最終メンバー26人の決定は5月末から6月頭。そこまでのW杯機運醸成に期待
2026年が明け、ついに北中米ワールドカップ(W杯)イヤーに突入した。
ご存じの通り、日本代表はオランダ、チュニジア、ウクライナ・スウェーデン・ポーランド・アルバニアの勝者と同組に入った。1年半の長期離脱から復帰のメドが立ち、今年からアヤックスでプレーする冨安健洋は「個人的には欧州の国との方がやりやすいし、読める部分がある」と不敵な笑みを浮かべた通り、今回こそはベスト8進出を果たせるのではないかという期待も大きい。
12月下旬には攻撃のキーマンである南野拓実(モナコ)が左ひざ前十字じん帯断裂という重傷を負い、本大会参戦が絶望的になるというショッキングなニュースも舞い込んだが、森保一監督は「誰が出ても勝てるチームを目指している」と強調。冨安、板倉滉(アヤックス)、町田浩樹(ホッヘンハイム)、伊藤洋輝(バイエルン)という主軸DFが相次いで離脱した際も10月のブラジル戦(東京)でも鈴木淳之介(コペンハーゲン)のような新星が出現。チームの大いに活性化させている。
本大会メンバーが決まる5月末に向けて、さらにそういった流れが加速すれば理想的。ここからがいよいよ本番なのだ。
『最高の景色を2026』という合言葉の下、『全員が1つになるために』考案されたデザイン
その日本代表を力強く後押しするアイテムと言えば、やはりユニフォーム。すでに11月のガーナ戦(豊田)で「HORIZON(水平線)」をコンセプトにしたブルー基調の新ユニフォームが発表されている。こちらはフィールドプレーヤーのホーム用。11月の7~16日には東京・渋谷の道玄坂広場に久保建英(レアル・ソシエダ)をモチーフにした巨大モニュメント『ビッグタケ』もお目見えし、驚きの声が上がったという。
GKの方は赤基調だが、仏教で釈迦を加護する神とされる「阿修羅」からインスピレーションを得た斬新なグラフィックが採用された斬新なデザイン。「鈴木彩艶(パルマ)が着たら、すごく似合いそう」という声もサポーターから聞こえてきており、本人もその日を心待ちにしているはずだ。
「2022年カタールW杯の『ORIGAMI(折り紙)』、2024年パリ五輪の『FIRE(炎)』の評判が高かった中、2026年北中米W杯ではいかにしてそれを上回るかを熟考しました。
今の日本代表は『最高の景色を2026』という合言葉の下、前進しています。我々も『全員が1つになるために』という視点で考えたところ、水平線のイメージが浮かんだ。その先に広がる輝かしい未来、希望の風景をぜひとも見てみたいということで、このコンセプトに辿り着きました。
GKユニフォームの色も水平線の向こうにある太陽の赤を採用し、守護神の象徴である阿修羅をデザインした。これならきっと最高の景色を見られると信じています」と力を込めるのは、同社マーケティング事業本部の金子勝太マネージャーだ。
「今回は日本サッカー協会(JFA)のエンブレムを中央に置いたのも1つの特徴。『全員がファミリー』ということを色濃く示す意味でセンターに配置するのがいいという判断に至りました」とも金子氏は付け加える。確かに過去のユニフォームはエンブレムが左胸についているケースが多いため、これは斬新ではある。森保一監督も「日本が頂点に立とうと思うなら、日本中が湧き返るくらいの熱気が必要」としばしば語っているが、そういう機運を作りたいという強い思いも、このエンブレム位置変更に表れている。アディダス社としても勝負を賭けているのである。
アディダスの3本線もテープ圧着でなく、生地編み込み。性能も大幅アップ!
