2020年12月16日の夕方、新潟の関越自動車道で未曽有の大雪による大規模の立ち往生が発生したことを覚えているだろうか。
立ち往生したクルマはトラック、乗用車を含め約2100台、その立ち往生はなんと52時間にも及んだのである。2025年2月の北海道や日本海側の大寒波による道路の通行止め、立ち往生の発生も記憶に新しい。
現在では、大雪が予想される場合、3日前に緊急予報発表を行い、インターチェンジの閉鎖も辞さない体制が取られているというが、それでも、大雪でなくてもスリップなどの事故による立ち往生が高速道路、一般道を問わず発生することは予想できる。
万一の立ち往生に備え、車内備品の確認を!
どれだけ雪道に強いとされる4WDのクルマでも、スタッドレスタイヤ&チェーンの準備ができていたとしても、雪道の運転に慣れていても、他車によるスリップ、事故による立ち往生に遭遇、巻き込まれたらどうにもならないのである。
まずは、大前提として、冬季はスタッドレスタイヤの装着に加えて、チェーン規制(高速道路だけでなく、一般道でも)に備え、また脱出用にチェーンを積んでおくべきだ(下の画像は取り付け取り外ししやすい布製チェーン。装着経験があるなら金属製チェーンを推奨)。もちろん、立ち往生に備え、ガソリンは満タンで出発したい(電気自動車は満充電)。
東京に住む筆者がそうしているように、寒冷地、雪国へのドライブの予定がなくても、都会のドカ雪に備え、最低限、コンパクトでサッと装着でき、サッと取り外せる布製チェーンは”保険”の意味でも積んでおきたい。
装着がかんたん!セイワの布製タイヤチェーン「POLAIRE SHOW7」試着インプレッョン
この冬、クルマの足元、大丈夫ですか? 都会に住んでいて、冬タイヤ(スタッドレスタイヤ)に履き替えない人もいるはずです。しかし、ドライブに出発時、晴れや曇り、雨で…
大雪による立ち往生が発生した場合、高速道路、一般道を問わず、ハザードランプを点灯した上で車内にいることが安全ではあるものの、長時間、車内に留まることになれば、低体温症に陥るリスクもある。そこで、万一の立ち往生、大渋滞に備え、車内備品の用意だ。ボルボ(ミネラルウォーター、クッキー、非常用トイレ、カイロ、軍手など約22品目)などの自動車メーカーが用意している車載用の防災バッグも選択肢のひとつ。そのセットの用意がなくても、以下のアイテムを積んでおけば、もしもの際の万一の寒さの中での立ち往生に役立ってくれるはずである(乗車人数を考慮)。
雪の中の立ち往生に備えた車内備品の一例を紹介
1.500mlのミネラルウォーターのペットボトル1人3~5本。
利尿効果のある緑茶などは避ける。
2.貼るカイロ
クルマの暖房を使わずに暖かく過ごすため。
3.毛布、ひざ掛け
クルマの暖房を使わずに暖かく過ごすため。乗員分が必要。
4.そのまま食べられる高カロリー食料
ようかん、栄養食品などがいい。喉が渇くようなお菓子、食料は避けたい。
5.携帯トイレ1人5回分
言うまでもなく、立ち往生が発生したときのトイレ事情の必需品。
6.携帯トイレを使う際に被るポンチョとウェットティッシュ
携帯トイレを車内外で使うにしても、周囲を気にせずトイレを使うための羽織物として重宝する。手の消毒用のウェットティッシュもお忘れなく(立ち往生では水道の手洗いなどできない)。
7.トイレットペーパー、またはティッシュボックス
携帯トイレ使用時には不可欠だろう。
8.スマホ充電ケーブル
外部と連絡するのに不可欠なスマホも、寒さの中ではバッテリーの減りが早まる。スマホの充電に
ができれば安心である。
9.モバイルバッテリー
日本道路交通情報センターやNEXCOなどからの情報が欠かせないが、情報収集にはクルマのラジオ、TV(あれば)、そしてスマホは不可欠。しかし、スマホのバッテリーは低温だと減りが早まる。クルマのバッテリーを温存したいとき、バッテリーが上がってしまったときにはクルマのUSBからスマホを充電できなくなるためモバイルバッテリーを備えておくと安心だ。また、車外に避難しなければならない事態にもモバイルバッテリーが役立つ。
10.スノーブラシ
ウインドーやボディの雪を払うためにあると便利。
11.脱出用ハンマー&シートベルトカッター
万一、車外に出られない事態(クルマが雪に埋もれ、ドアが開かないなど)に遭遇した時でも、これがあれば窓を割り、シートベルトを切って脱出することが可能になる。
12.ゴム引きの軍手とゴム手袋
寒さの中、タイヤチェーンの装着、スコップなどの使用時には軍手は不可欠。防水性能のあるゴム手袋も用意したい。
13.折り畳み式スコップ
積雪によるスタック時に、タイヤの周りの雪を除去するため。
14.長靴
車外で作業するときに履き替える。雪の中でスニーカーを履いていると水気がスニーカーに浸みて、足がびしょびしょになり、足が凍傷になる可能性を回避するため。
15.LEDランタン2個(車内用。電池&USB充電式が万能)
立ち往生は何時間かかるかわからず、夜を超すことも。バッテリーを消耗する車内の照明に頼らず、車内の明かりを取るため。
16.LEDライト(車外用)
夜、車外で作業をしなければならないとき、移動しなければならないときには、遠くを照らせる懐中電灯があると助かる。
17.三角表示板(コンパクトなLEDタイプもあり)
