出汁をチェイサーとして飲む、それが「出汁飲み」。
日本で発見された第5の味覚として世界的に注目されている「うま味」。中でも出汁(だし)が持つ独特のうま味は国内外で注目を集めており、今やUMAMIもDASHIも世界の共通語だ。国内でも2007年頃から販売された「茅乃舎だし」(焼きあご入り)が火付け役となった出汁ブームが定着。近年ではさらに進化して、だしを使ったカレーやコーヒー、スイーツなども登場している。
〝出汁文化〟と〝喫茶文化〟が融合!?上島珈琲店の「鰹出汁薫るミルク珈琲」を飲んでみた
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そんな中、筆者が注目しているのが、出汁をチェイサーにお酒を飲む「出汁飲み」。後述する出汁専門店で体験してからハマり、その後、出汁飲みに特化したバーや、出汁飲みができる定食店などが今年、続々とオープンしていることに気づいた。
もしかしたら2026年はこれが広がり、定着するかもしれない。以下、「出汁のみ」が体験できる3店を紹介する。
創業百年の鰹出汁をチェイサーに日本酒を飲む…「UMAMI DINING 和田久」(築地)
筆者が最初に「出汁飲み」に出会ったのがこの店。大正14年(1925年)日本橋に創業した「株式会社和田久」は、鰹節の本場・鹿児島県枕崎市に工場を持ち、目利きによって選ばれた良質なカツオ節を料理の用途に合った削り方で提供してきた。
これまでは主に老舗の旅館や料亭などを対象としたBtoBだったが、創立100年を機に、「一般の方にも出汁文化を広めたい」と考えて2025年8月4日、築地にオープンしたのが「UMAMI DINING 和田久(わだきゅう)」(以降「和田久」)だ。
その日にとった出汁をその日のうちに使い切るのが和田久ならではのこだわり。100年の伝統と、その日にとった出汁のフレッシュな香りを味わえる料理で組まれたコースの最初に提供されるのが、「特製だし3種の飲みくらべ」だ。
スーパーなどで一般的に売られている鰹節は鰹の血合いが入っているが、血合い抜きのすっきりした味わいをまず鮪節と鰹節で飲み比べをし、最後に血合いありの鰹節を味わう。いずれも同店で売られている最上ランクの出汁なので、どれもおいしいのはもちろんだが、味わう人によって好みがはっきり分かれるのが面白い。筆者は血合い抜きの鮪節の上品なうま味が一番、好みだった。
そして筆者がこの店で発見したのは、この出汁をチェイサー(お酒の後に「追いかけるように」飲む飲み物)として日本酒を味わうと、日本酒のうまみも膨らみ、ふんわりした心地いい酔い方になること。これは鰹節特有の苦味やクセがなくお酒を邪魔しない、和田久の出汁ならではの効果なのかもしれないが、一度この心地よい飲み方を知ると戻れなくなりそうだ。
出汁をチェイサーにカクテルを飲む…「出汁×BAR 飛鳥」(渋谷)
日本酒もいいが、洋酒で出汁飲みができる店はないかと探して見つけたのが、2025年2月にオープンした「出汁×BAR 飛鳥」。
和をコンセプトにしたショットバーで、出汁をチェイサーにしてお酒を飲むスタイルを考案し、出汁と和の食材を使ったカクテルを提供するなど、出汁とお酒の新しい関係を体験できそうな店だ。
カウンターやテーブルには、コーヒードリッパーのようなツールが置かれている。席につくとそのフィルター部分に鰹節を入れ、お湯をかけ蓋をし、数分間蒸らしてくれる。
一定時間がたつと、少しずつ下のポットに香り高い出汁が抽出され、たまっていく。日本では、チェイサーは水が一般的だが、同店ではこの、抽出後0秒のフレッシュな出汁をチェイサーとしてお酒を楽しむことができるのだ。
もうひとつの注目は、出汁を使ったカクテル。下の写真は、飛魚(あご)を漬け込んで出汁を抽出したジンとライム、トニックウォーターをステアしたカクテル「飛魚ジントニック」。ジンの刺激が出汁のうま味でやわらぎ、じんわり癒される味わいに仕上がっている。
そのほか、鰹出汁を抽出したウォッカにライム、トニック、ソーダを合わせた「ボニートウォッカソニック」などがある。
またコンソメスープのようにティーカップで提供する「スープカクテル」も独特のスタイル。焼き葱を漬け込んだテキーラとクラマト(蛤の出汁入りのトマトジュース)を使ったカクテル「焼き葱と蜆のスープカクテル」は、温かいと思いきや冷たく、スープのようでもありカクテルでもあるという、脳も舌もバグる面白いカクテル体験だった。
カクテルはスタンダードでトラディッショナルでなければ、という正統派カクテルマニアには眉をひそめられそうなスタイルだが、実際に飲んでみると思ったほど違和感はない。
何より、出汁を味わうと無条件にじんわり、まったりしてしまう日本人のDNAのせいか、リラックス効果が抜群なのだ。ぜひ一度、この出汁飲みにチャレンジしてみて欲しい。







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