モバイルバッテリーから電気自動車、スマートフォンまで多様な機器を支える蓄電池は、現代生活の基盤となっている。これらの機器の根幹パーツがリチウムイオン電池だ。が、経年劣化や衝撃に伴う発火リスクに加え、原料の希少性や採掘に伴う環境負荷など課題は多い。
そこで注目されているのがナトリウムイオン電池だ。原料となるナトリウムは海水に豊富に含まれる身近な資源で、精製時の環境負荷も小さい。他にも複数の利点があると、エレコム商品開発部の田邉明寛さんは解説する。
今注目の「ナトリウムイオン電池」とは?
#モバイルバッテリー #サステナブルエネルギー
「最大の特徴は安全性です。材料特性により温度が急激に上がりにくく、リチウムイオン電池のような発火リスクが低減されます」
使用可能な温度範囲や使用可能回数の多さも強みだ。
「リチウムイオン電池の使用可能温度は0〜40℃ですが、ナトリウムイオン電池は-35〜50℃です。また満充電から0%まで使用できる回数を示すサイクル寿命は約5000回と、一般的なリチウムイオン電池の約10倍に相当します」
ナトリウムイオン電池の実用化では、中国が車載電池の量産を2025年末に開始するなど、一歩リードしている。そうした中、25年3月にはエレコムが世界初となるモバイルバッテリーを発売。その動きは確実に広がりつつある。一方で、課題も残されている。
「リチウムイオン電池に比べて大型で重くなる傾向があります。また量産体制が確立されておらず、価格が高いのが現状です」
量産化の鍵を握るのはEV車や家庭用蓄電池への採用だと田邉さんはにらむ。
「今後5年ほどで安定性の高い全固体電池がEVに搭載されていくと考えています。それまでの間に課題を克服しつつ、リチウムイオン電池にはない特長に注目が集まれば、普及が一気に進むはずです」
次世代バッテリーの本命となる可能性を秘めるナトリウムイオン電池。バッテリー業界のゲームチェンジャーとなれるか、今後の動向から目が離せない。
ナトリウムイオン電池の仕組み

基本原理はリチウムイオン電池と同じで、充放電時にイオンが電極間を移動し、その過程で電子が外部回路を流れることでエネルギーを出し入れする。正極や負極、電解液にも地球上に豊富な資源を使うことができ、製造工程もリチウムイオン電池と高い互換性がある。

世界初!ナトリウムイオン電池採用モバイルバッテリー

エレコム『DE-C55L-9000』
オープン価格(実勢価格9980円)
9000mAhの容量に45W出力・30W入力と、性能は一般的なリチウムイオンバッテリーと同等。飛行機客室への持ち込みも可能だ。
【DIMEの読み】
リチウムイオン電池は技術革新で小型化・大容量化を実現してきた。その歴史を踏まえれば、ナトリウムイオン電池にも同様の進化が期待できる。安全で持続的な技術として、その将来性は大きい。
文/桑元康平=すいのこ 編集/千葉康永
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