端末やソフトウェアのデザイン性の高さや、コミュニティを重視したマーケティング活動が注目を集めているNothing Technology。昨年は、楽天モバイルとの提携も決まり、スマホ市場でも存在感を増している。そんなNothingから、初めての1台に最適なエントリーモデルが登場する。それが「Nothing Phone(3a)Lite」だ。
同社は、サブブランドとして「CMF」を展開しており、そちらではエントリーモデルを投入していたが、メインブランドのNothingとしては初めての試み。価格は、同社直販で4万円台前半、楽天モバイル経由で購入すると3万円台前半まで下がり、気軽に購入することができる。
エントリーモデルと言いつつも、チップセットには25年に発売された「CMF Phone 2 Pro」と同じ「Dimensity 7300 Pro 5G」を搭載するなど、非力なモデルではない。デザインも、Nothingらしいシースルーの背面が印象的と言える。ただ、この価格ゆえに長く使えるのか心配する向きもありそうだ。発売に先立ち、実機をテストすることができたので、そのインプレッションをお届けする。
エントリー機ながら安っぽさゼロ、Nothingらしさも
エントリーモデルと位置づけられている「Nothing Phone(3a)Lite」だが、そのデザインはNothingそのもの。透明な背面カバーによってスマホの内部が一部見えるようになっており、立体感がある仕上がりだ。内部と言っても、あえて見えるようにきちんとカバーがかぶせてあり、整ったデザインに仕上がっている。エントリー機で背面カバーに硬質感のあるガラスが使われているのも珍しい。
Liteのつかない「Nothing Phone(3a)」までのモデルは、背面に埋め込まれたLEDが光る「Glyphインターフェイス」が特徴だったが、同社はハイエンドモデルの「Nothing Phone(3)」でデザインテイストを一新し、Glyphを背面に埋め込まれた小型のディスプレイに集約した。「Nothing Phone(3a)Lite」も、「Nothing Phone(3)」からの新しいデザインが踏襲されている。
ただし、「Nothing Phone(3)」の「Glyphマトリックス」はなく、背面はよりシンプルな仕上がりになっている。LEDをなくした代わりのディスプレイもなくなってしまうと、普通のスマホと同じになってしまうのでは……という疑問もわいてくるが、「Nothing Phone(3a)Lite」には、それらを代替する機能として「Glyphライト」が搭載されている。
背面を見ると分かるように、カメラのフラッシュに使うLEDとは別に、本体下部にもう1つのLEDが搭載されており、ここが光ることによって通知や着信をお知らせする。ディスプレイを下にして机やテーブルに置いた際に、新着があることをさりげなく伝える手段は残されているというわけだ。LEDライトであれば、カメラのそれと統合してもいいのではと思うところはあるものの、こうした細かな工夫で“Nothingらしさ”が出ている印象を受けた。
背面に搭載されたカメラの配置も、「Nothing Phone(3)」を踏襲している。この価格帯ながら、トリプルカメラを搭載。メインカメラは5000万画素で、切り出しを行うので2倍ズームにも対応する。料理など、手元に置いたものの写真を撮る際に影が写らないよう少し離れた位置から撮影しても、劣化が少ない。超広角カメラは800万画素で性能は落ちるものの、ダイナミックに風景を切り取りたいときに便利だ。
それぞれ1倍、2倍で撮った写真。離れた場所から撮影しても、劣化がほぼないため、影が写らないようにすることが可能だ
割り切りはあるが処理能力も高く、使い勝手はいい
とは言え、あくまでエントリー機。ハイエンドモデルの「Nothing Phone(3)」とは違い、割り切っている部分もある。先に挙げた超広角カメラの画素数に加え、望遠カメラではなく、200万画素のマクロカメラが搭載されているのはその代表例と言える。このマクロカメラを使うと、4cmまで被写体に寄って撮ることが可能。草木やパッケージなどに書かれた細かい文字を撮影する際には役に立つ。
マクロモードにすると4cmまで寄ることができる。パッケージや草木を撮るのに適したモードだ