高速道路上の事故や故障などで、やむを得ず車を停止する時には三角表示板(停止表示板)の表示が義務付けられている。
18.生理用品、常備薬、予備のダウンジャケットなど
乗員それぞれの事情に合わせたものも忘れずに積んでおきたい。
いずれにしても、スマホ充電ケーブル、脱出用ハンマー&シートベルトカッター、携帯トイレなどは前席、車内の分かりやすい場所に収納しておくとして、それ以外のアイテムは、どこになにがあるかすぐにわかるように、ひとつにまとめておきたい。
クルマが雪に埋もれたときは?不可欠の行動
ところで、ガソリン車、ディーゼル車で、車内を温めるためにエンジンをかけておく場合は、マフラー付近の除雪をこまめに行い、時々、ウインドーを少し開けて換気を行うことも忘れずに。クルマ(のマフラー)が雪に埋まった状態でエンジンをかけ続けていると、排気ガスが行き場を失い、車内に一酸化炭素が充満。一酸化炭素中毒で命を落とすこともあるのでとくに注意が必要だ。そしてドア付近の除雪も不可欠。ドアが雪に埋もれてしまうと、車外に出られなくなってしまう。
また、立ち往生したのが一般道の場合、早めにコンビニなどで食料などを買い求め、トイレを借りるといい。非常事態のため、時間が経つにつれ、商品が売り切れてしまうからだ。ちなみに雪は口にしないこと。真っ白できれいに見えても、衛生的ではない。冷たい雪を口にすることで体温が奪われるから避けるべきという意味もある。
車内で過ごさざるを得ないときはエコノミークラス症候群に注意
長時間、車内にいなくてはならない状況下では、エコノミークラス症候群に注意。長時間、同じ姿勢で座っていると下半身の血流が滞り、血栓ができ、失神、最悪の場合は死に至ることもある。
シートをリクライニングする、フラットシートアレンジができればフラットにして横になる、足の指のグーパー運動をする、ふくらはぎをもむ、車外に出られるのなら(周囲のクルマ、交通、路面に注意して)つま先立ち運動を行うなどの対策をしたい。
ハイブリッド、PHEVのクルマでAC100V/1500Wコンセントが付いていれば、湯沸かしポットなどを積んでおくことで、暖かい飲み物にありつくことも可能となる。
車内で自然な姿勢でトイレができるサンコーの「簡易トイレコンパクト」
19.サンコー「簡易トイレコンパクト」
携帯トイレは1年中、ロングドライブに欠かせない必需品だが、筒状の携帯トイレは「大」には使えず、「小」でも使い方にコツが必要。もっと自然な姿勢で、車内で非常用トイレを使いたいなら、サンコーから発売されている「簡易トイレコンパクト」がお薦めだ。
簡易的な筒状の非常用トイレではなく、”座席に置いて使える”、薄い箱型で本体が便座のようになるコンパクトタイプの簡易トイレだ。
商品としては本体1個、汚物袋5枚、飛び散り防止シート5枚、凝固剤5個、ポンチョ1枚がセットされ、使い方としては、車内に置いてもジャマにならないパッケージサイズ30.6×25.5×9.2cm、741gの段ボール製の箱本体からセット用品を取り出し、本体を組み立て、飛び散り防止シートを敷き、本体に汚物袋をかぶせ、U字型の便座状になっている本体に座るだけ。積んでおくのにジャマにならないパッケージサイズも嬉しいポイントだ。
電気自動車が立ち往生してしまったときは?
ここまでは、主にガソリン車、ディーゼル車についての対策を紹介してきたが、電気自動車だと対策はちょっと異なる。ロングドライブの場合、まず、積雪が予想されなくても満充電で出発し、こまめに途中充電することが大前提。その上で、立ち往生してしまったときは、電気自動車のバッテリーの消費電力が大きいエアコン(ヒーター)の使用を避けたい(JAFの実験ではオートエアコン25度設定で、2時間半でバッテリー残量は70%から10%以下に)。その代わりに、アクセサリーソケットまたはUSBソケット対応の電気毛布を使えば、JAFの実験では、電気毛布を5時間使用し続けてもバッテリー残量は70%から50%までしか減らなかったというデータがある(使用する電気毛布の消費電力による)。シートヒーターの使用もバッテリーの消費電力を抑えつつ、暖をとれる方法だ。もちろん、クルマのバッテリーに頼らず暖がとれる毛布、カイロ、予備の防寒具の用意も不可欠だろう。
冬のドライブでは、高速道路、一般道を問わず、突然の立ち往生にいつ、どこで自身が遭遇するか分からない。寒さとの戦いにもなり、長期戦も予想されるため、しっかりと準備して出発したい。また、移動は可能な限り、視界が良く、夜より気温が高めの日中に行うべきだろう。
そして、雪が降っていないときにドライブに出発しても、例えば帰路、あるいは宿に滞在し、翌朝、起きてみるとあたり一面、銀世界・・・という、予期しない突然の降雪、大雪に遭遇することもありうる。出発前の天気予報の確認(出発地、経由地、目的地)、大雪警報の情報確認も不可欠だ。スキー、スノボを楽しむために雪国に向かうのであれば、なおさらである。繰り返しになるが、どれだけ雪道に強いクルマでも、スタッドレスタイヤ&チェーンの準備ができていたとしても、雪道の運転に慣れていても、他車によるスリップ、事故による立ち往生に遭遇、巻き込まれたらどうにもならないのである。
文/青山尚暉







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