「定価2万円のところ、今なら9800円」のように、実際の販売価格よりも高い価格を併記して表示することは「二重価格表示」と呼ばれています。
二重価格表示は、消費者に対して「安い」という印象を与えることを目的としたものです。実態に沿っていれば問題ないものの、ほとんど販売実績のない価格を併記するなど、不当に消費者を惑わすような二重価格表示も少なくありません。
消費者庁のガイドラインでは、二重価格表示について「8週間ルール」が示されています。二重価格表示をしようとする事業者は、8週間ルールを踏まえてその表示が適切かどうかを検討する必要があります。
1. 二重価格表示とは?
「二重価格表示」とは、実際の販売価格とそれよりも高い価格を併記する表示方法です。たとえば「定価2万円のところ、今なら9800円」と表記するようなケースが二重価格表示に当たります。
二重価格表示は、一般消費者に対して販売価格が安いとの印象を与えます。それが実態に沿っていれば問題ありませんが、販売価格の安さを強調するために用いられた比較対照価格(定価など)の表示が不当であるケースも散見されます。
不当な二重価格表示を見た一般消費者は、本当はお得でも何でもないのに、その商品を「安い」と勘違いして購入するかもしれません。このような事態は、事業者が消費者を搾取するものであり、好ましくないといえます。
景品表示法では、不当な二重価格表示を「有利誤認表示」として禁止しています。有利誤認表示に当たる二重価格表示をした事業者は、消費者庁長官による措置命令や課徴金納付命令、刑事罰の対象となります。
2. 二重価格表示に関する「8週間ルール」
二重価格表示としてよく見られるパターンの一つは、過去の販売価格と現在の販売価格を併記して比較するというものです。
たとえば「定価2万円のところ、今なら9800円」と表示されている場合、それを見た人は「普段は2万円で販売しているが、9800円まで割引されている」と認識するのが通常でしょう。
このような一般消費者が通常持つと思われる認識が実態と異なる場合は、二重価格表示に問題があり、有利誤認表示に当たると考えられます。
過去の販売価格と現在の販売価格を併記する二重価格表示については、消費者庁のガイドラインによって「8週間ルール」が示されています。
8週間ルールによれば、以下のいずれかに該当する場合は、比較対照価格とする過去の販売価格がいつの時点でどの程度の期間用いられていたかなどを正確に表示しない限り、不当表示に該当するおそれがあるとされています。
(1)セール開始時から遡って8週間(セール開始前の期間が8週間未満の場合は、その期間)のうち、比較対照価格とする過去の販売価格が用いられていた期間が過半を占めていない
(例)2026年3月1日から「定価2万円のところ、今なら9800円」のセールを開始した場合
→2026年1月4日~2月28日の8週間中、定価2万円で販売した期間が4週間以下だとNG
(2)比較対照価格とする過去の販売価格が用いられていた期間が通算して2週間未満である
(例)2026年2月25日から販売を開始した商品について、3月1日から「定価2万円のところ、今なら9800円」のセールを開始した場合
→セール開始前の定価販売期間が4日間(2月25日~2月28日)しかないのでNG
(3)比較対照価格とする過去の販売価格が用いられた最後の日から2週間以上経過している
(例)2026年1月31日まで定価2万円で販売していたが、2月1日から1万5000円に値下げした商品について、3月1日から「定価2万円のところ、今なら9800円」のセールを開始した場合
→最後に定価2万円で販売した日(1月31日)からセール開始日(3月1日)まで2週間以上空いているのでNG
※(1)~(3)のいずれも、定価販売期間の明示などをしなければ不当表示に当たるおそれがある
3. 不当な二重価格表示をしている事業者を見つけたときの通報先
不当な二重価格表示については、消費者庁がウェブサイト上で情報提供を受け付けています。もし不当な二重価格表示を見つけたら、以下のページにアクセスしてみてください。
取材・文/阿部由羅(弁護士)
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
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