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会社帰りにジム感覚で!社会人に広がる「手ぶらで通える絵画教室」が人気の理由

2026.01.10

「アート思考」という言葉が流行した2017年頃から、アートに関心を持つ社会人が増えたように思える。

それを具体的に示す統計データは見当たらないものの、国内アート市場の総売上高は顕著な伸びを示し、2022年にオープンした大阪中之島美術館は3年余りで来場者数が200万人を超えるなど、ホットなトピックに事欠かない。

もっと草の根レベルで見れば、絵画教室がじわじわと人気。オンライン環境の普及に牽引され、家にいても学べる敷居の低さが一要因としてあるが、通いの教室を選ぶ人も少なくない。

そんななか、今注目を浴びているのが絵画教室「テブレゴ」。仕事帰りや出張先で、ジムに通うように絵を学べるというコンセプトで多くの社会人が通う。

会社帰りにスーツ姿で通う男性も

それは、どのような教室なのだろうか。運営する(株)TAJIROの代表取締役、三好亜海(つぐみ)さんは次のように説明する。

「もともとアトリエレゴットという絵画教室を35年以上続けてきました。教える対象は子供から大人まで。芸術高校・大学受験生クラスなども設けています。それとは別にテブレゴを京都祇園でスタートしたのが2018年のことです。

ここに通われる方で想定したのは会社員です。昔は絵が好きだったけれど社会人になって、日々仕事と生活に追われるうちに、絵を描く喜びから遠ざかってしまった。でも、何かのきっかけでその欲求がよみがえり、学び直したいという方々たちですね。

『本当に毎日会社勤めしている人が来るかな』と思いましたが、予想外にたくさんの方が 来られました。生徒さんのうち女性が7割ぐらいですが、スーツ姿の男性も少なくありません。これは需要があると確信し、大阪の梅田にも教室を作りました」

その後、コロナ禍があったが意外にも影響は少なく、東京にも進出。現時点で、都内だけで池袋校、新宿校など8校を数えるほどになっている。

手ぶらで通えて入退室も自由

テブレゴは、教育システムもユニーク。

例えば「ビギナー20回コース」といったカリキュラムは、まったくない。月謝6930円で月2回という緩やかなペースで通い、「火曜日コース」というふうに曜日は決めておく。

時間は18:30~21:00といった枠はあるものの入退室は自由。つまり、残業で遅くなったりして19時台に入ってもいいし、21時より前に帰ってもかまわない。

振替受講も融通がきき、池袋校で受講していたのが、出張で欠席してしまい、出張先の大阪校で受講するのも可能。

もう1つの特徴は、画材が教室内に常備されている点だ。画材は、水彩、アクリル、色鉛筆、オイルパステルなど様々。比較的高価なものもあるが、どれを使ってもよく、まさに手ぶらで通うことができる。

教室には実績豊富な講師が常駐し、生徒のニーズに応じて適確な指導を行うかたちになっている。

こうした、他校にはない圧倒的なフレキシブルさが人気の秘密。ほとんどの教室は定員が埋まり、1月の京都駅前校を皮切りに2026年も教室を増やすつもりだと、三好さんは語る。

絵を学ぶ目的もそれぞれ

三好さんの話を聞いて気になったのが、教室内での生徒同士の実力差。それがマイナスに働くことはないだろうか。

「その心配はまったくありません。通常の絵画教室ですと、花を挿した花瓶といったテーマを与えられ、皆がそれを描くといった方式ですが、テブレゴにはそれがありません。入退室も自由ですから、何かを一斉に描くということはないのです。

同じ教室内で、技術を極めたいという方もいらっしゃれば、趣味の絵画を楽しみたいという方もいらっしゃったり、癒しの目的で描きにきたり、業務の一環で描くスキルを身に付けたいという方もいます。絵の実力もまちまちです。

先生の指導も、初心者さんが『何を描いていいか分からない』と迷った場合、テーマ設定をして、『水彩でまずこれを描いてみましょう』といったアドバイスはしますが、以降は生徒さんの自由。求めに応じて、その都度先生がついていくかたちです」

そこまでフリーダムながら、たしかな画力がつくと評判は高い。11月末には、京都市京セラ美術館の一室で、生徒たちの作品の展覧会が開催されるほど。

京都市京セラ美術館で開催された展覧会

心の健康のために絵筆を握る

それにしてもなぜ今、多くの社会人が、絵を描くという行為に惹かれるのだろうか。この一見難しい問いについて、三好さんは次のように答えた。

「コロナ禍の時期は、アートは不要不急の最たるものだから、教室が存続できるか危ぶんだのですね。

ですが、まったく意外にも、ぐっと生徒さんが増えたのです。仕事に追われて、子育てに追われて、コロナ禍という不安もあるなか、心の健康に危機感を持つ人が増えました。それで癒しの糧になるかと、吸い寄せられるようにお越しになったのです。

それで絵を描くことは、医療とは別のやり方で、大人の心の健康改善に役立つのかもしれないと考えました。

それから、今後は企業にもアプローチし、従業員のメンタルヘルスの側面から、絵画教育の導入を働きかけていきたいですね。アート思考といった能力開発にもつながるし、メリットは大きいと思います」

・絵画教室「テブレゴ」公式サイト:https://tebulego.jp/

取材・文/鈴木拓也

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