていくのではないでしょうか」
最後に改めて、「シール交換」の魅力を伺った。
「無心で1枚ずつ貼り、シール帳の1ページを完成させる達成感が得られるほか、貼り方次第で「自分で作った」という感覚も味わえます。こうした体験が創作欲をほどよく満たしてくれるところですね」
取材協力
シール大臣さん
Instagram @sealdaijin0719
文/太田ポーシャ







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