ただ、実際に使ってみると、あまり画質は高くない。200万画素ということもあり、解像度の高いディスプレイに表示するとどうしてもボンヤリとしてしまう。確かに接写はできているものの、解像感が低いため、あまりキレイに見えないのは少々残念だ。こうした点は、エントリーモデルならではのトレードオフと言える。
一方で、エントリー機とは思えないほどに処理能力は高い。チップセットはミッドレンジモデルと同レベルで、スクロールなどの処理にもたつくことはなかった。ブラウジングなどもスムーズ。3万円台から購入できるスマホとしては、十二分に高い性能だと評価できる。
ディスプレイにも有機ELが採用されており、リフレッシュレートは最大120Hz。上記の滑らかさは、チップセットだけでなく、こうしたスペックも影響している。解像度も十分。逆に、マクロカメラの画素数が追いついていないほど。この価格帯のスマホとしては、基本性能は十分な高さと言える。
先に挙げた独自機能のGlyphライトは、コストを抑えた部分と言える。「Nothing Phone(3a)」まで搭載されていたLEDは全体が発光するため、すぐに気づくことができ、パターンも認識しやすかったが、Glyphライトはあくまで点滅するだけ。どことなく、フィーチャーフォン(ガラケー)時代の着信用ライトを思い起こさせる。
ボディが光ったり、背面に解像度の低いディスプレイが載っていたりする他モデルと比べると、やはり個性は薄めだ。とは言え、「Nothing Phone(3a)Lite」は、エントリーモデル。そのぶん、クセを抑えていると捉えることもできる。目立ちすぎないぶん、より幅広いユーザーに訴求できそうだとも感じた。
課題もあるが便利なEssential Spaceにも対応、価格以上のお値打ち端末
「Nothing Phone(3a)」以降のモデルに搭載される同社の共通機能に、AIを用いた「Essential Space」がある。エントリーモデルながら、この機種も対応しており、Essential Spaceにスクリーンショットや音声をワンタッチで保存するための「Essential Key」も合わせて搭載されている。
この機能、少々説明が難しいが、後から思い出したいことを記録、保存しておくことができるスペースで、その中身をAIが解析し、提案をしてくれるというものだ。AIの分析が非常に優秀で、メールやWebサイト、写真などで今後、行きたいイベントや予定などを登録しておくだけで、自動的にタスクリストを作成してくれる。
例えば、筆者の場合、参加したい発表会の案内が届いたら、そのメールを開いた状態でEssential Keyをクリックすると、スクリーンショットがEssential Spaceに保存される。その中身をAIが解析して、メール本文内の時間に基づき、タスクを作成する。また、その内容に従って行動を提案してくれるといったプラスαの機能もある。
こうした案内がメールではなくはがきなどで届いたときには、カメラを開いた状態でそれを写してEssential Keyを押せばいい。また、口頭で約束したような時には、キーを長押しして音声を保存することも可能だ。標準で搭載されているGoogleカレンダーとは別になるため、ある程度用途を定めて使い分けるようにするといいだろう。
ただし、残念ながらEssential Spaceは端末内で完結してしまうため、他のNothing PhoneやPCなどとの同期ができない。そのため、重要なスケジュールを登録してしまうと、大切な用事を見逃してしまうおそれもあり、少々使い勝手が悪い。現時点では、どちらかと言えば、Googleカレンダーに登録するまでもない、ちょっとした要件を入力しておくのに向いた機能と言えそうだ。
成長途上の機能のため、このような難点はあるが、エントリーモデルである「Nothing Phone(3a)Lite」でも利用できるのはうれしいポイントと言える。価格ゆえにそぎ落とされている部分はあるが、このクラスの端末が3万円台前半で購入できるのはまさに破格。エントリーモデルを再定義した1台だと評価したい。
文/石野純也







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