「性能についても、今回のW杯がアメリカ・カナダ・メキシコという広大な3か国での開催ということもあって、さまざまな工夫を凝らしています。まず3Dボディマッピング技術を採用。人体の構造に合わせて生地を編むことで、首回りや胸、肩回りをはじめ、プレー中にかく汗を早く効率よく外に出すような機能を搭載しています。通気性や速乾性も追求していて、日本がグループリーグ2試合を行うダラスのような灼熱の地でもストレスを軽減できるような配慮を凝らしています。
着心地のよさも大きなポイント。それを象徴しているのが、肩口のスリーストライプ(3本線)です。今まで3本線はユニフォーム生地の上からテープを圧着する形だったのですが、今回は生地に編み込んで作っています。それにより伸縮率が向上し、動きやすさもアップした。現代サッカーは強度が上がり、腕を使うコンタクトも増えていますし、選手たちもそのあたりは気になるところでしょう。実際、着用された代表選手からも『動きやすい』という感想をいただいているので、いいパフォーマンスにつながってくれると期待しています」(金子氏)
11月6日の新ユニフォーム発表から10日間で140億リーチ到達の関心度!
この新ユニフォームの反響は上々だという。すでにアディダス社では登場直後の11月に前述の通り、『ビッグタケ』を中心とした大々的なプロモーションを実施したが、10日間でユニフォームに関する話題がウェブ上でどれくらい上がったかを計測したところ、のべ140億リーチに到達したというから驚きだ。
「11月6日にはJFAの宮本恒靖会長がユニフォーム発表会見に登壇。10日には久保選手、南野選手、中村敬斗(スタッド・ランス)選手、の3人がPRイベントに登場してくれました。こうした効果もあって、それだけの数字に達したのは我々としても喜ばしい限りです。
もちろん140億リーチと言っても、1人で10回記事を読んだり、検索をしたりする方もいるので、実際に総数は未知数なところはありますけど、より多くの人々の目に触れたのは確か。ここからW杯本番が近づけば近づくほど、みなさんの感心が高まり、新ユニフォームのニーズも高まっていくと思います」とマーケティング本部の高橋慶多シニアマネージャーも手ごたえを口にする。
北中米W杯でも日本代表ユニフォームを身にまとう世界中の人々を見たい!
実際、カタールW杯を振り返っても、新ユニフォーム発表が本番2か月半前の8月末だったが、11月に入って日本がドイツ・スペインを撃破し、グループを突破した頃には人気がヒートアップ。さまざまなスポーツショップで売り切れが続出する事態となった。現地でも日本のORIGAMIのユニフォームを身にまとい、町やスタジアムを歩く外国人客の姿があちこちで見られ、日本代表への強い期待感が伺えた。
「今回のチームが勝ち上がっていけば、前回を上回る人気や売り上げが期待できると思います。我々としてもぜひそうなってほしいと心から願っています。
1つ大変なのは、大会直前まで誰が最終登録メンバーの26人に滑り込むか分からないこと。前回もベテランの大迫勇也選手(神戸)と原口元気選手(ベールスホット)が外れるというサプライズがありましたが、名前のシート作成は正式決定後になるので、本当に急ピッチで作業しなければいけなくなります。製造元は本当に大変ですけど、我々はしっかりと見守っていくしかない。ユニフォーム製造・販売に携わる関係先と協力しながら、日本代表の成功を一緒に応援していきたいと思います」
金子氏がこう語る通り、ここから本大会までが一番のピークになってくる。アディダス社としては3月の日本代表の欧州遠征、5月の大会直前にもさまざまなプロモーションを実行していく構え。この水平線の新ユニフォームとともに日本中が最高のムードに包まれることを大いに期待したいものである。
取材・文/元川悦子
長野県松本深志高等学校、千葉大学法経学部卒業後、日本海事新聞を経て1994年からフリー・ライターとなる。日本代表に関しては特に精力的な取材を行っており、アウェー戦も全て現地取材している。ワールドカップは1994年アメリカ大会から2014年ブラジル大会まで6大会連続で現地へ赴いている。著作は『U−22フィリップトルシエとプラチナエイジの419日』(小学館)、『蹴音』(主婦の友)『僕らがサッカーボーイズだった頃2 プロサッカー選手のジュニア時代」(カンゼン)『勝利の街に響け凱歌 松本山雅という奇跡のクラブ』(汐文社)ほか多数。
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