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今年のクリスマスケーキ、平均価格は4740円で前年より179円アップ

2025.12.23

帝国データバンクは、全国の大手コンビニエンスストア・百貨店・スーパー・洋菓子店などのうち、前年と価格が比較可能なオリジナルケーキブランドを対象に調査を実施し、その結果を公開した。

原材料価格の高騰や包装資材、配送費用の上昇など、物価高の影響を受けて多くのクリスマスケーキが値上げ

全国の大手コンビニエンスストアや百貨店、スーパー、著名な洋菓子店など計100社で販売されるクリスマスケーキの価格(ホール型5号、4~6人向けサイズ)を調査した結果、2025年冬シーズンの平均価格は4,740円(税抜)となった。同じ対象企業のケーキ価格を比較すると、1年前(24年冬、「昨シーズン」)の4,561円に比べて179円、率にして3.9%の値上げとなった。

2025年冬シーズンの値上げ幅は昨シーズン(149円・3.4%増)に比べ拡大した。また、本格的な値上げラッシュが始まる前の2021年冬シーズンに比べると約2割高・900円にせまる値上がりとなった。

前年から値上げとなった企業(ケーキ)は100社中62社となり、過去4シーズンで最も少なかった昨シーズンから5社増加した。値上げ幅「200円台以下」が27社と最も多かったものの、昨シーズン(32社)からは減少した。他方、「400円台」の値上げは9社、「500円以上」は17社となり、ともに最も多かった2023年シーズンに次ぎ、過去4シーズンで2番目に多い水準だった。「価格据え置き・値下げ」に踏み切った企業は38社となり、昨シーズンから減少したものの、過去4シーズンで2番目に多かった。ホール当たり3,000円~4,000円台前半の価格が多いスーパーなどの量販店では、定番となるイチゴの使用数を減らすほか、高値が続くチョコレート素材を敬遠するなど装飾・デザインの簡素化、ホールケーキの高さを抑えるといった小型化でコストを削減し、値上げ幅を最小限に抑制する動きも目立った。

2025年のクリスマスケーキは、昨シーズンに比べてイチゴ、乳製品、カカオなど主要な原材料費が大幅に値上がりした影響を強く受けた。ケーキに欠かせない「イチゴ」は、猛暑による影響から生育が不安定で、11月時点の市場価格ベースで前年比10~30%前後値上がりし、クリスマスシーズンにかけてさらに価格が上昇するとみられる。スポンジ生地等に欠かせない鶏卵は、生産コストの高止まりに加え、鳥インフルエンザの感染拡大による供給懸念を背景に前年比2割高で推移し、「エッグショック」と呼ばれた2023年にせまる高値圏となった。ショコラケーキなどでは、チョコレートの原材料となるカカオが主産地である西アフリカでの異常気象の影響で記録的高値となり、前年比で3割以上の値上がりとなっている。

食材以外にも、テイクアウト用の化粧箱や食品フィルムなど包装資材では前年に続き大幅な値上げが続くほか、電気・ガス代、人件費、宅配ケーキでは配送コストも上昇傾向が続き、ケーキ価格を全体的に大きく押し上げる要因となった。

一般的なショートケーキ(ホール)にかかる原材料コストについて、店頭価格を基準に帝国データバンクが「ケーキ原価」として算出した結果、2025年10月時点の平均はショートケーキで1,543円となり、前年同月(1,518円)に比べて原材料分だけで1.6%・25円の値上がりとなった。原価の上昇幅は今シーズンのクリスマスケーキ価格の値上げ幅(+179円・+3.9%)より低いものの、人件費や光熱費などの製造コスト分を含めると、クリスマスケーキの利幅は年々減少しているとみられる。原材料の高騰を受け、イチゴの代わりにジュレペーストを使用したり、クリームを代用することで価格の据え置きを目指すほか、原価がより安価なタルト類のメニューを新たに増やす等の対策もみられ、消費者の財布が緩むことを期待した「大幅値上げ」が多かった2022~23年冬シーズンと異なり、例年以上に消費者を意識した値付けが目立った。

[注1] 比較対象は100社・ブランド。標準的な苺ショートケーキ5号サイズ(15cm、ホール)、または目玉ケーキの税抜価格。
[注2] 前年と比較できないケーキがあるため、一部23・24年時調査から対象が変更となっている。

関連情報
https://www.tdb.co.jp/

構成/立原尚子

東京都出身。出版社勤務を経て、現在はフリーライターとして活動中。好きなジャンルは家電まわり。最新ガジェットから暮らしに役立つアイテムまで、読みやすくて、ちょっとためになる記事を目指して執筆中。

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