つい食べすぎてしまったり、だらだら食べをしてしまったりするお正月。それが醍醐味だ……というところもあるかもしれない。
しかし、多くの人が数日後に正月太りを実感し、ショックを受けてダイエットを決意――ということを毎年繰り返しているのではないだろうか。
正月に暴飲暴食をしてしまった人に向けて、ちぐさ内科クリニック覚王山院長の近藤千種医師に、医学的に無理のないリセット法を教えてもらった。
正月太りの原因は「塩分」!?

おせちにお雑煮、お酒やお菓子など、お正月はどうしてもカロリーオーバーをしがちな食生活だ。さらに、休みということで活動量も減り、三が日を過ぎたあたりに「体が重い……」と感じる人も多いだろう。
「正月太りに影響している要因として、まず大きいのが塩分の摂り過ぎです。お正月は味
付けのしっかりしたものを食べる機会が増えます。塩分を摂り過ぎると体内に水分を溜め込みやすくなり、むくみ(浮腫)が起こります。さらに、脂質の多い高カロリーな食事によるカロリー過多、食事回数が増えることによるエネルギー摂取量の増加も重なります。ほか、お正月は『時間になったら食べる』という普段の食事リズムが崩れやすく、そこに運動量の低下が加わることで、消費カロリーも減ってしまいます」
■ 太ったと感じるのは〝むくんだから〟
これらが重なり、「太った」と感じる状態が作られる。
「実際には、体重増加の正体が“脂肪”ではなく、むくみであるケースも少なくありません。ただ、本人としては『太った』と感じます。むくんだ状態が続くと体が重く感じ、活動量が減ってしまい、その結果として本当に太りやすい生活習慣に入ってしまう可能性があります。また、暴飲暴食のあとは胃腸も弱っている状態なので、早めに回復させてあげないと、不調が長引いてしまうこともあります。ですので、できるだけ早くリセットしてあげること
が大切です」
今すぐ試したい暴飲暴食リセット術
暴飲暴食をしてしまった正月明け、どのようにリセットすればよいのだろうか。
■ おすすめはプチファスティング
「一番おすすめなのは、プチファスティングです。暴飲暴食の翌日にもっとも効果的なのは、食べない時間を少し長めに作ること。これは『時間制限食(Time-restricted eating)』と呼ばれ、国際的にも研究が多く、『インスリン感受性の改善』『血糖値の安定』『血圧の低下』などの効果が報告されています」
なぜ「食べない時間」が体にいいのか。
「食事をした直後の体は、インスリンが分泌されて”貯蔵モード”に入っています。つまり、脂肪を溜め込みやすい状態です。一方で、12~16時間ほど食事をとらない時間が続くと、代謝のスイッチが切り替わります。エネルギー源が糖の利用から脂肪の利用へと変わり、胃腸も休まり、体の炎症も落ち着いてきます。さらに、空腹時間が続くことで、サーチュイン遺伝子(SIRT1)と呼ばれる代謝調整に関わるタンパク質が活性化します。これは“長寿遺伝子”とも呼ばれています。『脂肪分解の促進』『血糖値の安定』『ミトコンドリアの活性化』など、代謝を整える方向に働きます」
細胞レベルのリセット「オートファジー」も働きやすくなるという。
「さらに一定時間食べないことで、オートファジーと呼ばれる、細胞内の不要なものを分解・再利用する仕組みも働きやすくなります。簡単に言うと、細胞レベルの掃除とリセットが行われる状態です。これによって、むくみやだるさ、胃腸の重さといった正月特有の不調が改善しやすくなります」
具体的なやり方は、前日の夕食を19時までに終え、翌朝は水分のみで過ごし、10~11時頃に軽めの食事をとる。これで 15~16時間のファスティング になる。
「初めての方には少しハードルが高く感じるかもしれません。その場合は 12~14時間でも十分効果はありますので、無理のない範囲で試してみてください」
そして、塩分をリセットしてむくみを抜く方法も試したい。
「もうひとつ大切なのが、塩分をリセットしてむくみを取ることです。そのためには、水
分をしっかり摂ることが重要です。お正月はアルコールを飲む機会も多いと思いますが、アルコールは代謝の過程で水分を必要とするため、飲酒時は特に意識して水分補給をすることが大切です。水分を控えると、かえってむくみが悪化することもあります。また、バナナやアボカドなど、カリウムを多く含む食品を摂ることで、体内の余分なナトリウムを排出しやすくなります。ただし、腎機能に問題のある方はカリウムの摂取量に注意が必要です」
さらに、入浴や軽い運動で血流を良くすることも、むくみ解消には効果的だ。
■ 胃にやさしいおかゆやうどんでリセット

「もうひとつは、胃に優しい食事に切り替えることです。お正月は濃い味付けや豪華な食事が続きがちなので、おかゆや雑炊、うどん、スープなどにすることで胃腸をしっかり休めてあげられます。ただし、胃に優しいからといって食べすぎるのは禁物です。あくまで適量を意識してください。また、健康を意識するあまり、いきなり玄米や生野菜を大量に摂ると、逆に胃腸に負担がかかることもあります。野菜は温野菜の方がおすすめです」
これらのリセット法を数日続け、体調が戻ってきたら、通常の生活に戻せばよいという。
「あくまで正月の暴飲暴食を是正するための短期間のリセット法です。体が戻ってきたと感じたら、そこまでで十分。ただ、時間を意識した食事は、私自身も日常的に取り入れていますが、続けることで体調面のメリットを感じる方は多いと思います」
極端な断食などを自己判断で行うのは危険だ。正しい知識に基づいたリセット法で、無理のない新年のスタートを切りたい。
近藤千種医師プロフィール
内科学会認定内科医、抗加齢医学会認定専門医。帝京大学医学部を卒業後、総合犬山中央病院、ちくさ病院副院長などを経て2023年10月名古屋市内に「ちぐさ内科クリニック覚王山」を開院。
取材・文/田村菜津季
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