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日本のキーワードは「つなぐ力」、サッカー日本代表・森保一監督は勝負の2026年にどう挑むのか?

2026.01.05

ファイナルまでは8試合。日本は未知なる領域にたどり着けるのか?

12月に2025年総括取材に応じた森保一監督(筆者撮影)

 2026年に突入し、いよいよ迫ってきたのが北中米ワールドカップ(W杯)だ。ご存じの通り、今回から出場国が48カ国に拡大された同大会はアメリカ・カナダ・メキシコの16都市で開催される。

 7月19日にニューヨーク・ニュージャージーのメットライフスタジアムで行われるファイナルまで勝ち上がろうと思うなら、8試合も戦わなければいけないのだ。

 ご存じの通り、日本はオランダ・チュニジア・チュニジア、ウクライナ・スウェーデン・ポーランド・アルバニアのプレーオフ勝者と同組で、確実にグループリーグを突破できるわけではない。上位2位以内に入っても、ラウンド32でブラジルかモロッコと当たる可能性が高く、このハードルを越えない限り、優勝どころか、史上初のベスト8進出もあり得ない。グループリーグの会場であるダラス・モンテレイという酷暑の地を制することも含め、本当に厳しい戦いになるのは間違いないだろう。

森保監督が2025年で一番悔しかったと語った9月のアメリカ戦(筆者撮影)

就任から8年目に突入も、謙虚な立ち振る舞いは当初と変わらず

 こうした中、森保一監督は2018年8月の就任から8年目を迎えることになる。これまでの日本サッカー界では1人の指揮官が2回のW杯で采配を振るった例はなく、8年という長期政権も初めてだ。

 世界を見れば、2006~2021年まで15年間ドイツ代表の指揮を執ったヨアヒム・レーヴ監督、2012年から現在に至るまで13年間フランス代表を率いているディディエ・デシャン監督のような例もあるが、森保監督も2026年北中米W杯で偉業を達成できれば、3期目もあり得る状況なのだ。

 とはいえ、当人にはそんな野心はまるで感じられない。8年目に突入しようとする今も就任当初と変わらない謙虚さを前面に押し出しているからだ。

 日本代表活動拠点である千葉・幕張の高円宮記念JFA夢フィールドに取材に訪れた報道陣に対し、指揮官がわざわざ挨拶に出向くというのは普段からよく見られる光景だが、とにかく指揮官は”他者へのリスペクト”を大事にしている。

「僕の親もそうですし、今まで関わってきた指導者、特に(サンフレッチェ広島の前身である)マツダ時代の今西和男総監督が『サッカー選手である前に“よき社会人”であれ』という言葉を口癖にしていたのがすごく大きいですね。

 “よき社会人”が何なのかは明確には分かりませんけど、基本的に自分の見えている範囲で礼節を欠くことがないように振舞うべきだという考えはあります。そこは親も口を酸っぱくして言っていたこと。やっぱり『人と人』との関係が生きる根幹。そこを大事にしながら監督という役割を遂行するという考え方でいきたいんです」と森保監督は筆者の個別インタビューで語っていた。

練習前の森保監督はいつも気さくに選手に話しかけている(筆者撮影)

「選手としての経験値の差は最初から分かっていること」と現メンバーをリスペクト

 それは選手に対しても同様だ。2018年時点では遠藤航(リバプール)や堂安律(フランクフルト)は欧州中堅クラブに赴いたばかりの選手で、まだ国内にいたメンバーも多かった。けれども、今はUEFAチャンピオンズリーグ(欧州CL)に出場するビッグクラブ在籍選手となり、存在価値を大きく引き上げている。

 その面々に対し、「選手としての経験値の差は最初から分かっていること。自分が今から選手に戻れて、海外に行けるわけでもないですし、過去は変えることはできませんよね。今の選手たちには本当にリスペクトしかありません」と素直にキャリアの差を認めたうえで、真摯に向き合うのが森保流だ。

「いろんな監督とやってきたけど、本気で選手のことを考えてくれた数少ない1人が森保監督。“神輿を担ぎたい”と思う監督であることは間違いない」と2022年カタールW杯の代表キャプテン・吉田麻也(LAギャラクシー)も語ったことがあったが、「そこまで”選手ファースト”で接してくれる指揮官だからこそ、持てる力のベストを尽くすべき」という考えを選手たちも強めているのではないか。

 自我の強い堂安や久保建英(レアル・ソシエダ)、鎌田大地(クリスタルパレス)らが「今はチームの勝利が第一。個人個人の先発とかサブとかポジションとかはあんまり関係ない」といった発言をするようになったのも、”森保流”が確実に浸透していることを如実に表している。

選手たちに囲まれ、笑顔を見せる森保監督(筆者撮影)

長友佑都の扱いは? 佐藤龍之介や北野颯太ら若手は滑り込めるのか?

 こうして長い時間をかけてチームの一体感や結束力を引き上げることに成功した森保監督。しかしながら、昨年末に攻撃陣エース級の1人である南野拓実(モナコ)が左ひざ前十字じん帯断裂の重傷を負うという悲報が飛び込んできた。長期離脱していた冨安健洋(アヤックス)、伊藤洋輝(バイエルン)が完全復帰に向かっているのは朗報だが、まだまだコアメンバーにアクシデントが起きないとは言い切れない。

 となれば、代表メンバー選考はより難しくなる。今のところ、最終登録の26人の発表は5月31日の壮行試合(東京・国立)直後の6月1日になると見られるが、大迫勇也(神戸)と原口元気(ベールスホット)が落選した2022年カタールW杯のようなサプライズがないとも限らないのだ。

「経験のある年長選手に関しては、『上がっている選手』『横ばいな選手』『もう下降気味になっている選手』という評価をさせてもらっています。若い選手についても、『どこまでやれるのかは未知数であっても、年長の選手と同じくらいになってきているな』と思ったら、基本的に若い選手を招集しています」と指揮官は12月の共同インタビューの場で発言。ここまでチームのけん引役として重要な役割を果たしてきた長友佑都(FC東京)、最終予選で大活躍しながら最近ケガで遠ざかっている守田英正(スポルティング・リスボン)らベテラン勢を外す可能性があることを示唆したのだ。

 南野が担っていた2列目のポジションについても、19歳の佐藤龍之介(FC東京)、20歳の北野颯太(ザルツブルク)らが急成長すれば選出可能性があるということ。この言葉は代表経験の少ない若手にとって非常に心強い材料になりそうだ。

 残されたアピール期間は半年しかないが、サッカー選手というのは短期間で一変するもの。欧州にいる選手の場合はゴールを量産して一気にスターダムにのし上がることもあれば、監督交代によって立ち位置が劇的に変化することもある。かつての本田圭佑のように、強運の持ち主がW杯メンバーに滑り込み、日本を未知なる領域へと導いてくれれば理想的。森保監督が前回W杯で辿り着けなかったベスト8以上の成績にも近づくのではないか。

練習中は選手の様子を遠くから見守ることが多い(筆者撮影)

2018年ロシアW杯準優勝のクロアチアを見本に最大値を出す!

「カタールW杯でドイツに勝った時、『ドイツとは10回戦って1回か2回勝てるかどうかだと思う』という話をしたと思います。ただ、今は『10回中3・4回勝てるかもしれない』というところまでは辿り着いたのかなと。この4年間で全てを逆転できるかと言ったら、それは不可能ですけど、勝つことによる成功体験の自信や勝負強さは間違いなく養われていると思います」と指揮官も力を込めた。確かに今の日本代表は強豪相手にもいい戦いができるチームにはなってきている。

 個々のレベルで言えば、世界最高クラスのスターはまだいない。が、目下、欧州で80~100人の選手がプレーしており、その力を結集させれば、2002年日韓W杯で4強入りしたトルコ、2018年ロシアW杯で準優勝したクロアチア、前回ベスト4入りしたモロッコのような躍進も果たせるかもしれないのだ。

「全員が欧州CLで優勝を狙えるクラブにいなくても、チームとしてのコンセプトやメンタリティ、身体的特徴を生かしていけば、ロシア大会のクロアチアのような戦いができるかなと考えています。

 陸上を例に取っても、100mの個人では世界トップに行けていない選手が集まってリレーを走るとメダルを取れる力がある。そこにヒントがあると思うんです。規律や連携連動を生かしてチームとして戦えば、強豪国と対等に戦える。『つなぐ力で勝っていく』というのがW杯に挑む我々イメージですね」

 指揮官の言葉通り、1人1人が最大限の力を出し切って、それをチームとして最大化させることできれば、日本は大きな成果を収められるのかもしれない。むしろそうしなければ、ベスト8という高いレベルに到達するのは難しいとも言える。

 日本人らしさを大事にする日本人監督の下で彼らは北米の地を席巻できるのか。我々は期待を込めてこの半年間の動向を注視していくべきだろう。

取材・文/元川悦子
長野県松本深志高等学校、千葉大学法経学部卒業後、日本海事新聞を経て1994年からフリー・ライターとなる。日本代表に関しては特に精力的な取材を行っており、アウェー戦も全て現地取材している。ワールドカップは1994年アメリカ大会から2014年ブラジル大会まで6大会連続で現地へ赴いている。著作は『U−22フィリップトルシエとプラチナエイジの419日』(小学館)、『蹴音』(主婦の友)『僕らがサッカーボーイズだった頃2 プロサッカー選手のジュニア時代」(カンゼン)『勝利の街に響け凱歌 松本山雅という奇跡のクラブ』(汐文社)ほか多数。

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